彼の本気に彼女の憂鬱





                
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あの運命の出会いから一夜明けて、ナイトメア大学の喫茶店。

「はあ〜〜。」

彼は、今日何度目か数えるのもバカらしいくらいのため息を付いた。

なんともせつなげで、苦しげである。回りの女生達は彼の妖しい色香にうっとりと見入っていたりする。

あの後、すぐ追いかけたんだけど見付からなかったんだよなぁ。制服だったよなって事は中学生か、高校生ってことだよな。会いたい、会いたいんだ、あの少女に。

そう彼――ガウリイ=ガブリエフは、恋の病に悩んでいた。

 

朝からのガウリイの様子を怪訝に思いながら

「おいっ、ガウリイどうしたんだ?」

彼の親友――ゼルガディス=グレイワーズが、コーヒーを飲みながら尋ねた。

ガウリイからの返事はない。上の空のようだ。

「おいって、聞いてんのかガウリイ!!」

同じく彼の親友――ルークがガウリイの方を睨みつけスパゲティーを口に運びながらもう一度尋ねた。やっと我に返ったガウリイが

「オレは女神に会ったんだ。」

「はぁ!??」

ゼルガディスとルークの声が見事にはもる。

「ガウリイさん、熱はありませんね。」

銀髪の女性――ミリーナがさりげなく失礼な事を言った。

「とにかく女神に会ったんだ。どうしても、もう一度会いたいんだ。」

ガウリイは真剣そのものの表情をしている。

「女か?」

コクンとガウリイは頷いた。

「で、どんな女神なんだ。お前モデルとかとも付き合ってるって言うじゃないか。綺麗な女なんて見飽きてるお前が自分から会いたいなんて、どんな女なんだ?」

「私もかなり興味あります。」

『かなり』の辺りを強調するミリーナ。

「昨日の晩、がらの悪そうな男数人に絡まれてたんだ。助けようと思った矢先、その少女がぶちのめして全員病院送りにした。」

『ブーーーーー』

思わずコーヒーを吹き出すゼルガディス。かかったコーヒーをハンカチで拭いながら、さりげなくゼルガディスに恨めし気な視線を送りつつ

「どこが女神なんだ。」

ルークがもっともな意見を口にした。

「名前と年はわかっているんですか?」

ミリーナだけが落ちついて尋ねる。

「名前はわからない、すぐ追いかけたんだけど見失っちまって。」

「運動神経だけで生きてるようなガウリイが追いつけないなんて、その女、人間か?」

「おいっ。」

ガウリイがじと目でルークを睨みつけた。

「制服だったんだ。年の頃なら14歳か15歳くらいだ。」

『ぶほおっっっっっっ』

今度はルークがスパゲティーを吐き出した。ゼルガディスの顔面にはスパゲティーが張り付いていたりする。

「それは犯罪だ(だわ)!!」

3人がガタンと立ち上がりささっとガウリイから離れた。

「俺達、21歳だよな。間違いないよな。」

「そのはずだ。」

ゼルガディスが顔を拭きながらルークに答えた。

「ガウリイさんは確か1年留年しているはずです。」

「って事は、22歳か!!」

「ますます犯罪度はアップしますね。」

ルークに間髪いれずにつっこむミリーナ。

「ガウリイの奴、お子様が趣味だったのか?くっ、俺は今まで気づいてやれなかった。すまない、ガウリイ。」

目頭を押さえながらゼルガディスがつぶやいた。

「おいっ。いくらなんでも酷いぞ。」

ガウリイが額に青筋を浮かべながら、叫んだ。

「愛があれば幼稚園児だろうと中学生だろうと高校生だろうといいだろうが!!」

「女をとっかえひっかえしていた奴のセリフとは思えんな。」

「まさに女性の敵みたいな人でしたからね。」

「ミリーナ、安心してくれ!!俺はミリーナひとすじだからな。ガウリイの奴とは違うぞ。」

「どうでもいいです!」

「ミリ〜〜〜〜ナぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

ルークはミリーナに縋り付いている。それはまさに出て行こうとする妻を必死に引き止めようとする夫のようであったりするのだが………。

「とにかくどうしても彼女に会いたいんだ。あの燃えるような赤い瞳、風になびいてフワッと揺れる栗色の髪、やわらかそうな白い肌………会いたいーーー、彼女に会いたいんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

喫茶店にガウリイの叫び声がこだました。もちろん、彼らの回りにいた女性達は誰一人としていなくなっていた。

「おし、ガウリイその女神とやらを見つけようぜ!」

「私もその女神にお目にかかりたいです。」

「俺も協力しよう。一生であるかないかの出来事だからな。」

「ありがとう!オレは女神を探し出す!!」

ガウリイは親友達の熱い思いにますます燃え上がった。

かくして、ここに『ガウリイの女神を探せ』プロジェクトが発足したのである。

 

んっ、待てよ?赤い瞳に栗色の髪………男をぶちのめした………制服………年は14歳か15歳!!ハハハ、ま、まさかなあいつのわけないよな。

ゼルガディスの脳裏にはある1人の少女の姿が浮かんだが彼は無理やり掻き消した。

 

 ―――某所―――

「はあ、昨日はまいったわよ。バイトの帰りに買い物してバカ男ぶっ飛ばしてたら門限0,1秒過ぎちゃって、姉ちゃんに………あぁ、口に出すのも恐ろしい。」

ガウリイのお探しの少女――リナ=インバースは、重箱5段に及ぶお弁当にパクつきながらぼやいた。さらにその横に3段に及ぶデザートが広げられていたりする。

「ぶっ飛ばされた人達生きてるんでしょうか?」

リナの親友――アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが額に汗を浮かべながら呟いた。

「なんか言ったかな?アメリア。」

かわいらしい声でアメリアの頭を両手でグリグリする。

「い、痛いですぅぅぅぅぅぅ。」

涙目で訴えるアメリア。

なんとものどかで平和(?)な光景である。

嵐の前の静けさとだけ付け加えておきましょう!!

 

余談ではあるが、『ガウリイの女神を探せ』プロジェクトが発動した時、リナは悪寒が走ったという♪

 

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あとがき

「なんで、ヒロインのこのあたしの出番が少ないのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」

以上ヒロイン――リナの叫び。

た、確かにもっともな意見だ(滝汗)それもこれも私の文章力のないせい。(てへ)

しかも、微妙にミリーナのキャラが変わっているような………と思うのは私の錯覚

であろうか?この話まだまだ続くのです♪♪みなさん、引いちゃいやですよ。