風の向こうに









 1.矢


   ばさがさどさ………っ


「っ…………」

 木がクッションになってくれたおかげか、骨は折らずにすんだみたい。
 やっとのことで体を起こす。矢が刺さった左腕がずきずきと痛んだ。

   ぱさり

 衣服を脱ぐように腕を動かすと、あたしの全身を覆っていた羽毛が消えた。代わりに現れたのは不思議な色合いの衣。
 姉ちゃんが作ってくれた、あたしの羽。
 人の気配が近づいてくる。
 あたしは衣を茂みの中に隠そうとして………



 気を失った。