うぃんたぁ






すぷりんぐ番外編



(3)








「とっても、いい子でしたよ。」
「そう?あの・・・アース暴れなかった?」
「いいえ・・・触られるのは、イヤだった見たいですけど、
ずっと我慢して、治療受けてくれてました。
頭のいい子ですね。」


リナが金色の髪の、でっかい女と話している。
ここは、前の・・・確か、病院・・・?
とか言ったところと、同じにおいがする。
俺と同じようにケガをした動物が連れてこられる場所・・・らしい。

前の場所から、連れ出されて・・・何故か俺は安心して眠ってしまった。

気がついたら、ここにいて・・・リナがいた。


リナに迷惑かけたくなくて・・・イヤな人間に触られるのも我慢した。


金色のでっかい女は、リナの知り合いみたいだったから・・・

俺のせいでリナが悪く言われたり・・・謝ったりするのを見るのはイヤだった。


「ありがとね、フィリア。
最初から、アンタの病院にすればよかったわ。」
「そうですか?
あぁ、そうだアース君ですけど、後1週間ほど様子を見て大丈夫みたいでしたら、
連れて帰っていいですよ。」
「ほんと!?」
「えぇ、回復が早くて驚きました。」
「良かった・・・。」


リナが俺の方を見て微笑んでいる。
あぁ・・・俺は今度こそ幸せになれるのかな・・・?

・・・・そう言えば、あいつは、今日は来て無いのか?


「あら、そう言えばサンちゃんは?」
「え?サン?今日はガウリイと一緒にお留守番なのよ。」
「まぁ、ガウリイさんと?
珍しいですね・・・ガウリイさんがリナさんと一緒にいないなんて・・・?」
「ちょっと、フィリア・・・そんな毎日毎日べたべたしてないわよ・・・
それに、ガウリイは家で書類まとめてるわ・・・。
今日も、どうしても来る!って言い張っていたけど・・・。」


・・・・・・また、『ガウリイ』・・・・あいつの話にも出てきた・・・リナの大好
きな男(ひと)・・・


どうしてだろう・・・俺はそいつに、ガウリイに会いたくない・・・気がする。


「・・・・・・・・・フィリア先生、診察お願いします!」
「はい!あ、じゃぁリナさん・・・」
「あぁ、ごめんね引き留めちゃって。」
「いえ。」
「また、家にも遊びに来てよ。」
「はい、そうさせていただきます。」


金色のでっかい女・・・フィリア・・?
は診察室に入っていった。




「アース、またね。
1週間後には、ここ退院できるからね。」


・・・・あぁ、それまで大人しくしてるさ・・・・


リナは・・・リナだけは信用できるから・・・。














それから、一週間後・・・リナとサンが来た・・・そして、知らない男も・・・。


「リナさん、ガウリイさん、こんにちは。」
「あぁ、フィリア・・・どう?
アース連れて帰れそう?」
「えぇ、もういいですよ。
一応痛み止めと、化膿止めのクスリ出しておきますから、1日2回飲ませて下さい
ね。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こいつがリナの・・・大好きな
人・・・?


「よかったな、お前。
リナに見つけてもらって、でも、ちょっとだけ俺悔しかったんだよな〜
いっつもリナお前の事ばかり考えててさ・・・って、俺猫に嫉妬してどうすんだろう
なぁ〜。」


目の前の檻の向こうから、金色、青い瞳・・・俺と同じ色の男はそう言った。

なんだか・・・ムカツク・・・。
何故だか解らないけど・・・リナはこいつが・・・?


『どうしたの?』


そのとき、サンが話しかけてきた。
俺があんまりガウリイってヤツを睨み付けていたからか・・・?


『なにがだ・・・?』
『だって、ちょっと機嫌悪い・・・嬉しくないの?』


嬉しい?

あぁ・・・嬉しいのかな・・・リナが今日ここに来たときすごくドキドキした。
これは、嬉しい気持ちなのか・・・?


『解らない・・・今まで嬉しいと思ったことが無いからな・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あっ!あのね、あのね、嬉しい気持ちは、心がぽわって暖かくなるの。
すっごく、ドキドキして、わくわくして、それからそれから、飛び跳ねたくなるの
!』


いきなりどうしたのか・・・
俺の檻の前の台の上で、ぴょんぴょん飛び跳ねている。


『・・・・・どうしたんだ!?』
『あのね・・・あのね、あたし嬉しいの!
今、すっごく嬉しいの!!』


嬉しい・・・何がそんなに・・・?


『えっとね、アースがね、一緒に暮らせるから嬉しいの!!』





ちりん・・・・ちりん・・・・




飛び跳ねるたびに、サンの首から綺麗な音がする。
じっと見ていたら、サンが言った。


『これ?
あのね、これね、すずって言うんだよ。
あたしねこれの音すごく好きなのv綺麗で可愛いのv』


濃い黄色は、光で金色にも見える。
そこに、金色の鈴がついていた。


『あぁ・・・・いい音だな・・・・。』
『でしょ?』


嬉しそうに鳴く小さな仔猫は、そのまま、ぴょんと近くにいた大きな・・・ガウリイ
の肩に飛び乗った。


ムカ・・・・・


何故か腹が立った。
どうしてだろう・・・?









「・・・・・・・じゃぁ、リナさん。」
「ありがとね、フィリア!」


いつの間にかリナの話が終わったようだ。
リナがこっちに近づいてくる。


「じゃぁ、帰ろうか、アース。」


そう言うと、俺を檻の中から出して、かごに入れた。


「あぁ・・・忘れないうちに。」


ごそごそと、鞄の中を探っていたリナが取り出したのは、青い首輪。
銀の鈴がついたものだった。


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「これでよし!
どう、ガウリイ、似合ってるでしょ?」
「あぁ・・・いいんじゃないか?」

『わぁ〜〜〜!アース格好いいよv』

『・・・・・・・・・・・・・・・・ありがと・・・・』





・・・・・・・・にゃぁ〜ん・・・・





「おっ!リナに御礼言ってるぞ?」
「また・・・アンタはホントに野生化してるわね・・・。」









この、金の男・・・ガウリイは少し苦手だけど・・・でも、リナは好き・・・かもな
・・・。


すこしだけ、嬉しいという気持ちが何か解ったかもしれない・・・。












おわるん♪







あとがき

さって・・・うぃんたぁ(3)でした。
アース君は、とうとうガブリエフ家へ・・・そこではどんなことが待ってるのでしょ
う?
それは、未来のあたしだけが知る・・・今は解らない。(おい!)