I 妹 な関係








(2)


珍しく、アメリアが学校を休んだ。
受験に向けて、これからが本格的に動き出すという矢先だった。
私は、授業のノートを届けに、アメリアの家に向かった。

そこで。
思わぬ光景に出くわしてしまいました(汗)!


「アメリア、大丈夫・・・!」
玄関が開いていたもんだから、ついつい勝手に上がってしまったんだけど。
やっぱり、人間礼儀ってモンが必要だわ。
ほんのちょこっと開いていた、部屋のドアから見えたのは。

労る様に、アメリアを抱き締め・・・接吻を交す二人の姿。

なるべく音を立てない様に玄関に戻り、何事も無かった様に大声で叫ぶ。
「アメリア〜!調子はどぉ?」

部屋の奥からは、何やらがたごと慌てふためいた音。

「り、リナ来てくれたの!」
「うん、授業のノート必要でしょ?これから大変なんだから。・・ってゼル、来て
たんだ。わぁびっくり!」
か〜なりわざとらしく驚いてみせると、二人して真っ赤になってしまった。
「何だかお邪魔みたいだから、私は退散しますから〜!」
「あ、ちょっとリナちゃぁあああん!」

どきどきどきどき・・・・。

走ったせいか、あんな光景みたせいか。
他人の、しかも親友のあゆトコ見るのって・・・かなり心臓に悪いわ。



「へぇ?ゼルも案外やるコトやってんだなぁ。」

・・・あんた、それってかなり失礼じゃない?
大体、自分のコト棚に上げて、人のコト言える立場かい!
「俺達も負けずに頑張らなきゃならんなぁ。」
「何をだ何を!」
さり気なく伸ばして来た手を、ぺち、とたたき落として。
「まったく。『待つ』って言ってくれたのは誰だったかしら?」
「・・・・ちぇ。」

つまんなさそうな顔をしたガウリィが、ふいに、真顔になって言った。
「でもよ。リナが受験に本格的に取り組みだしたら、こんな風にふざけても
いられないよな。」
「・・・そりゃ、そうよ。」
「勉強を手伝ってやれても、受験はリナの問題だし・・・なるべく邪魔は
したくないんだ、俺。」
「邪魔なんて、思って無いよ?」
「それでも、受験に差し障りないようにしてやりたいから・・俺の面倒ばっかり
見てもらえないだろうな〜とか思うとな、何だか淋しいじゃね〜か。」
「・・・子供じゃあるまいし。自分の面倒ぐらい、自分で出来るでしょ?」
いつも、余裕で私をからかうガウリィが、何だか凄く幼く感じた。
やだ・・・ひょっとして拗ねてるの?
「・・・それによ、大学行く様になったら・・・色んな出合いもある。
正直、不安だらけなんだぞ、俺だって。」

へ・・・?

「・・・と、まぁ、これは俺の単なる愚痴だから。忘れてくれ。」

う・・・うわぁあああ。
どうしよう、これって・・・かなり嬉しいかも。
ガウリィが、どうなるか解らない先のコトまで、私の心配して・・妬いてる?

「ぷ・・ふふっ。」
「・・・何笑ってるんだよ。」
「ううん、ちょっとガウリィが『可愛い』って思っただけ?」
「こいつわぁ!」

引き寄せられ、それこそ背骨が折れるんじゃないかって程、きつく抱き締められて。
「いたたたた!!痛いってばガウリィ!」
「愛情の証しじゃあ!」
「ひゃう!何処触ってる・・・・ん。」

打って変わった、優しいキス。
時間も経つのを忘れる様な、甘い甘い感覚。
ゆっくりと、背中を擦る大きな手。

「リナ・・・。」
「・・・・ガウリィ?」

再び、唇を交そうとした、その時。

ぴろろろろ・・・ぴろろろろ・・・。

「ガウリィ、電話。」
「・・・・・・・解ってる。どうせ留守電にしてるから。」

そういう問題かい、って突っ込もうとしたけど、ガウリィの優しい抱擁に、実は私も
離れたくないな、って思ったから。

でも、現実は本当に厳しいモノだったりする訳で・・・。

留守電に切り替わった途端、スピーカーから流れた声に、私達はモノの見事に硬直した。


「リナ、そこに居るんでしょ?ガウリィ!あんた私の
妹に変なコトしてないでしょうね?!」


・・・・・こ・・・・この声は・・・ましゃか・・・。


「明日そっちに向かうから、ちゃんと出迎えに来るのよ。」
がちゃん!つーつーつー・・・・。


「が・・・ガウリィ・・・今の声って・・・・。」
「・・・・ま、間違いない・・・よな?」


「ルナが「姉ちゃんが来るぅうううううう?!!」」