I 妹(マイ)な関係









え?私の当たり前って何かって?
そぉねぇ・・・。
取り合えず、普段通りに生活してく事でしょ。
それから・・・『あいつ』がいる事、かな?
何よ、その顔は。
あ〜、何か変な勘違いしてない?
別に『あいつ』は特別でも何でもないのよ。
ただ、当たり前にいつも側にいるってだけ。
だって。
『幼馴染み』なんだもん。

<自覚編>

(1)

いつもと同じ朝。
いつも通りに時間を告げる目覚ましの音。

「・・・・んん〜・・・。」
「おはよ、リナ。」

そして。
いつも通りに、目の前に現れるこいつ。

きゅるるるる〜。
「腹へったぁ。朝飯、作ってくれよリナ。」

ぷち。

『乙女の部屋に勝手に入るなぁあああああ!!!』

今日も、いつも通りに迎える朝だった。


***************


「何度言ったら判るのガウリィ?いくら『幼馴染み』だからって、平気で人の部屋に
入るなっていっつも言ってるでしょお?」

食卓テーブルに付き、顔をタオルで冷ながら呻いているガウリィに、いつもと変わらない説教をしながら、私は朝食の準備をしている。

私、リナ=インバースは、両親と姉が海外に仕事の為出向しているのを幸いに、
気侭な一人暮らしをエンジョイする筈だった・・・のだが。
隣に住む、幼馴染みで自称保護者のガウリィ=ガブリエフの監視(?)の元、何故だか
高校生でありながら、すっかり所帯じみた生活を送っていた。

ま、別にどぉって事ないけどね。

「はい、リナちゃん特製の朝食。残すとおしおきだかんね?」
「お、うまそぉだな。いっただきま〜す!」

いつもと変わらない、私の日常。
側にはいつも、ガウリィがいる。

「り〜な〜ちゃん、学校行こ〜!」

あ、アメリアだ。
「じゃあ、後片付け宜しくね。」
「おう、行ってこい。」

玄関で靴を履いている時、いつの間にか側に来たガウリィの、いつもの一言。

「行って来ますのキスは?」

ごめし!!

「行って来ます、ガウリィ?」

私の靴と正面からキスをして、しゃがみ込むガウリィを後に、私は玄関を出る。
そう、いつも通りに。


「相変わらず、仲がいいのね。」

ベランダから手を振るガウリィを見て、アメリアがくすくすと笑っている。

「まったく、いつまでたっても子供扱いなんだから。」

もぉ、いつまで手なんか振ってるのよ。
振り返った私のしかめっ面を見て、「はいはい」って感じで部屋に入っていく。
・・・・よく見えるわね、あんた(汗)。

「羨ましいなぁ、リナ。」
「・・・何で?」
「だって、あんな素敵な人が側にいてくれるんだモン。」

素敵ねぇ。
まぁ、確かに。
見た目は文句のつけ様も無いぐらいに格好いいわね。
すらりとした長身。さらさらした金髪。
そして、透き通る海を思わせる、蒼い瞳。
見た目だけなら、完璧なんだけど。いかんせん、あいつの頭の中には『ヨーグルト』が
ぎっしり詰まってるだけだって知ったら・・・・(ぷくくっ)

「いいなぁ、私もあんな素敵な『彼氏』が欲しいなぁ。」
「・・・・・・アメリア、今何つった?」
「え?だから、あんな素敵な『彼氏』が・・・」「誰が『彼氏』なんじゃぁああああ?』

誤解してる人が多いみたいだから、きちんと言っておくけどね。
私とガウリィはそんなんじゃないの!

単なる、『幼馴染み』なんだから。