お〜たむ








すぷりんぐ番外編



 お〜たむ




 (2)











不思議な力で・・・自分の見えない目が見えると信じていたヤツがいた。

俺のじいさんだった。

その秘密は、紅い眼の悪魔が握っていると・・・

そういった。


俺の家族はアイツだけだった。

死んだんだ。



俺が弱いから・・・家族を失ったのだとアイツは責めた。

だから、捜したんだ・・・紅い目の悪魔を見つけだして・・・

でも、それから、どうしようと、いうのだろう?

見つけだして・・・ソレで?


アイツの目が見えるようになるのか?

弱い俺は強くなって・・・家族を取り戻せるのか?

紅い目の悪魔は・・・同じ猫なのに?





矛盾・・・そして、アイツは狂った。





噂や迷信・・・そんなモノ信じない。

俺は自分が見たことしか信じない。





だから、確かめたい・・・あの紅い瞳の猫は・・・悪魔なのかどうか・・・


もし悪魔などいないのなら・・・俺から、全てを奪ったのは・・・アイツだ。













『サン!』


ここ・・・か?


『何〜アース・・・って、なにしてんの?』


アイツだ・・・紅い目
悪魔なら、アイツが悪魔なら・・・


『・・・え〜、やだよ・・・あたし、がうりい好きだもん・・・』

『俺は嫌いなの、だから・・・手伝ってくれよ・・・』

『ヤダ』


しかし・・・


『だれでしゅか?』


!?






こっそりと見ていたのに・・・気配は完全に消したし、辺りにも気を配っていたはずなのに・・・


『う〜んっと・・・あ、ちょっと待っていてくだしゃいね♪』





トコトコと、舌っ足らずな仔猫は家に入っていた。


その間にさっさと、出ていけば良かったのだが・・・
俺の身体は何故か動かなかった。



「ちょっと、ヴィナなに〜?」



声がした。
人間だ・・・近づいてくるのに、俺は逃げられない。



「あら・・・」



こいつも・・・紅い?



「汚れちゃってるわね〜野良猫?」


みゅ〜


舌っ足らずな猫が鳴いた。


「うんうん、お風呂入れちゃお♪」


ちょっと・・・マテ


「よかったぁ〜アメリアが猫もう一匹ほしがってたのよね〜」


いや、だから・・・

俺の身体は動かない、動けない。


「よかったねぇ、ヴィナにもパートナーができて♪」


みゅ〜v


『はいv』




俺の意見とかは・・・聞いてもらえないのか・・・?











でも、逆らおうとも思わないのは・・・

居心地がいいからなのか?

なんだか、取り戻せそうな気がする。

紅い瞳の悪魔に取り憑かれたアイツに奪われた、あの時間を。












「名前は・・・う〜ん・・・そうだ、アマルテア♪」













俺は初めて名前をもらった。





















おわりだ・・・




あとがき

リナちゃん強引・・・
最後の方、前フリを完全にうち砕く終わり方だし(汗)

さってさて、ゼル似の猫ちゃんの名前は『アマルテア』です♪
これは、木星の16個ある衛星の一つなのです。
半径がたったの98メートルしかない小さな衛星さん。
ちなみに、アマルテアのおじいさん(アイツ)の名前は『レダ』。
これも、木星の衛星の一つで、半径がなんと!8メートル(笑)
こんなに小さくても、衛星なのだねぇ〜(笑)




ちょっとした豆知識♪

木星の衛星で代表的なのは4つです。
イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストです。
ほかのに比べるとけた外れに大きいのですわ。
ちなみに発見者は、ガリレオ=ガリレイ有名でしょ?