運命、そして宿命。








第4話:さらわれた姫君。

「……今夜はここで野宿だな……」
「えぇぇぇえぇぇぇぇぇぇえええええぇぇぇえ〜〜〜っ!?」
あたしの呟きに、フェリオは不満そうな声を上げた。
「なんだよ。嫌なのか?
 もうこんなに暗いのに、歩きつづけたいのか??」
そう。
ぐるぐると森の中を歩き回っているうちに、夜になってしまったのだ。
いくらあたしの夜目がきくとはいえ、こうも暗いと進むのは危険過ぎる。
そこで、野宿である。
「でもでも、僕、なんにも持ってないし……」
「あたしの寝袋かしてやるから。2つあるしな」
「パジャマもないし……」
「そのまんま寝ろッ!」
「さ、さっきみたいなのが出てきたらどうするのぉ…?」
「さっきのデーモンか?
 平気だって。火をおこして、寝ずの番してれば」
「火っ!?ダメだよそんなの!!
 火事になったら怒られちゃうよ!!」
……いや、本当に火事になったら、怒られるとかそーいう問題じゃなくなると思う
ぞ……
「だーかーら。火事になるのを防ぐための寝ずの番でもあるだろ?」
「……あ、そっか……
 でも、眠くなっちゃったらどうするの?」
「へーきへーき。あたし、夜はいっつも起きてるんだ」
「………なんで?」
う゛。
フェリオの至極真っ当な質問に、思わずあたしは硬直した。
そのまましばらく考えて、
「……父さんに似て夜行性なんだ」
かなり苦しいウソをつく。
「そっかぁ」
しかし、フェリオは簡単に納得した。
「とにかく。
 あたしが寝ずの番をしててやるから。お前は寝ろ」
「いいの!?」
顔を輝かせ、フェリオは言った。
……実はこいつ、そう言われるのを待ってたとか……?
もしそーだとしたら、なかなかの世渡り上手かもしれない。
「ああ。
 ――じゃ、そーゆうことで。あたしは薪を拾ってくるから、寝てろよ」
「え゛っ!?
 ……1人じゃ寝れないよぅ……」
いそいそと寝支度をはじめていたフェリオが、一変して不安そうに呟いた。
「3歳のガキかお前はっ!
 いーから寝てろ!!!」
「……はぁーい……」
もぞもぞと、しぶしぶながらもフェリオが寝袋の中にもぐりこんだのを見届けると。
あたしは薪を拾いに、その場を離れた。
――この時、気づくべきだったのだ。
辺りに潜む、気配の数々に――

そして。
「……やられた……」
カラッポになった寝袋の上に、ナイフで縫い付けられたメモを認め。
あたしは苦々しく呟いた。
メモには、こう書いてあったのだ。

―――仲間は預かった。
    お前が俺たちの仲間にしたのと同じことを、このガキにされたくなければ、
    月が真上にくるまでに森の泉まで来い―――

――と。
そしてあたしは、一言。
「……森の泉って、どこだ……?」
と言った――
……冗談抜きでどこだ?森の泉……

<つづく>


だんだんサブタイトルすらも内容にあわなくなってきてます。(爆)
はあー……タイトルセンスないなぁ、私……