compromise heart

























 ガウリイとリナは城の中庭に来ていた、空には美しい星達が輝いている。
 「あ・・・あのねガウリイ」
 「な・・・・・何だリナ?」
 二人は自分の本当の気持ちを告白しようとするが、緊張して上手く話す事が出来ずにいた。
 「・・・・・・・・・・・・・・・あ」
 どうしようか考えていたリナが上を見上げた時、思わず声を上げる。それにガウリイが反応してリナと同じ様に上を見上げた。
 「・・・・・綺麗だな」
 「―――――――――うん、凄く綺麗」
 暫くは何も言わず星を見詰めていたが、先に沈黙を破ったのはガウリイだった。
 「なぁリナ、俺達・・・何時までもこうして同じモノ・・・見続けたいと思わないか?」
 「・・・・・・・・・・・同じモノ?例えば?」
 燃えるような赤い瞳でガウリイを見詰めるリナに、全てを包み込んでしまいそうな青い瞳で見詰め返すと、ガウリイは静かにリナの肩を抱き寄せた。
 「例えば・・・そうだな、爽やかな草原とか、青い空、透き通るような海とか、賑やかな街も良いし、まだ俺達が知らない名産品・・・・・・・これから目にするモノ、感じるモノ、全部かな。」
 「そ・・・そんなのなら今までも見てきたじゃない?」
 リナの言葉にガウリイは優しく微笑み、顔をリナに近付ける。
 「あぁ、見てきた。だからこれからもリナ、お前と一緒に見て行きたい。これからもずっと・・・・一生」
 「え!?」
 ガウリイの呟くような言葉にリナが驚いてガウリイに顔を向けた瞬間、ガウリイがリナの唇を塞いだ。己自身の唇で――――――――
 「―――――――な!?」
 何をされたか最初分からなかったが、唇に残る温もりにリナはやっとガウリイが何をしたのかに気付き顔を真っ赤にする。
 「な、何すんのよガウリイ!行き成り乙女の唇を奪うだなんてぇ!!」
 「――――――――好きだから」
 怒鳴るリナに、ガウリイは今までに無い程真剣な表情でリナに告白をした。
 「俺、もう自分に嘘を付かない事にした。俺はリナが好きだ、お前に例え嫌われても嫌がられてもお前の傍を離れない。必ず、リナの心を俺に向けさせてみせる。」
 ガウリイの告白を聞いたリナは、行き成りその場に座り込んでしまった。腰が抜けてしまったのだ、慌てて抱き起こすガウリイ。
 「大丈夫かリナ?そんな腰が抜けちまう程嫌だったか?」
 心配そうに見詰めるガウリイに、リナは顔を真っ赤にしてブンブンと首を横に振る。
 「ち・・・違うの、あたし・・・・・・その、今の・・・ガウリイの言葉、凄く嬉しくて、あの・・・・・ビックリしちゃっただけ」
 「嬉しいって・・・それ、リナまさか?」
 驚きと戸惑いと嬉しさが入り混じった複雑な表情で、ガウリイがリナに優しく問い掛ける。リナは耳まで赤くなりながらも小さく頷いた。
 「あたしも・・・本当は今夜告白しようと思ってたの、あたしね・・・ガウリイに子供扱いされるのが嫌だったの。でも・・・・あたしの本当の気持ちを伝えて拒絶されるのが怖くて、凄く怖くて・・・・・・・・ずっと言えなかったの、こんな弱いあたしをガウリイに見せたくなかったし」
 リナの目に涙が今にも流れ出しそうになっていた、それをガウリイが指で優しく拭ってやる。
 「泣くなよ、弱くたって強くたって・・・リナはリナさ。俺はリナの全てを愛してるんだ。だからお前の全てを俺に見せてくれ、頼むよリナ」
 ガウリイが静かな口調で話すと、リナは小さな声で話し掛ける。
 「あたし・・・乱暴だよ」
 「慣れた」
 「あたし・・・・・我侭だよ」
 「それってリナが甘えてくれる証拠だろ?逆に嬉しいぞ」
 「あたし・・・・・・・・・・素直じゃないわよ」
 「そんな事無いさ、今だって俺の事、素直に受け入れてくれてるだろ?」
 リナの言葉に返すガウリイの本当の気持ちに、リナは温かい想いを感じていた。今はガウリイに抱き締められている格好になっている。
 「・・・・・・・・・・・・・・・・あたしで良いの?」
 「リナじゃなきゃ、いらない」
 キッパリと即答するガウリイに、リナは照れながらも笑顔でガウリイに話し掛ける。
 「あたしもガウリイの事、愛してるわ。」
