感謝のキモチ















んー…
あたしは悩んでいた。
ドアの前を行ったりきたり。
自分で言うのもなんだが、思いっきり変な人である。
ぅう。言い切っちゃった。

そもそもあたしが何を悩んでいるのかというと、
話しは昼間にさかのぼる。

「なんかいい匂いするなぁ」
ガウリイが鼻をひくひくさせながら言った。
まったく、子供かアンタは。
「当たり前よ。ここはお菓子の名産地なんだから」
「へぇ。そうなのか!リナは物知りだなぁ」
「前の村の宿でおばちゃんが言ってたでしょうが!!!
聞いてなかったなんていったら殴るわよ」
ジト目でみながらそういうと、金髪のクラゲはいとも爽やかな笑顔を浮かべた。
「聞いてたぞ。たんに覚えてないだけで」
ぷち。

すぱぁぁっん!!!

ああ。いい音。
「いってぇ!何で殴るんだ!?聞いてたのに。」
「覚えてなかったら聞いてないのと一緒よ!」

掛け合いを続けながら街をあちこちと見回った。
もちろん、あちこちでお菓子を食べながら。
体重のことはつっこまないでぷりーず。
歩きながら、いくつか気付いたことがあった。
一つは、さすがにお菓子の名産地なだけあって、材料も安いということ。
もう一つは、ガウリイは甘いものも好きだということ。
まぁさっぱりしてるほうが好きみたいだけど。
そこであたしが考えたことは、ガウリイにお菓子
でもつくってみようかなということ。
日頃の感謝というか、さ。
思いついたら即実行!ってことで、宿の台所を借りた。
もちろん、ガウリイには内緒でね。
お菓子を作りたいから少し台所を貸してほしいと頼んだところおばちゃんは、

『おやまぁ!!そういうことならおばちゃんにまかせな。
あのキレイなにいちゃんにあげるんだろ?
じゃあ兄ちゃんには外の仕事でも頼んどくよ。そのほうがやりやすいだろうし。
貸し賃はしばらく兄ちゃんを借りるってことでいいだろ?
材料もあるのを使っていいよ。
ふふ。頑張りなよ。』

と、若い頃を思い出すね〜と意味わかんないことを呟きながら去って行った。
さぁ、つくりますか!!
あたしにお菓子なんて作れるのかって?
ふふ〜ん♪リナ=インバースに不可能はなぁい!
昔姉ちゃんにしごかれたしね…
ガウリイをびっくりさせてやるんだから!

と、作ったのはいいんだけど。
別に失敗なんてしてないわよ。
人にあげるのがもったいないくらいイイ出来なんだから。(もちろん自慢♪)
とにかく、何をなやんでるのかっていうと、作るのに夢中になってて渡し方を考えてなかったのよね…
別に日頃のお礼なんだから、さっといってぱっと渡しちゃえばいいことなんだけど…
今になっておばちゃんの言ってた意味を理解しちゃったのよね
理解しちゃったら、意識しちゃってどうやって渡したらいいかわかんなくなっちゃったってことなのよ…
どぉしよ。

うー…もぉやめやめ!!
こんなのあたしらしくもないしね。
自分で食べちゃお。
渡すことをあきらめて、部屋に戻ろうと回れ右したときだった。

ガチャ。

「リナ?何してんだ??」
嘘…
うわ。どぉしよ…
「リナ?」
背中を向けたままのあたし。
何か答えなきゃ。
お菓子の包みは後ろにかくしつつ、あたしはガウリイと向き合った。
「あ、あ、ぐ、偶然ねぇガウリイ!!」
「声裏返ってるぞ。」
「そ、そんなこと気にしなくていいのよ。」
「ふぅん。で、何をかくしてるんだ?」
「何も隠してないわよぉ」
「あっ!」
驚いた顔をして、横を指差す。
あたしの視線が一瞬それた隙をついて、包みをとられた。
「ガウリイ!!」
「あー!これお菓子だろ!?ひとりじめするつもりだったのか!」
そう解釈したか。
こりは好都合。
「あーあ〜。ばれちゃったら仕方ないかぁ。一緒に食べましょ」
「おう♪」
結局ガウリイの部屋で一緒に食べることとなった。
紅茶をいれ、お菓子を切り分けるふりをしてメッセージカードを抜き取った。

「じゃ、いただきまぁす」
フォークを片手にお子様ランチを前にした3歳児のような笑顔でお菓子に食い付いた。
あたしは自然とつばを飲み込んでいた。
もぐもぐもぐもぐ。
「ん?」
ガウリイが怪訝な顔をする。
「え?」
まさかおいしくなかったとか…?
しかし、瞬時に晴れやかな笑顔と変わった。
「うめぇ!!すげぇ甘さが俺好み♪
リナ、どこで買ったんだ??」
…まったく紛らわしいやつ。
当たり前よね。ガウリイのために作ったんだから。
にしても、ここまで喜んでくれるとやっぱり嬉しいわね。
ぅう。自慢したいよぉ
「宿のおばさんがくれたのよ。
限定品らしいわよ」
ところどころ抜けてる言葉があるけど、嘘じゃないわよね。
「そうなのか〜。じゃあもう食えないんだな」
ショボンとした顔はなんだかかわいい。
「あたしのあげるわよ」
「ほんとか!!」
ほんと犬みたい。
「ホントよ。ガウリイに丁度いいんじゃあたしには合わなさそうだしね」
「じゃ、遠慮なく。返せって言われたって返さないからな」
「言わないわよ」
苦笑しながら言うと、やっと安心したのか、ニコニコしながら残りを食べた。
喜んでくれたみたいでよかったわ。
いつもありがとね。ガウリイ。
口には出さず、心の中でガウリイにお礼を言った。
「紅茶、まだ飲む?」
「おう」
席を立ち、紅茶のおかわりをついだ。
「ふう。うまかった。ごちそうさん」
「じゃあ、あたし部屋に戻るわね。」
あたしは席を立った。
「ああ。おやすみ」
「おやすみ」
ドアをあけようとしたときだった。
「こっちこそ、いつもサンキュな」
えっ!!?
くるりとふりかえると、ガウリイが優しく微笑みながらカードをひらひらさせていた。
あれは!あたしのメッセージカード!!!
「いつの間に!!?」
ガウリイは微笑むだけで答えなかった。
自分でも顔が赤くなるのがわかった。
「っ〜!!!!おやすみ!!!!!!!」
あたしは乱暴にドアをしめ、自分の部屋に駆け込んだ。
いつからバレてたんだろ…
もぉっ!明日どんな顔して会えばいいのよ!!

次の日あたしが照れ隠しにガウリイをふっ飛ばしまくったのは言うまでもない。


ガウリイへ。
いつもありがとう。
日頃の感謝をこめて…
           リナ