トラウマ











<2>












大学の講義の後夜中までバイトだったのを、夕方で終わらせてもらい俺は急いで家へと向かった。
あのルナのことだ・・・例え見ていなくても俺がサボったことをどこからか知るだろう。

そしたら・・・(汗)





ぴんぽ〜ん♪




「はぁ〜い。」


チャイムを鳴らすと、家の中からリナの声が聞こえた。


「どちら様で・・・・・」


そう言いながらドアを開けたリナは、一瞬固まるとものすごい勢いでドアを閉め鍵をかけた。
目の前で閉まったドアと、そして鍵をかける音は・・・何だか凄く寂しいなぁ・・・
などと、俺は思いながら合い鍵を取り出し苦もなくドアを開けた。

俺が合い鍵を持っていることを予想していなかったのだろう。
チェーンはかけられていなかった。


「な、ななななななな・・・・」
「どうした?ナ?」
「なななななななっっっ」
「ナメクジか?」

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!」


”ナメクジ”と言っただけでリナは頭を抱えて蹲ってしまった。
肩が震えている。


「お、おい、リナ!?」


慌てて俺が近づくと、更に脅えた目で俺を見た。


「大丈夫か?」
「・・・ち、近づかないでよ!!」


叫ぶように、言った悲鳴に近い言葉。

俺って、相当嫌われてるなぁ・・・(汗)


「あ、あんた何しに来たのよ!?」
「何って、今朝ルナに頼まれて・・・」
「姉ちゃんが、何よ!?」
「だから・・・」
「・・・ちょっと、待って・・・姉ちゃん命令?」


俺が言った言葉を冷静に判断したのかリナは冷や汗を垂らしながら・・・


「じゃ、じゃぁ仕方ないわ・・・とりあえずソファーに座って一歩も動かないで!!」


何が仕方ないのか・・・
でも、まぁルナの命令とあっちゃ俺を追い返す訳にもいかないのだろう。












ちら・・・ちら・・・











リナが出してくれた紅茶を飲みながら俺はソファーに座っていた。
リナは少し離れたキッチンの椅子に座り俺をちらちら見ている。
俺が、座り方を変えたり、足を組み替えるだけで肩がビクリと震える。



「なぁ、リナ・・・」
「な、なに!?」



過敏すぎる反応。



「俺、リナに嫌われるようなことしたかぁ?」



紅茶をずずっと一口飲んで、リナを見るとまた肩が震えている。
しかし、今度は脅え・・・ではなく怒り。

そして、俯いていた顔を上げると勢い良く俺を見た。



「あ、アンタ・・・今まであたしに何をしてきたか全部忘れたって言うの!?」
「ん〜?ナメクジをリナに見せつけて遊んでたことくらいしか覚えてないぞ・・・?」



そう言った瞬間、リナが切れた。



「冗談言わないでよ!?」



叫んだリナはもう止まらない。
出るわ、出るわ・・・俺への今まで溜まっていた言いたい言葉の数々・・・。

そんなに、酷いコトしたっけ?

最初はそんな風に思っていた俺は、リナの吐き出す言葉の数々で忘れていた記憶を甦
らせていた。








to be continued ...