欲しいモノは・・・・ |
〜おまけ♪〜
と、数秒後に早くも試練がやってきました。 「リナ。買い物に行くんだろ?オレ、リナに服買ってきたから、 それを来てこうぜ?」 「ガウリイが女物の服を?」 明らかに疑惑の目を向けながらも、自分のための贈り物だと言われると、さしものリナも途端に気をよくしながら渡された袋をガサゴソと探ります。 出てきたのは、一着の可愛いワンピース。 どことなく清楚で上品な作りなのですが、色はリナが苦手とするピンクでした。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・却下!」 「なんでだ?」 「なんでも、どーしてもっ」 リナの嫌いな色がピンクなのを知らないガウリイは首を傾げます。 「と、とにかく、このままでもいいでしょ?」 「却下。」 「それこそなんでよ!!」 速攻の切り捨てに抗議しながら、リナが憤怒の表情でガウリイを睨みます。 「だって、絶対似合うって。着て行こうぜぇ〜〜リナぁ」 ガウリイお得意の犬っころの瞳。 (コイツ・・・ホントはあたしがその目に弱いのを知ってるんじゃないんでしょうね。) 疑惑の目を向けながらも、嘆息して折れるのはリナの方。 「はぁ。分かったわよ・・・・行くわよ・・・」 「ホントだな!」 ぱぁっと、犬のように全身を使って、喜びを表現するガウリイ。 「よし♪じゃ、早速・・・」 にこにこしながら、 マントを手早く外し、ショルダーガードを外し・・・・ 「ちょっっ・・・ちょっと!!なにやってるの!?」 「善は急げっていうだろ?」 そう言いながらも、グローブやら、アミュレットやらを着々と剥いでいくガウリイは、その服まで魔の手を伸ばしかけ・・・・・ 「やめんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!」 スパ〜〜〜〜ん! ぜぇ。はぁ。 スリッパを握り締め、ガウリイから飛びす去るリナ。 ホント、油断も隙もありません。 ガウリイはリナが離れてしまった今でも、寂しそうに手を動かしています。 「なんだよ。せっかく手伝ってやろうと思ったのに・・・」 心底残念といった表情のガウリイですが。 「どやかましい!!そ〜ゆ〜不届き者は……出てけぇぇっ!!」 バタン! と、まぁ当然のごとく、部屋から閉め出されてしまいました。 駄目ですよ。 こ〜ゆ〜事はもっと時間をかけて、じっくりとやらないと・・・。 「それもそうだな♪」 ガウリイは喉の奥から低い笑い声を漏らして、彼女が来るまで大人しく待つこととなりました。 ・・・・忠犬のように。・・・・・・・エサを待っている狼のように。 「せっかく念願の恋人生活の始まりだもんなぁ…」 とろけそうなほど嬉しそうな笑みを浮かべ、想いが実った今の幸せをかみ締めます。 自分が空想で思っていたよりずっと甘くて。幸せで。 この幸せを全世界の人間に言いふらしたいくらいです。 ……そんな事をすれば、恋人の手で間違いなく世界が混沌に還るでしょうが、有頂天になっている彼は自分の言葉一つに世界の存亡が掛かっていることなど気づくはずもありません。 とりあえず、次の目標として……と、なにやらよからぬことを企みながら、ポケットから取り出してそれを手で弄ぶガウリイ。 それは、先ほどリナの手にあったピンクの小瓶。 あのままでは絶対処分されること間違いなし。ガウリイはリナに悟られないように、それをくすねてきたのでした。 「これは、もう少し経ったら有効に使わせて貰うからな」 彼にお使いを頼んだとき、既に墓穴を掘って罠にかかっていたと知る者は、彼女以外の全員。 呟く一言は、「ご褒美は、しっかりと頂くからな♪」でした。 彼女が彼のことを憎からず思っていたのは周知の事実。 しかし、疎すぎる彼女はその想い、視線、仕草が彼にどんな影響を与えていたかなどつゆ知らず、無垢なままで無自覚だったのです。 小悪魔のように彼を生殺ししてきたことに気づくはずもなく、さらに、ようやくそんなストイックな生活にピリオドを打てた彼は相当………色々とたまっているものがあることなど、アリの触覚ほどにも知らない彼女。これから先、彼女は嫌と言うほど思い知ることになるでしょう。 なんと言っても、彼が欲しいモノは、意地っ張りで照れ屋で栗色の髪をしたちっちゃな恋人だけ。 その少女は・・・・・・ただいま何も知らずにお着替え中。 鏡に向き合って、唇に淡いピンクのリップなどを塗りながら。 後日談(?) それから、リナは何度もリップを塗り直す事となりました。 人の目が届かなくなるとガウリイが・・・・・・・・・・・・。 とまぁ、狼に食べられたワケです。 彼曰く、 「だって誘ってるように見えるんだよな。ほら、こんな風に…」 そして、またリナは必死に塗り直します。 愛らしく、耳まで赤く染めながら―――…… お・し・ま・い |