I 妹 な関係










(9)


卒業式も恙無く終わり・・・今日は合格発表日。


卒業式には感じる間もなかった緊張が、今一気に押し寄せてくる。
無事に合格していれば。

いよいよ、私達は・・・。


「・・・・どうしよ、落ちてたら。」
「・・・・ルナのお仕置きフルコース、だよなぁ・・・。」
「受かってても、1番じゃなかったら?」
「やっぱり・・・・お仕置きか?」

「・・・・いい加減、覚悟決めませんか?」

アメリアとゼルが、うんざり顔しながら私達の背中を押してくる。
だってだってぇ!
私にとっては、そりゃもぉ色々と覚悟を決めなきゃならん事ばっかりなんだも〜!
「どんなにあがいても、結果は出てるんだから。お前さんらしくないぞ、リナ。」
「あう。」
「さ、リナ、見に行くわよっ!」

アメリアに引きずられながら、私は掲示板に向かった。


210・・・・210・・・。
あぁ、神様、どうかあります様にっ!!
「あ・・・あった・・・あったよリナ!私受かってる!!」
210・・・210・・・・・あ。
「私も・・・あったぁ・・。」

「「やったぁああああ!!」」

「ゼルガディスさん、私受かってました!」
「おめでとう、アメリア。・・・これで1年間一緒だな。」
「はい!」

はしゃぐアメリアとは対称的に、私はちょっとだけ複雑な心境だった。
ガウリィが私の前に静かに立っている。
・・・・うあ、恥ずかしいかも。
「・・・おめでとう、リナ。」
「あ、あ、うん。有難う。」
「おまけに、見事1番じゃねーか。流石リナだな。」
「え?・・・そなの?」
「ウチの学校な、トップ合格のやつの番号んトコ、華飾るしきたりらしいんだよ。
あっただろ、華。」
あ〜・・・そう言えば。
「これで、二つクリアしたな。」
「・・・・うん。」


鼓動が早まる。
ガウリィの優しい微笑みが、私をじっと見詰めている。


「・・・あ、あのね」「リナ!!これからお祝いに行くわよっ!!」

アメリアの元気な一声に、私達は顔を見合わせ、思わず吹出した。
「いこっか?」
「そうだな。」
「アメリア、ゼル!勿論あんた達の奢りでしょうねぇ!」

ガウリィの手を握り、私は駆け出した。
ガウリィが、ほんのちょっとだけ驚いたみたいだけど、すぐに強く握り返してくれた。

どきどき、と。
耳元に響く鼓動が、少しだけ心地よかった。



「おいおい、飲み過ぎだぞリナ。」
「にゃにおう!今日はめれたい日なんらぞぉ!少しぐらいいいにゃんかぁ!」

よたつく私を抱える様に運びながら、ガウリィが小さくため息をついた。
部屋に入ると、静かに私をソファーに横たえさせる。
台所で、水を汲む音。

・・・酔ってなんかないよ。
確かに、呂律は少々・・・回ってないけどさ。

4人ではしゃぎながらも、私は凄く緊張してたんだから。
あんた、そこんトコ判ってんの?

「ほら、水。」
「ん〜・・・いらにゃい。」
「リナ、こら、寝るなって。」
「いや、もう寝るぅ。」


「・・・・何処で?」


ガウリィの、真剣な顔。

どきん、と鼓動一つ。

静かな接吻。

「ガウリィ・・・。」
「リナ・・どうする?」


気がつくと、いつの間にか左手の薬指には、光るリング。
ガウリィが、そこにそっと口付ける。


「・・・・ずるい。」
「ずるくなんかない。」
「わ、私に何て言って欲しい訳?」
「それこそ、ずるいぞ。」


深呼吸して。
ほら、最初の一歩を踏み出そう。


「・・・・ここで、一緒に・・・居よう?」



きぃ。
開かれた扉。

ぱたん。
閉ざされる扉。


今夜、私はガウリィとの新しい一歩を始める。