お〜たむ









すぷりんぐ番外編


 お〜たむ




 (4)











こっち、こっちと嬉しそうに尻尾を振りながら、俺にまとわりついて家を案内するおかしな仔猫。


『アマルテアしゃん、この上は、えっとみんなで、寝る場所でしゅ♪
それから、それから、こっちが、ご飯食べる場所で、あとあと・・・』


本当に良く喋る。
何が嬉しいのか・・・一向に俺から離れようとしない。
鬱陶しいと思いつつ・・・傍にいるとホッとする。
変だな・・・俺?


『あ、サンしゃん!アースしゃん!』


とてとてと、俺の前を歩くあいつが、うれしそうに声をかけた。



みゃぁ〜ん!!



『あーすぅ!それ、がうりいのなの!ダメ、返してよ!!』
『ヤダね!だから、俺はアイツが嫌いだって言ってるだろ!』
『でも、それ、あぁぁぁぁ!!つめなんてたてたら、破れちゃう!!』
『アイツのが、どうなろうと知るか!』
『でも、でも、それりなが、あげたのだもん!!』
『・・・・・・・・・』
『・・・アース?』
『リナが・・・?』
『そう。』
『・・・うぉぉぉぉぉ!!!どーしよ、俺?』
『しらないもん、あたし一応とめたんだかんね!!』


視線の先で繰り広げられ炊いたのは・・・言い争い。
どうやら、あの紅い目の・・・が勝ったらしい。
金色のヤツは頭を抱えている。


『・・・あ、ヴィナ♪』


ようやく俺達の存在に気が付いたのか?
紅い目の猫が近づいてきた。
何故か俺は、反射的に一歩下がる。


『ん?だれだれ、あんた誰?』
『・・・・・』
『?』


首を傾げて、俺を見ている。
そうこうしているうちに、金色の方もやって来た。


『なんだ・・・誰だ、お前?』
『・・・・・』
『?』


俺は黙って、そいつらを見ている。
どうして、なんだろう?


『えっとぉ・・・あの、あ、あたしサンで、こっちのがアース。あんたは?』


続く沈黙に耐えられなかったのか・・・紅い目の・・・サンが話しかけてきた。
ヴィナは何故か隣でニコニコしている。


『・・・・アマルテア・・・だそうだ。』
『・・・だそうだ?』
『さっき、リナとかいう人間が付けた・・・名前らしい。』
『リナが・・・!』


”リナ”という名前に反応してピクリとアースの耳が動いた。


『ふーん、リナが・・・・ま、何はともあれ、よろしくな!”アルマテア”!!』
『アースぅ・・・それを言うなら”アマテルア”でしょ?』

『アマルテアだ!』


沈黙・・・


『・・・あ、あたしちゃんと、アマルテアって言ったもん!』
『お、俺もだぞ!』

『・・・・・・・』


なんだ、こいつら(汗)
まぁ、いいか・・・それより・・・
紅い目の悪魔は、やっぱり普通の猫・・・だったな。
こいつに悪魔のような力があるようには見えない。


『ところで、アル?』
『は?』
『えっと、アマルテアってさ、呼びにくいでしょ・・・だから、アル!』
『どうして、”マ”が抜けて”ル”なんだ・・・?』
『何言ってるの、アース!だって、”アマ”ってちょっと変じゃない!』
『まぁ、言われてみれば・・・じゃぁ、よろしくなアル!』
『よろしくですぅ〜アマルテアさん♪』


変なヤツらのいる所に・・・拾われたもんだ(汗)


『・・・・まぁ、よろしくたのむ。』


















おわりだ・・・




あとがき

さてさて、なんだか随分とお久しぶりのお猫様シリーズです(笑)
今回も、アマルテア君視点のお話です♪
コレでそろった、仲良し四人匹組(笑)
次回はどんな話が待っているのでありましょうか・・・
しかし、その前にもう一つの連載さんを書かなくてはね(爆)

さてさて、今回、何処かで見たことあるよーな名前の間違いが繰り広げられています(笑)
そういえば、出張中のアメリアもだけど・・・ゼル君の出番はいつだろうか・・・(汗)