トラウマ











<3>












『ガウリ・・・ダメだよ、姉ちゃんが怒るよ・・・』


おどおどと俺を止めようとするリナ。
でも、おれはそれを聞き入れずルナの大切にしていた”それ”に手を伸ばした。


『気にするなってリナ、そんなんじゃ立派な男になれないぞ!』
『なれなくて、いいもん!リナ女の子だもん!!』


笑いながらそういった俺に、ムキになって言い返すリナ。

イヤなら帰れば?

そう言ってもリナは付いてきた。
触ってはダメだといつもルナに言われているのだろう。
リナは俺がしようとしていることを知って、止めに入ったのだ。
でも、俺はソレくらいで止めるような子供じゃなかった。
まぁ、今思えば、やっぱガキだったんだよな?

机においてあった”それ”に手を伸ばし手に持った。
中では異変を察知したのか、ぱたぱたと”それ”暴れ出した。


『ダメだって、ガウリ・・・ねぇ、ちゃん・・・怒るぅ・・・』
『大丈夫、大丈夫』


もう半分以上泣いているリナ。
その顔が何とも面白かった。
真っ赤な目を更に赤く潤ませて俺を見ていた。
ルビーみたいにキラキラして俺が一番好きな目だった・・・だからリナをただ困らせ
たかっただけかもしれない。


『出してやろうか?』
『だめぇ!!!!』


腕に飛び付いて、必死で止めようとするリナを無視して俺は篭を開けた。


『ダメなの!・・・がうり、ホントにだめぇ!!』
『大丈夫、大丈夫、大体こういう鳥は羽根を切ってあるんだから・・・あ!?』



バサバサバサ・・・



『ねえちゃ・・・そんな酷いことしないもん!!』
『何で早く言わないんだリナ!?』
『ダメ!っていったもん・・・りな、言ったもん!!』


泣きながら言い返すリナ。
そのとき、玄関のドアが開く気配・・・。


『ヤバ・・・ルナだ!』
『ねぇちゃ・・・・』
『俺のことは絶対言うなよリナ!』
『でも・・・逃がしたのガウリだもん!』

『絶・対・言・う・な・よ・?』


リナの目を見つめ、言いつける。
このころの俺は、ルナが恐ろしかった。
俺よりも年下の女の子なのに、とてつもなく怖かったのだ。
だから、一人で逃げ出した。

俺が家を出た直後、リナの泣き叫ぶ声が聞こえたが・・・(汗)




そして、そんなことが何度もあった。
ある時は、ルナが拾ってきた猫をペンキまみれにさせて、俺はリナを置いて逃げた。
またある時は、これまたルナが拾ってきた犬を勝手に川に連れて行き、
・・・気が付いたら犬は流されていた。
そして、そのときも俺はリナを置いて逃げた。

またまたある時は・・・







「・・・これ全部忘れたっていうの!?」







俺の全ての若気の至りを言いあげてリナは睨んだ。


「そう言えば、そんなこともしたなぁ〜。
俺って結構わんぱく小僧だったんだな?」


にこにこ笑って言う俺を半眼で見ながらリナは言った。
そのこめかみはひくついている。


「あのあと・・・、あたしが姉ちゃんにどんなお仕置きされたか・・・」
「いや、あの、ゴメンなリナ?」
「許さない・・・」


呟くリナの声も目もすでに据わりきっていた。


「・・・なぁ、それでリナは俺のことを嫌いになったのか?」
「は?」


俺の質問に、少々間抜けた声でリナは聞き返し、


「だから、その事が原因でリナは、俺を避けてるのか?」
「・・・・・」
「リナ?」
「違うわよ、ただ・・・アンタを見ると、イコール姉ちゃんのお仕置きを想像しちゃうのよ!!」
「俺=ルナのお仕置き?」
「・・・そう。」
「俺が嫌いなんじゃなかったのか?」
「アンタは・・・別に、その・・嫌いじゃ・・・・・ない、」


ムスッとそっぽを向いたままのリナ。
でも、その顔は赤い。







to be continued ...