お〜たむ








すぷりんぐ番外編



 (1)











楽しそうにはしゃぐ猫たちを見た・・・

温かそうな家族の絆を、家を見てきた・・・

でも、俺が持っていたモノは何もかも・・・あの日無くしてしまった。


紅い目の悪魔に取り憑かれたアイツに・・・全部奪われてしまった。


誰も信じることなど出来ない。


そう、


同じ猫でさえ・・・俺は信じることなど出来ない。



でも、人間ならまだマシだ・・・



関わりさえしなければヤツらはやってこないから。

ただ俺を不潔なモノでも見るような目で見て・・・

去って行くだけ。



言葉さえ通じない種族同士だからこそ、深く関わることもない。



それで良い、



それで良いんだ。





それで・・・・・


















『サンしゃん!あ、ボールが・・・』

『ごめぇん、ヴィナ!』

『大丈夫でしゅv取りに行ってきますね♪』

『うん!そろそろりなたち起こさないとね・・・りなも、がうりいも、
アースもみんな昼寝なんだもん・・・』

『はぁ〜いv』

















温かそうな、家族


居場所・・・


ああいう場所に縁のない俺だけど・・・少し憧れるところがある。









綺麗な毛並み





薄汚れた灰色の毛





健康そうな身体





痩せて骨が浮き出た身体





楽しそうな笑い声





そんなもの、とっくの昔に忘れてしまった





あたたかい場所





冷え切った地面













俺とは全く違うヤツらの、楽しそうな姿を見ると・・・少しだけ羨ましくおもうときがある。





それでも、俺はやっぱり1人で生きていこう。




誰とも関わらなければ、あのころのように傷付くこともない。




傷付くことも・・・・














おわりだ・・・




あとがき


いきなりこんな展開の「お〜たむ」です(汗)
まだ、彼はガブリエフ家を遠くから見ているだけです。
これから先、どうやってこの彼がサンや、アース、ヴィナと出会うかは・・・

まだまだ秘密です♪

名前は、次で明らかになる・・・かも?