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〜後編〜
















結局、夕食もガウリイの膝の上で摂ることと相成った。
・・・・加えて今日はガウリイと相部屋になってしまった。

理由は簡単。ガウリイが今朝ぶち壊したドアの修繕のため解約させられたのだ。
あたしが弁償しないというだけでも感謝すべき所ではあるのだが・・・・
はぁ。今日は厄日かなぁ…

今あたしがいる場所はガウリイの膝の上じゃないんだけどね。
ついさっきまでは、飽きもせずあたしを抱いていたけれど、風呂に入るため敢えなくあたしを放すとこことなった。
ついでにあのバカかが一緒に入ろうなどとぬかしてきたが、勿論、肉球パンチで快く断念して貰った。

それにしても・・・・
あいつ…どうしてあたしのこと捜さないんだろう・・・・?
何か厄介ごとに巻き込まれてるとか心配しないわけ?
いっつもあんなに過保護なくせに……
信頼してくれてるの?
それともあたしなんかどうでもいいわけ?


も・・・・知んない・・・寝ちゃおっと・・
あたしは衝動的にベットに丸まって目を閉じたが、少しずつ睡魔が襲ってくる。
たしか猫は人間の倍くらいの睡眠時間が必要なんだっけ……
そりゃ、眠いはずだわ。



   キィィィ・・・・・

慎重にドアが開く音がして、夢心地の中で人の気配を感じる。
が、慣れ親しんだ気配なので、大して気にも留めない。
それに睡魔の甘い誘惑からは逃げがたし……

「ん?もう寝ちまったのか?」

そ。寝てるの。あんた床に寝なさいよ。

「ホント可愛いよなぁ・・お前さんは。」

当然よ。

「今日みたいにいつも腕の中に閉じこめていられると良いんだけどなぁ。」

ふんっ 今日は散々だったわよ。

「キスしてからその先なーんにも進展してないしなぁ。」

あれはあんたが無理矢理したんじゃない。

「愛してるよ。リナ」

知ってるわよ。前にも言った・・・・え?



・・・・・・・それって・・・・・

まさか・・・・・・・・・・・・・・



パチっと目を開けると、鼻先にガウリイの端正な顔がある。

「起きてたのか?狸寝入りはいけないな・・・・・リ・ナ」


あんた・・・・まさか・・・・・
まさか・・・最初っから気付いてたの!?
あたしが確信を深めるのと同時に、ガウリイま笑みが深くなる。

「オレがリナを見分けられないわけないだろ?」

ニッコリと意地悪く笑う。

なにもかも知ってて・・・・あたしをからかってたワケ!?
眠気を吹っ飛ばして勢いよく立ち上がり、長いしっぽを逆立たせる。

「そう怒るなよリナ。折角可愛い姿なのに」

ひょいっと抱き上げてあたしの替わりにガウリイがベットに座り、あたしは・・・というとまたガウリイの膝の上に座らせられる。

「ふみゃゃぁぁぁぁぁ!!」

戻しなさいよ! 今すぐ!!
竜破斬でお星様にしてやる!!ってか大気圏で燃え尽きてこい!


「リナ・・?もとに戻りたいか?」

当たり前でしょ!!

「戻る方法はどういうものか知ってるよな?」

    う゛っ……そりゃ……その………………………

・・・・でもっ・・・これはその、キ、キスっていうより、解呪の儀式みたいなもので・・・・

「どうする?オレはリナ次第でキスしてやっても良いけど?」

明らかに楽しんでる声。
くっそーーーっっ!!!分かったわよっ!
キスでも何でもすればいいでしょ!でも相手は猫よ!そこんトコ忘れないでね!
大人しく睨め付けていると、ガウリイもこちらの意図を酌み取ったか、あたしを抱き上げて自分の顔に寄せる。

「いっつもこう素直にキスさせてくれると良いんだけどなぁ」

これはただ呪いを解く儀式なの!なにも深い意味はないの!!
自分でも言い訳じみたことを言いながらも、ガウリイの端正な顔が近づいてくるにつれて、鼓動が早くなるのを止められない。


そして柔らかいものがあたしの口に当たった。


ポムっ


あの時と同じ音がして煙が立ちこめる。
よしっ戻ったわね。早速呪文の詠唱を・・・ってちょっと!ガウリイ放しなさいよっ

「んっ・・はふんっ んんっ」(ちょっと・・・・はなしてっ)

