I　妹（まい）な関係

（２） 「・・・ほい、今日の分は終わり、っと。リナ〜、お茶にしようぜ。」 「はいはい、お疲れさまです、ガウリィ先生。」 三年生になってから、私は受験のコトを考慮して、ガウリィに勉強を見てもらう 事にした。 驚くなかれ。 記憶力皆無と思われていたガウリィだけど、頭の作り事態は悪く無いみたいで、 意外だけど、とても解りやすく教えてくれるのだ。 「それにしても、まさかガウリィに勉強を見てもらうなんて思ってもみなかったわ、私。」 「ひっでぇ言われようだな。」 コーヒーカップを差し出した手に、さり気なく触れてくる。 このさり気なさが、妙に慣れてるのよね。 「ま、俺としては、リナと過ごす時間が長いだけ嬉しいけどな。」 引き寄せられる。 「こら、ガウリィ。」 「・・・授業料。」 私の髪を一掴み引き寄せ、口付ける。 ・・・・気障ったらしいけど、ちょっぴり嬉しい。 そして、ゆっくりと顔を近付けてくる。 私が静かにガウリィに応えていると、ガウリィの大きな手が、ゆっくりと 私の肩から胸元へ・・・・。 ごめし！！ 「こらこらこらこら！！調子に乗るんじゃないガウリィ！！」 「いででででで！！リナ、グーはやめろグーはっ！！」 あぁああ、危なかったぁ。 危うく、雰囲気に飲まれてしまうトコだったわ（汗）。 「あのね、前から言おうと思ってたんだけど。最近やたらと身の危険を感じるん ですけど、私。」 びしぃ！とガウリィを指差す。（アメリア直伝） ガウリィは、拗ねて頬をぽしょぽしょ掻きながら。 「身の危険って・・俺は獣か？」 「違うとでも？」 「・っ・・・。」 ほら、ぐぅの根もでないじゃん。 「でもなぁ、俺だって男なんだし、その・・・なぁ？」 ちろ、っと上目遣いで私の顔を覗き込んでくる。 ・・・この顔に弱いのだ、私は。 まぁ、その・・・私にもガウリィの言いたい事は（少しは）解っているつもり なんだけど、さ。 だからといって、その一歩を踏み出すには、まだまだ私達・・・私には早い気がして。 求められるのは、嬉しい。 でも。 それに答えるのは・・・まだ、怖い。 「と、兎に角、あんまり調子に乗ってると、御飯作ってあげないからね！」 赤い顔を見られない様に、背中を向けて言い放った言葉に、ガウリィが一瞬呆気に とられ、そして、吹き出した。 「はいはい、解りました姫サマ。」 「よろしい。それじゃあまた明日ね、ガウリィ。」 「おう、明日な。」 自分の部屋に戻ってからも、私の顔の赤さは、暫く取れなかった。 何故なら。 ガウリィが帰り際、私の耳元で囁いた言葉が「でもな、あんまり焦らすと、俺、壊れる かもしれないぞ？」なんて言ったから。 ガウリィって、何だかずるい。 私は、大人のガウリィに付いて行くのがやっとなのに。 やっぱり、まだまだお子ちゃまなのかな、私って。