compromise heart
























 夜も遅く、リナ達は全員落ち合う場所に戻ってきた。
 「どうだった?」
 「うむ、儂の方だが・・・ちょうど10年前に現国王に即位されたと聞いた。後はこれと言った情報は無い。」
 ジーマが言い終わると今度はファルリーアが口を開いた。
 「私達はロイの噂を聞きました。と、言いましても・・・本人なのかどうか分からないのですが10年前にある神官がこの国を訪れこう言ったそうです。『闇の気配を感じる、私が何とかしてみる』と。」
 ファルリーアに続いてゼリアスが話を続ける。
 「だけど、そいつはそう言って城に向かったらしいが・・・・・その後誰もその神官の姿を見た奴が居ないらしいんだ。」
 そして三人はリナに視線を向ける、リナは肩を竦めるとこう言った。
 「あたしも大体同じような情報よ、でもこの国が荒れ始めたのは現国王になってかららしいわ。これでハッキリした事が一つだけある。」
 リナの言葉にジーマ、ゼリアス、ファルリーアが緊張の面持ちでリナの次の言葉を待つ。
 「つまり、全ての始まりは10年前にあるって事よ、ジュアラールとガナンドに共通した何かがね。」
 三人は小さく頷いた、そしてジーマが苦虫を噛み潰した表情でリナに問い掛ける。
 「しかしリナ殿、儂等は本当に今日のんびり休んでおっても大丈夫なのか?」
 「大丈夫よ、だからゆっくり休んでちょうだい。その代わり明日は早いわよ。」
 「どうして大丈夫だと言えるんだ?」
 ゼリアスの言葉に、リナはウインクしながら逆にゼリアスに問い掛ける。
 「じゃあ聞くけど、あたし達一度でも襲われた?」
 「「「あ!」」」
 思わず声を上げる三人に、リナは真剣な表情で答える。
 「これがジュアラールならまだ分かるわ、騒ぎを大きくすれば必ず親衛隊やお役所が動く。でもここは既に敵さんの中、なのに何にもしてこないのは何故?」
 「・・・それは」
 言いよどむゼリアスにリナはキッパリと言い切った。
 「つまり、あちらさんの目的はあたし達じゃない。でも・・・何かに利用したいと考えてるのは確かよ。それが何かは今の段階じゃ分かんないけどね。それなら、折角休める時間をくれるんだから休んでおいた方が得策よ。」
 そう言ってリナは床にマントを敷くとコロンと横になった。
 「そうだな、リナの言う通り・・・明日何があるか分からないんなら今の内に体を休めといた方がいいか。じゃあ俺も寝るよ、お休みなさい。」
 「やれやれ、全く・・・顔が似ると度胸まで似るものですかな?」
 ジーマはファルリーアに話し掛けると、彼女はニッコリと微笑み。
 「そうですね、でも・・・・・・今はそれが私達の勇気に繋がるのです。さぁ、もう休みましょう。全ての謎は明日解けます・・・多分」
 「・・・・・そうですな。」
 そして三人は静かに眠りについた、リナを残して――――――――
 (ガウリイ、明日になったら会えるんだよね?それまで無事でいて・・・ガウリイ!)
 目をギュッと瞑り、リナはガウリイの事だけを考えていた。


 「・・・・・・・・・」
 「眠れないのガウちゃん?」
 ベッドに腰掛け目を瞑っているガウリイに、カルリアーナは静かに問い掛けてきた。
 「カール、あんたも起きてたのか?夜更かしは美容の敵なんだろ?」
 ガウリイの言葉に思わず吹き出してしまったカルリアーナに、ガウリイはつられて笑う。
 「ガウちゃん良く女の事知ってるじゃない。その顔で何人の女性を騙したのかしら?」
 「騙したは酷いなぁ。・・・・・・・・・・騙してるのは、一人だけさ」
 暗い顔で答えるガウリイに、カルリアーナは悪戯っ子の笑みを浮かべる。
 「ねぇガウちゃん、賭けしようか?」
 「賭け?何を?」
 カルリアーナはガウリイの耳元まで唇を近付けると、囁くように言った。
 「明日の結婚式、式が始まる前にあなたのお姫様が現れたら私の勝ち。もし、式が終わってから現れたらあなたの勝ち。どう?受けてみる?」
 「良いけど・・・・・何を賭けるんだ?」
 「そうねぇ、私が勝ったらガウちゃん、あなたの大事なお姫様に告白してもらうわ。で、もしガウちゃんが勝ったら・・・何でも一つだけ言う事聞いてあげる。」
 ウインクしながら言うカルリアーナに、ガウリイは思い切り動揺していた。
 「だあぁぁぁ!?こ・・・こここ告白って、だ・・・誰にだぁ!」
 「勿論ガウちゃんが保護してる可愛い可愛い、お・こ・ちゃ・ま・よ。」
 「で・・・出来るかぁ!だ・・・大体リナが俺を男として見てる訳ないだろうが!」
 顔を真っ赤にしながら言うガウリイに、クスッと笑うカルリアーナ。そしてゆっくりと口を開いた。
 「・・・あら、そんなに鈍ちゃんなの、あなたの大切なお子ちゃま?」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・国宝級だよ、そっちの事に関しては」
 顔を手で覆い隠しながら溜息混じりに言うガウリイに対し、カルリアーナは又クスッっと笑う。
 「じゃあ逆にガウちゃんの事、男として意識してくれる様になるかもよ。」
 益々顔が赤くなるガウリイにカルリアーナは楽しそうに笑う、それを見てガウリイが溜息を吐く。
 「そうだな・・・でも、意識しすぎて俺が怖いとか言い出して・・・別れる嵌めになったら・・・・・どうすれば良いんだ?」
 深刻な声で話すガウリイに、カルリアーナは軽い口調で答えた。
 「簡単じゃない、そんな事。追い掛ければ良いのよ。嫌がられても嫌われても、その子がガウちゃんに振り向くまで・・・・・ね。後悔するのは行動を起こしてからにしなさい、私みたいになるわよ。」
 「・・・・・フッ、分かったよ。じゃあ俺が勝ったらあんたも、自分の好きな奴に告白しろよ。」
 ガウリイの反撃に思わずカルリアーナは顔を赤くする。そして咳払いを一つすると、こっくりと頷いた。
 「勝つのは私よ、今の内に告白の言葉考えておくのね。」
 ウインクをしてカルリアーナは自分のベッドに戻って横になった、その自信満々の彼女の態度に首を傾げるガウリイ。
 「何でそんなに自信があるんだ?」
 「・・・私が女だからよ。」
 ガウリイの問いにカルリアーナがサラリと答える、それきり彼女からは何も話し掛けては来なかった。ガウリイは苦笑いを浮かべると自分もベッドに潜り込み横になる。
 (そうだな、カールの言う通りだ。って、俺・・・もしかして賭けに負けるのを楽しみにしてるのかぁ?はぁ・・・早くリナに会いたい)
 目を閉じれば浮かぶ愛しい少女の顔、別の意味でガウリイは眠れなくなってしまった。
 (リナ・・・リナ、会ったら抱き締めたい。もう離したくない、俺は・・・リナを愛してるんだ!)
 それぞれの想いを胸に、決戦の朝を迎えようとしていた。







    つづく