ガウリイはがっちりとあたしの頭と腰に手を回し、身動き出来ないようにしてから
さらに深く口づける。歯茎を丹念になめられ、どうしていいかわからないあたしに絡みつき、おまけに吸い上げていく。
離れては角度を変えて侵入してくるそれを拒みきれず、いつしか突っぱねていた手はだらんと落ちた。

「っはぁ・・・はぁ・・」

荒い息を吐き、ガウリイの広い胸にもたれ掛かるだけでとても呪文の詠唱などとてもじゃないけど唱えられそうにない。

「うんうん。保険は大切だよなぁ」

ニヤリと明らかに含みをもった笑みで笑いかけてくる。
くっそーこんな時にだけ変に頭回して・・・

あれ?でも何で今度は戻ったの?さっきは戻らなかったのに。

「な・・・んでっ」

息が荒くて上手く言葉を紡げないが、ガウリイには通じたようだ。

「ん?なんで戻ったのかって?」

こくこく。

「ゼロスが言ってたじゃないか。自分からするんじゃなくて、相手からして貰うんだよ。」

そっか・・さっきはあたしからしたから・・・・・って気付いてたわけ〜〜〜!!!

「あああああああんたっっまさかっっっ」
「まっ そーゆーこと。
 リナからキスして貰うなんて滅多にないからな。貴重な経験させて貰ったよ。でも寝込みを襲うなんて・・・以外と大胆だな、リナって」
「あれは!元の姿に戻ろうとしてっっ」
「オレとしてはもうちょっと長くて深いとさらに良かったんだけどなぁ」

あたしの腰を抱くガウリイの腕が妙にリアルな感触。

「なによっ えっちっ」
「うーん・・・オレとしてはリナの格好の方がよっぽどえっちだと思うけどな。」

ガウリイの指があたしの顎から鎖骨にかけてをなぞる。
ぶるっと震えてしまう体。
まさか・・・・・

ゆっくりと視線を落としていけば、ガウリイが犬から戻ったときのようにあたしも
また、一糸纏わぬ姿だった。

「きゃああああああぁぁっっ」

あたしはガウリイの膝の上で両腕で胸を隠して縮こまる。

「なんだよ・・・折角いい眺めだったのに・・・」

心底残念そうに言うガウリイ。

「服・・・」
「?」
「服取ってよっ」

羞恥心で顔を真っ赤にしてガウリイを見上げる。

「やだ。」

あっさりと一刀両断する。

「やだって・・・何で!?」
「オレもっとリナのハダカ見たい。」

じっと見つめてくる蒼い瞳。
やぁ……恥ずかしい・・っ

「目、閉じてよ!」

これ以上彼の熱い瞳で見つめられたら、あたしおかしくなっちゃう・・・

「・・・・・がうりい・・・お願いっ・・」

恥ずかしくて恥ずかしくて目に涙さえ浮かべ、懇願する。

「そんな顔するなよ。ほら。」

ガウリイはあたしから目をそらし、ベッドのシーツを渡してくれる。
あたしはそれを急いで躰に巻き付ける。けど、一度溢れた涙は止まらず、あたしの頬を濡らしていく。

「・・・がうりいのバカっ・・いじわるだよ」
「リナ・・・」

ガウリイが壊れ物のようにそっとあたしを抱き締める。

「ごめんなリナ。苛めすぎた・・謝るから泣くな。」
「バカくらげ・・・」

ガウリイの手があたしの髪を梳く。猫の時と同じように・・・

「ごめんな・・・でもお前をからかってた訳じゃないぜ。あれはオレの本音。
本当にあのままずっと腕の中に閉じ込めて見ていたかったんだ。」
「ガウリイ・・・」

自分は彼にとって特別だと、何気ない動作からそれを感じとって。
抵抗もせず、ただ胸に顔を埋め、彼の少し早い鼓動に耳を澄ませる。

「なぁ・・・リナ。オレ、ちゃんとお前の返事聞きたい。」

「返事?」

「このままっていうのは・・・かなりキツイ。お前がオレを想う気持ち・・・・
勢いとか無理矢理とかじゃなくてさ。もし、リナがオレが好きじゃない、愛せないっていうなら・・・オレはもう二度とお前に指一本触れない。でも、傍には居させて欲しい。勝手だけど、ちゃんと確かめておきたいんだ。」
「・・・・・・・・。」