 「俺もリナの事愛してるよ、ずっと・・・今までもこれからも、ずっと―――何時か別かれる時が来たとしたら、それは死ぬ時だけだ。それまでは、絶対お前を離したりしない。」
 ガウリイの言葉にリナがニッと笑う、そしてハッキリと言い切った。
 「あら、ガウリイは死んだ位であたしを手放すの?あたしは手放さないわよ、死んでも別れてあげないんだからね。ずっと、心は一緒よ。あたしは死んでもガウリイを離してあげないんだからね。」
 「何だそんな事なら俺だって同じさ、リナ・・・キスして良いか?」
 強く抱き締めながらリナに問い掛けるガウリイに、リナは顔を赤く染め小さく頷いた。そして優しく触れる唇、暫くして静かに離れるとどちらからと無く微笑む。
 「そろそろ部屋に戻ろうか、寒いだろリナ?」
 「ううん、ガウリイが傍に居るから暖かいよ。」
 「そうか・・・でもお前さんを風邪引かす訳にいかないからな、戻ろう。」
 「・・・・・・・うん」
 こうして長い間、相手を想うが余りに外れていた小さな歯車が二人の心を繋ぎ、それぞれの運命の歯車が静かに、そして確実に動き始めたのだった。


 そして翌々日、ジュアラール国に戻った一行はのんびりお茶を飲んでいた。因みにジャンはお茶会に誘ったが、断られてしまった。
 「そう、ファルとゼリアス来月結婚が決まったんだ?」
 リナの質問に笑顔で頷くファルリーアとゼリアス。
 「勿論カールが王位を継ぐのよね?」
 カールに問い掛けるリナに、カルリアーナはニッコリと微笑み答えた。
「王位を継ぐのは私じゃなくてファーちゃんの方よ。」
 「えっ!?本当なのそれ?」
 カルリアーナの言葉にリナが驚いてファルリーアに問い掛けると、ファルリーアも困った表情で頷いた。
 「はい・・・私も正直困っているんです、ハッキリ言って私よりも姉様の方が国を治める力量があると思うんですが、どうしても嫌だとおっしゃって・・・・・」
 「良いじゃないかファルリーア、俺はあなたでも確り国を纏める力があると思うぜ。」
 「ゼリアス、でも・・・・・・」
 「そーそー、ゼリアスも付いてるんだし大丈夫よファル。しっかし、カールも素直に言えば良いのに、意外と可愛い所があるんだぁ。」
 意味ありげにニヤニヤ笑うリナに、カルリアーナは思わず顔を赤くする。
 「ファル、カールはね、アミュレット・プリンセスを自分で最後にしようと思ってるのよ。」
 「ちょ―――!リナっち!!」
 「フフーン、照れない照れない。この国のアミュレット・プリンセスの条件って、この国の姫じゃないと受け継がれないんでしょ?それに代々その人が王妃に付いたんでしょ?実際あんた達のお母さんもそうだったし。だから、自分が王位を退けば力が受け継がれなくなるかもしれないって考えたんでしょ、違う?」
 驚きの表情でリナ以外の全員がカルリアーナを見る、どうやら図星だったのかカルリアーナはソッポを向いてしまった。
 「姉様・・・・・ごめんなさい、私姉様の気持ちも知らないで。」
 「ち・・・違うわよ、私はそんな国王だなんて面倒くさい事したくないだけよ!私は只ジーマのお嫁さんになりたいだ―――――!!」
 カルリアーナは動揺する余り、思わず本音が出てしまった。これ以上無い位顔を真っ赤にするカルリアーナと、驚きの余り完全に石化しているジーマに、後の四人は思わず笑い出してしまったのだった。
 「カールの好きな人ってジーマさんだったの?知らなかったわ。」
 「姉様、早く教えてくだされば良かったのに。」
 「ジーマ様完全に固まっちゃってるぜ、意外とカルリアーナ様のキスで目が覚めるんじゃないんですか?」
 「何だカール、まだ告白してなかったのか?俺はもうしたぜ。」
 ニッコリ微笑みながら爆弾発言をするガウリイに、リナは懐のスリッパで思い切りガウリイの後頭部を殴り倒した。
 「痛って〜!どうして殴るんだよリナ?痛いじゃないか!」
 「どやかましい!!そんな恥かしい事、堂々と言うんじゃないわよ、このクラゲ!!」
 リナとガウリイの漫才を見ていて、やっとジーマの硬直が解けた。
 「ひ・・・姫!冗談でもその様な事を申されてはなりませんぞ!」
 石化から復帰したジーマが顔を赤くして怒鳴ると、カルリアーナは寂しそうな瞳でジーマを見詰める。その瞳に捕らわれたジーマは口を噤んだ。
