運命、そして宿命。








第6話:捜索隊出動。

「こぉぉんのっ、バカくらげぇ―――――っ!!!
 一体どーやったら、こんなあほなこと出来るわけぇっ!?」
ゼフィーリアのとある一家――ガブリエフ家に。
リナの、怒りに染まりまくった声が響いた。
「……いや……その……」
それに対し、一家の大黒柱であるガウリイは、口をもごもごとさせている。
……そこには、家長の威厳、などと言うものはなかった。
まぁ、それもそのはず。なにせ――
「ああもぉ!
 自分の娘を、森の中に置いてきちゃうなんて……!くらげにもほどがあるわよ!
!」
――そう。
ガウリイは、なんと実の娘と森の中ではぐれてしまったのだ。
しかもそれに気づかずに、愛しい妻の待つ家へと1人で戻り――
結局。気づいたのは、家に着いてリナにルーナのことを聞かれたときだった。
そして今、こうしてリナの怒りを浴びまくっている、というわけなのだ。
「……だからぁ……悪かったよぉぉ……」
「悪かったで済む問題じゃないわよっ!
 いいっ!?いっくらしっかりしてるからって、ルーナはまだ10歳なのよ!?
 確かに野宿用の道具は持たせてたけど、それだって使い方をきちんと教えたわけ
じゃないし!
 もし盗賊にでも襲われてたら、どうするつもりよぉ〜!!」
頭を抱えて絶叫するリナ。
もちろん、ガウリイだって娘の事は心配だった。
だがしかし。この状況下で、『頭抱えてるリナも可愛いvv』とか思っていたりもす
る。
そんなガウリイに――
リナは、とてつもなくものすごい言葉を投げかけた。
「――もし、ルーナが少しでも傷つけて帰ってきたら、即離婚!だからね――」
ぴしぃっ!
冷ややかなリナの声に、ガウリイは硬直した。
「え……あのリナ……?」
「もちろん、親権も養育権も全部あたしのもの。
 ……わかったわね?」
「……ほ、本気か……!?」
「当たり前でしょ?
 ……娘1人護れないような人に、ルーナや生まれてくる子供を任せるわけにはいか
ないわ」
――このとき。
ガウリイの頭には、ある方程式が浮かんでいた。

リナと離婚=子供達とお別れ=ルーナの笑顔が見れなくなる=生まれてくる子をこの
腕に抱けなくなる。
      =リナを抱けなくなる。
      =リナが他の男に抱かれる。

……かなり間違った方程式だが、とにかくこれで、ガウリイの闘志に火がついた。
「ガウリイ=ガブリエフ!
 娘を捜索・救出しに行ってきますっっ!!」
「いってらっしゃーい」
ブラスト・ソードを手にとって。
ガウリイは、一目散に森へと向かった!

……そして。
あとに残るは、元気な妊婦・リナ。
「……まぁ、ルーナがそう簡単にやられるとは思わないけどねー……」
そこへ――
ぴぃんぽぉん。
ガブリエフ家のインターホンが、静かに鳴った。

<つづく>

この世界にインターホンなんてあるのか・・・!?
久しぶりにガウリナです。
でもこのあと、しならくリナちゃんが出てこない・・・すみませぇん・・・