トラウマ











<5>












「ふわ・・・・」


食事を終え、風呂に入りリビングでテレビを見つつ過ごしていると眠くなったのだろ
うか?
リナが大きなあくびをした。


「そろそろ寝るか?」
「え・・・うん。」


そう言って立ち上がった俺に続いてリビングを出るリナ。
そのまま階段を上がって、扉を開けベットに滑り込み・・・


「ちょ、ちょっと!!」


さすがにここまで来てリナも気が付いたのだろう。
真っ赤になって飛び起きた。


「なんだ?」
「『なんだ?』ぢゃないでしょ!?なんでアンタがここにいるの!?」
「なんでって・・・ルナに頼まれたって言っただろ?」
「ソレは分かった。家に泊まることも分かった。でも、なんであたしの部屋にいるの
よ!!」
「いやぁ〜そっちの方がいいじゃないか♪」
「良くないわ〜〜!!」



すぱぺんっ☆



「・・・いってぇ・・・」


問答無用でスリッパ攻撃された。
そして、部屋から放り出された。
ま、コレが当たり前なんだろうけどなぁ・・・


「さて、何処で寝ようか・・・?」


そう考えつつ、リナの隣の部屋を見たが・・・どうやらここはルナの部屋らしい。
危ないからダメ。
何が危ないかは・・・とても口では説明できないが(汗)
その向こう、一番奥は・・・あぁ、ここもダメだな。
リナのおやぢさん達の部屋だ。
客室は一階かな・・・?

とりあえず俺は階段を下りると、それらしい部屋を開けた・・・が、


『みゃぁ〜ん♪』
『みゅぅ?』
『フッーーーーー!!』
『・・・・・』


すでにそのベットには先客がいた。
四匹の猫なのだが・・・その中の一匹がやたらと威嚇してくる。
金色の猫は、全身の毛を逆立てて睨んでいた。


「ルナの・・・猫かな?」


そう呟いて、俺は戸を閉めた。
あの部屋で寝たら、金色の猫に引っかかれそうだ。
仕方がなく俺はリビングのソファーに横になった。
すぐに睡魔が襲うが・・・少し寒い。
夢か現実か・・・どこかわからない所で俺はそう思っていた。
そのまま夜は更け・・・夜半過ぎ、ふと温かいものが俺に触れたのが解った。
寝ぼけたままの思考が、何か解らずそれを引っ張り腕に閉じ込めた。


「きゃっ!」


小さな声が聞こえたけれど、暖かくなったことで覚醒しかけの思考はまた夢の中へ逆
戻り。
俺は、なんだかよく分からない小さな温かいものを腕に抱いて眠りについた。

何か言っているみたいだが・・・あの猫たちかな?
それにしても、温かいな・・・それに柔らかい・・・


「・・・・り・・なぁ」


ぽつりとそう呟いたのを最後に俺は完全に眠りに落ちた。















その日の目覚めは爽快で、窓から差し込む朝の日の光が気持ちいい。
それに、柔らかい重みが自分の上にあった。
知らず右手が腕に抱いていたものの髪を優しく梳いている。
触り心地の良い髪・・・栗色の髪・・・


「・・・・ん?」


俺はそこまで考え、ゆっくりと視線を下げて見えたものに心臓が止まりそうになっ
た。
リナが俺の上で寝ていた。
というよりは、俺の腕が、がっちりリナの腰を抱いている。


「あー・・・そう言えば昨日の夜・・・」


何となく覚えているのは、寒いと思っていたら急に温かくなったこと。
柔らかいものを抱きしめていたこと・・・

俺はゆっくりとリナを起こさないように上体を上げ、ソファーに座るとリナの身体を
横抱きにした。
ふと、足下に毛布が落ちているのを見る。


「これを持ってきてくれたリナを、俺抱いて寝ちまったのか・・・」


そう呟いて、眠るリナの肩口に顔を埋めた。
すぅーっと息を吸い込むと、リナの甘い匂いが胸に広がった。
俺はクスクス笑いながら、今度はリナの耳の辺りに息を吹きかけ、ぺろりと舐める。


「んっ・・・ぁ」


それに反応したようにリナが小さく声を漏らした。
そして、ゆっくりと寝ぼけ目の紅い瞳が姿を表す。
俺はその宝石のような瞳を見つめ、微笑んだ。
そして、最高に甘い声で・・・


「おはよう、リナ」
「・・・うん・・・おはよーがうりい・・・」


リナはまだ何処か寝ぼけているようだ。
今、この状況にも気が付いてはいない。
今がチャンスだな♪(←何のだ(汗))
俺はそう判断し、まだ半分夢の中を彷徨っているリナに囁いた。


「リナ。」
「ん〜?」
「おはうようのキスしてもいいか?」
「・・・おはようの〜?」
「そう。」
「ん・・・・いーよ・・・」


目を閉じてまた眠りに引き込まれていきそうなリナの顎をすくうように持ち上げると
そっと触れた。
リナの唇は、小さくて柔らかくて・・・甘い。
俺はそのまましばらく啄むように、ちゅっちゅっと音を立てて小さなキスを繰り返し
・・・
とうとう我慢できなくなって深く口付けた。
自分の口内を暴れ回る俺に、ようやく意識を戻したリナが暴れて俺をスリッパで何発
もぶん殴ったのは当然と言えば・・・当然な話しだが(汗)

そして、ぷんぷんと真っ赤になって怒るリナはまた可愛かった。


「全く!信じられない!!」


肩を怒らせ、俺に背を向けてリナは愚痴をこぼしていたが・・・耳まで真っ赤なのか
また純で良い♪
そんなコトを顔のデッサン狂わせて思っていると、いきなり俺に何かが飛び付いてき
た。


「おわっ!?」


しかし、俺に飛び付いてきた金色のソレは避ける間もなく鋭い爪を立てた。
頬に痛みが走る。
そっと手で触れると血が付いた。


「な、なんだ・・・?」
『にゃぁ〜ぅ』
「あら、アース♪」


金色のソレは、昨日の猫だった。
俺に飛びかかってきたときとは別猫のようにリナの脚に甘えるように擦り付いてい
た。
リナはその猫の喉を撫でてやりながら俺を見て・・・


「アースったら、あたしの仇をとってくれたのね♪いい子ね〜v」
『なぁ〜ぅ♪』


ごろごろごろv
と猫の喉が気持ちよさげに鳴る。
しかし・・・


「仇って・・・そこまで言わなくてもいいだろ〜・・・」


情けなくそう言い返す俺にリナは「自業自得!!」そう言って消毒液を俺に投げてよ
こした。












to be continued ...