あたしはガウリイの胸から顔を放し、期待と不安が交差する蒼い瞳を正面から見つめながら、分かりきってる答えを返す。
もっとも、改めて口に出すのは初めてだけど・・・

「あたしは・・・ガウリイのこと・・・・そのっ・・好きよ。うん。」
「本当か?」
「本当よ。」

「…………そうか…」

 ん?
・・・なんか今、ガウリイから妖しい笑みが漏れたような気がするんですけど・・・

「リナ・・ありがとうな。嬉しいぞオレは。」

・・・なーんか・・・いきなり不安そうな瞳から、狼が獲物を見つけたような瞳に変わってるんですけど・・・・・

「これで晴れてオレたちは恋人同士。さてリナここで問題です。恋人同士が夜、ベットでする愛の行為ってなーんだ?」

「・・・・・・・・・・・・それって・・・まさか・・」

「ぶーーー。時間切れ。では身をもって知りましょう。」

あっという間にベットに横たえられ、あたしの上にガウリイが覆い被さってくる。

・・・なんか・・・・この体勢は・・・・ひじぉぉぉにヤバイよーな・・・・

「いや〜良かったぁ〜。なんたってリナが襲って下さいといわんばかりの格好で誘ってくるから。ちと理性が切れかかってたが…うん。オレの忍耐力も我ながら見上げたもんだな。やっぱりこーゆーのは同意の上で身も心も一つにならなきゃ意味ねぇし。さて、リナ・・・覚悟はいいか?」


・・・・はっ!?

「いいわけあるかい!なんで急にこーなんのよ!?」

くそ〜・・・どこまでも変な所だけは頭回してっっ

「往生際が悪いぞ。心配するなって。宿はあと二日ほど滞在期間延長しといたから。」

な・・・なんつー用意周到な・・・・
ガウリイの煩悩パワーには底知れないモノがあるかもしんない・・・・


とにかく・・・・・逃げよ。
うん。それがベストだ。

「ねぇガウリイ。あたしそろそろ部屋に戻んないと・・・・」
「何言ってるんだリナ。今日は一部屋しかないだろ?」

妖しい笑みを浮かべながら言ってくる。


・・・・・・・っはっ!!

そーだったぁぁぁぁっっ・・・・
まっまさかそれもコイツの企みじゃないでしょうねっっ
い・・・いや、そんなことより今を乗り切らなきゃっっ

「ガウリイあのあたしっっ」
「もう黙って・・・リナ・・・」

もう『その気』のガウリイ君はあたしに巻き付ついているシーツをはぎ取りながら、首筋に顔を埋めてくる。

「ぁっ・・んっやっっ」
「大丈夫。恐くないから。」
「そーーーぢゃなくてぇぇぇぇぇぇっっ」
「リナ・・・愛してるよ」
「ちっ、ちょっとぉぉたんまぁぁぁぁ・・・・……ぁっん!」




















ではここまできたらもひとつおまけ。(爆)


――――二日後の同じ宿屋の同じベットの上――――


「ねぇガウリイ・・・あたしたち誰か忘れてない?」
「さぁ・・・オレはリナしか目に入らないから。」

歯の浮くようなセリフをよくもまぁ臆面もなく・・・
でもそれを嬉しいと感じるあたしも相当きてるかもしんない・・・


「リナもオレのこと以外考えられないようにしてやるよ。」
「ちょっ・・・あんっ待っっ」
「ダメ。待ったナシ!」
「んっっ・・・ぁん がうりっ・・・」




――忘れちゃいけないもうひとつのエピソード。
2人に存在を忘れられてしまった悪の根源・・もとい恋のキューピットゼロス君
お食事を摂るどころか、あまりのラブラブさに打ちのめされ、腕を一本消滅させ瀕死の状態で獣王に泣きついたそうです。


―――ガウリイさん・・・やりますね  でも!僕は負けませんよ!!―――


リベンジを誓う姿が夜風に紛れて消えてゆきましたとさ。










おわり