 「冗談じゃないわ、ライルが死んだあの日から・・・・・ずっと私を支えてくれていたじゃない。私は、気が付いたら何時の間にかあなたを愛していたの、でも・・・私はこんな宿命を背負っている以上、あなたを巻き込みたくなかった。」
 カルリアーナの告白に、ジーマは彼女の目の前に片膝を付きカルリアーナの手を取り、そっと手の甲にキスをした。
 「姫・・・私はずっとあなたに恋焦がれて参りました、しかし・・・あなたは既にライル殿を選ばれておりました。一度はあなたを諦めようとしましたが、出来ませんでした。だが、ライル殿が死に・・・落ち込むあなたを見るに耐えられなかった。だが・・・・儂は・・・」
 ジーマの告白にカルリアーナは優しく微笑むと、囁くように口を開いた。
 「ジーマ、私をあなたの妻にしてくれませんか?」
 「・・・・・・勿体無いお言葉」
 「今の私は姫としてでは無く、一人の女性としてあなたに聞いています。ジーマ、私をあなたの妻にしてくれますか?」
 「―――――喜んで」
 その場にはカルリアーナとジーマ以外の姿は何処にも無かった、二人は静かに口付けを交した。


 「なあリナ、あいつ等に挨拶も無しで出てきて良かったのか?」
 カルリアーナとジーマが告白をし始めてからすぐ、席を外したリナ達はゼリアスやファルリーアに別れを告げてジュアラール国を後にした。
 ゼリアスとファルリーアはもう少し残ってほしいと言ってくれたが、リナがそれを断ったのだ。
 「良いのよ、これ以上居てカールに冷やかされるのはまっぴらだからさ。」
 「そうだな、しかし正直驚いたぞ。あんなにそっくりな人間が居ると思わなかった。」
 「そうね、でもそのお陰でガウリイの女装が又見れたし。綺麗だったわよ、ウエディングドレスのガウリイ。一生の思い出ね、今度アメリアやゼルに会ったら教えてやろうかしら?」
 「リ〜ナ〜、頼むから忘れてくれぇ〜!」
 情けない声で言うガウリイに、リナはクスクスと笑っていた。
 「チェッ、俺はどっちかって言うとリナのウエディングドレス姿を見たいんだけどなぁ。」
 「何言ってんのよ、以前依頼で着た事あったじゃない。あんたも見たでしょう?」
 「見たぜ、忘れる訳無いだろうが!第一俺が見たいのはだな、俺の為にウエディングドレスを着るリナなんだぞ。」
 ガウリイの言葉にお互いに顔を真っ赤に染めるガウリイとリナ、見詰め合い、そして同時に吹き出し大声で笑い出した。
 「バカ、そんなのまだ早いわよ。」
 「全然早くなんか無いぞ、俺はもう三年も待ったんだからな?」
 「でも告白したのは一昨日でしょうが、告白してすぐにプロポーズ何て早すぎるわよ。」
 「じゃあ何時まで待てば良いんだよリナ?」
 「う〜ん、そうねぇ・・・取り合えずあんたとの約束どうり、ゼフィーリアでブドウを食べてからゆっくり考えてあげるわ。」
 「ゼフィーリアって、ここからだとどれ位で着くんだ?」
 「そうねぇ、まぁ一ヶ月位かな、どうして?」
 「どうしてって、お前さんの故郷に着くまでにリナの両親への挨拶と、リナへのプロポーズの言葉考えとこうと思ってな。」
 「ば!?だから早いって言ってるでしょうがぁ!バカクラゲ!!」
 顔を真っ赤に染めてスリッパで叩くリナに、ガウリイは苦笑いを浮かべる。
 「そうポンポン叩くなよ、俺は早くリナを俺だけのモノだって皆に認めてもらいたいだけなんだけど、リナは俺と結婚するの嫌か?」
 真剣な顔で問い掛けるガウリイに、リナは顔を赤くして呟く様に答える。
 「嫌な訳無いでしょ、それ位分かりなさいよ」
 「分かってるさ、リナの事ならお前さん以上に知ってるぜ。でも・・・・リナの口から聞きたかったんだ俺。」
 ガウリイはリナを背後から包むように優しく抱き締める、リナは照れ臭そうにモジモジしながら静かに口を開いた。
 「あたしも・・・・・ガウリイのお嫁さんになりたいよ」
 「愛してるよリナ、この世の中で一番愛してる。」
 「あたしも、ガウリイを愛してるわ。世界よりあんたを選ぶ位・・・・・愛してる。」
 リナはゆっくりと振り返り背伸びをしてガウリイの首に腕を回し、ガウリイは少し屈んでリナを強く抱き締める。そしてお互いの唇を触れさせた。
 「行こうか」
 「うん」
 こうして二人は又歩き出す、何時までも続く人生とゆう名の道程を、互い手に手を取って。永遠に――――――――――