再　会　の　島

――再会の島。 今、あたし達がいるのはこの島である。 勿論、これが本当の名前じゃない。 あだ名のようなものなのだ。 ただ…本当の名前が、昔一緒に旅してた女魔道士の名前が混じってるもので…言いたくないのだ(笑 まぁ、それはおいといて。 この再会の島、夏のある夜になると面白い物が見られるという。 その面白い物とは、亡くなってしまった人の幻。 しかも、それとちゃんと喋れるとか。 そういうわけで、この島は観光地となっていて、毎年大勢の人が見に来る。 その中には行方不明者とかもいたりして、その行方不明者達を探す人々もやってくる。 そして、偶然会えたりするとか。 いはば、待ち合わせ場所みたいになっている。 そう言うことから、いつしかこの島は『再会の島』と、呼ばれるようになっていた。 因みに、今年で３人の行方不明者が親類と再会したらしい。 ―で、なんであたし達がそんな島に来ているかというと、ただ単にもうすぐその日だからである。 面白そうだから、いっちょ行ってみるかっちゅーことで。 この島に来たのだった。 「リナさん！今日ですよね、例のアレ！」 「正確に言うと今晩だ、アメリア」 「あ、そうでしたっけ」 ふむ。 そういえば、今日だったわね。 「でも、不思議ですよね。亡くなった人の幻が見れるなんて」 「そうだなぁ、どうなってるんだろうな」 アメリアとガウリイが、不思議そうにそう言う。 そう、実はまだわかっていない。 そんな幻が何故見れるのか――…そのことは、まだあまりよくわかっていないらしい。 まぁ、島の人たちその他大勢、理由なんてどうでもいいらしいが。 「亡くなった人の幻…か…」 あたしは、そう呟いた。 面白そうだから、という理由で来てみたが。 これといって何もしていない。 この島には、たくさんの人たちが来ている。 亡くなった人達に会いたい人。 行方不明の夫人を探す人。 色んな人たちが… がやがやがや… 夜が近づくにつれて、騒がしくなっていく。 いつもならばその反対なのだろうけど、今日は特別な日だから。 あたし達は、食堂で食事をしながら外で騒ぐ人たちの様子を見ていた。 「…もぐもぐむぐ…、しっかし凄い人ねぇ」 「そうですね〜〜、あんなに混んでたのにもうほとんどいなくなっちゃってますものね」 そう、今あたし達がいるこの食堂。 ついさっきまで満席だったのだ。 あたし達が入るのにも行列があって、やっと入れたぐらい。 しかも、それはどこの宿屋、食堂でも同じだった。 なのに、日が沈んで数分もたたないうちにあちこちに空席はできていった。 なんという速さ(汗 「お客さんがたは外に行かないんですかい？」 あたし達がのんびり食事をしてると、食堂のおじさんが声をかけてきた。 「え…どうします？リナさん」 「ん？…むぐもぐ、まぁ一応面白半分に来たわけだし、一応行くわよ」 「だそうです」 「面白半分に…ねぇ。それなら早く外に出たほうがよろしいですよ」 「…それもそうねぇ……はむ。…むぐむぐもぐ…行こうか？」 「そうですね♪じゃ、そういうことで早く食べちゃいましょう、ゼルガディスさん、ガウリイさん」