運命、そして宿命








第3話:初戦。

がさっ……がささっ……
あたしが短剣を構える間にも、茂みは絶え間無く揺れつづける。
ちなみにフェリオは、ちゃっかりとあたしの後ろに避難していた。
……このぶんじゃあ、こいつは使えねぇ……っていうか、かえって足手まといだ
な……
「ル……ルーナ、ぼ、僕、その……」
「あーうんわかってる。
 お前、実践経験無いだろ」
あたしは茂みをにらみながら言った。
「……うん……」
震える手であたしにしがみつきながら、力無く答えるフェリオ。
……本気で使えねぇ……こいつ……
しかし、ちょっとは役に立ってもらわないと、こちらとしても困る。
「……なぁ、お前、なんかの魔法使えるか?」
小声であたしはフェリオに聞いた。
「ふぇ……?魔法……
 り、『リカバリィ』とか、『リザレクション』とか……回復系の呪文なら、だいた
い使えるけど……
 攻撃系の呪文は、練習した事無いよぉ……」
「ふぅん……」
「る、ルーナは……?」
「あたし?
 あたしは、5つ。」
「いつっ……!?
 そ、それだけ……!?」
「うん。
 『リカバリィ』と、『リザレクション』と、『ライティング』と、『フレア・ア
ロー』と、あと……」
最後の1つを言おうとした、そのとき。
――ざざっ!!
茂みをかきわけ、数匹のレッサー・デーモンが現れた!

「うわああああああああっ!?」
恐怖のあまり、絶叫するフェリオ。
それが、戦いの合図となった。
――るごぉうっ!
「『フレア・アロー』!!」
正面のデーモンが炎を発するのと、あたしが『力ある言葉』を叫んだのと。
それらは、同時だった。
空中で2つの炎はぶつかり、相殺され、消える。
「フェリオ。目、ちゃんとつぶってろよ」
一方的に言い放ち、あたしは呪文を唱え始める。
デーモン達は、あたしに向かって一斉に口を開き――
「『ライティング』!!」
デーモン達より一瞬早く。前に母さんに教えてもらった、持続時間ゼロ、光量最大の
『ライティング』を解き放つ!
るぐおおおおおおおおおおっ!?
薄暗い森に目が慣れていたせいか、悲鳴(?)を上げるデーモン達。
「フェリオ!お前、『ブラム・ブレイザー』は知ってるか!?」
「つ、使えないよぉ!?
 確かに呪文は知ってるけど……」
「ならやってみろ!」
「無茶だよぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」
「いーから早くっ!
 万に1つの可能性にかけるか、このままなにもせずにデーモン達に殺されるか!
 もしくはあたしに『フレア・アロー』ぶちかまされるか!!どれか選べっ!!!」
「無茶苦茶だよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!」
「知ってる!!」
「……わかったよぉ……」
フェリオは呪文を唱え出す。
その間にも、視力が回復したのか、デーモン達は歯向かってくる。
あたしはそれを、短剣であしらっていった。
そして、フェリオの呪文が終わり――
「――『ブラム・ブレイザー』っ!」
こうっっ!!
青白い光は――
デーモン達を、1匹残らず無へ返したのだった。

「……や……やったぁ……」
術の反動で、地べたにへたり込みながら。
フェリオはぼーぜんと呟いた。
「やればできんじゃん」
「うん!ありがと!!」
あたしの誉め言葉に、満面の笑みで言うフェリオ。
「さ、行こうぜ。
 またあんなのが現れないうちに」
「うん」
そしてあたし達は、また道なき道を歩き始めた。

<つづく>

戦闘シーン苦手ですぅ・・・(泣)
なにせ自分、戦った事ありませんから(笑)