CAT THE CAT? |
「うひぃぃぃぃぃいいいいいい!!!」 朝、リナの声が宿の中に響き渡る。 オレとしては、すぐにリナのところに、駆けつけるつもりだった。 そうすりゃあ、いの一番に、リナにオレの名前を呼んでくれるから。 が、そうもいかないのが現実。 次にアメリアの絶叫が、ここまで聞こえてきた。まぁ、リナと隣の部屋だし 仕方ないか二番でも、と思っていたちょうどその時、 オレの前に、たぶんリナを叫ばせた元凶、ゼロスが沸いて出て来た。 「何のようだ」 オレは、冷たく言い放つ。リナの前では、今のところ使っていない、声色。 「あ〜、何ですか、お二人して開け口一番、『何の用?』だなんて、 ひどいですよぉ。まぁ、ガウリイさんの出すその感情、 リナさんなんかよりも、やっぱり美味しいですねぇ」 「!リナに何かしたのか?!」 「ええまぁ、ちょっとね」 うっすらと、瞳を開き、オレの方を見やる。 「そんなに睨まないでください、おきれいな顔が台無しですよ?」 「つまらん御託は、聞きたくない。リナに何をした・・・? ことのしだいによっては、貴様をたたっ切る」 ゼロスにそう言い放ち、リナがくれた、斬妖剣(ブラスト・ソード)に 手をのばす。 「おやおや、物騒ですよ?人に剣を付きつけるなんて―――って 人の話は、ちゃんと最後まで聞いてくださいぃ!!」 やめた。 こいつをかまってるよか、リナのもとに行った方がいいしな。 オレは、ゼロスは無視して、宿屋の廊下を走り抜ける。 視力が、抜群にいいオレは、リナをすぐに視界に捕らえた。 だが、しかし、リナの姿といえば・・・ 洋服は、いつものいわゆる魔導士スタイル。 身長は猫の少し、小さいぐらい、普通は耳の在るところに、耳はなく、 頭のところに猫耳、リナの手といえば、肘の辺りから猫手。(足は普通だ) そのうえ、尻尾がうにうにと動いてる。猫な部分は、リナの毛と同じ色。 ・・・・・うあ〜っ。すげぇ可愛いv オレは、この瞬間ゼロスが、しでかしたことがわかると同時に なんともなしに、許してやろうと少し思ったv 一応、今まで寝てたということ、にしておこうと思い、 「なんだ〜、どうしたんだ?」 間延びした言い方をする。 リナを見ると、顔をやや染め、上目ずかいで、潤んだ赤い瞳・・・・。 「ってああ?!!リナぁぁぁ!!!!」 つい、でっけー声で叫んでしまった。あ、少し睨んでくる。(汗) 「それよかアメリア、あたしに崩魔陣(フロウ・ブレイク)唱えてみて!」 ・・・何も言ってくれない。 「えぇ?!そんなもったいないじゃないですか!」 「いいからやらんかい!・・・・でないと・・・」 「でないと・・・・?」 「んっふっふっふっふ。こうすんのよ! 爆煙舞(バースト・ロンド)!!」 おいおい。さすがにそれはないと思うぞ。 「どひいぃぃいいいいいいい?!」 リナは、その間に浮遊(レビテーション)で、オレの頭に乗っかる。 おおっ!オレんとこに来た!!嬉しいなぁ。けどな・・ 「お前さんなぁ、ひどいと思うぞ」 思ったことは、言っておく。 そういって、頭に乗っていたリナを、ひっ掴んで片手で抱っこする。 どうやら、猫手のせいで、オレの服に爪をひっかけてしまったみたいだ。 少し焦ってるのが、手に取るように分かる。うぁぁvvv 「ひどい・・・リナさん、私を殺す気ですか・・・?」 ・・・それは同感するぞ、アメリア。少しコゲてるし。 けど、かすり傷程度ですんでるし、運が良いといえば、運が良いな。 「じゃあ、やってみますね」 はらはらと泣きながら、オレの腕の中にいる、リナに手を向ける。 ――――光と地と風の力よ 魔の呪文を今こそ破らん 崩魔陣(フロウ・ブレイク) ・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・。 あ、変わんないなぁ。まぁゼロスの掛けた技っぽいししょうがない――― うっ!!!リナが気落ちしてる?!・・・でも、そのかっこ、可愛いと思うぞv 「まぁまぁ、気ぃ落とすなよリナ。 それよか腹へらないか?朝飯まだだろ?」 オレは、リナの背中をぽんぽんと、優しく叩く。 「そうだな、ここで考えていても始まらんしな」 ・・・あれ、ゼルいたのか? 「そおね、朝ご飯たべましょうか」 そういって、リナは服に食い込んでいた、爪をとり、下に降りようとするが、 そうはいかない。こんなチャンスを逃してたまるもんか。 「・・・・ちょっと、下ろしてくんない?ガウリイ」 自分じゃ気ずいてんだかわからんが、顔が赤いぞv 「だって、危ないじゃないか。そんなにちっこくなっちまったし」 しごく当然のように、リナに言い聞かせる。 うん、納得したようだなv下向き加減が凄く可愛いな〜。 食堂の方に行く際、ゼルが、何か言いたそうにしてたが無視v みんなで、テーブルに腰を掛けた。 「・・・あんさぁ、テーブルに付いたんだし、腕、放してくんない? あたしテーブルの上で食べるから」 そう言って、ほとんど無理矢理、オレの膝と腕の中から這い出し テーブルの上に乗るリナ。爪を立てるなよな。 「ええっ、なんでだよ」 せっかく、膝の上にリナを座らせられる、とおもってたのに・・・。 「当たり前でしょーが、子供じゃないんだから! どぉせ忘れてるんでしょうけど、あたし18歳なんだけど。 ったく、嫌んなるわよ?そこまでクラゲだと嫁さん貰えないかんね! ――おっちゃーん!メニュー上から下まで五人前ずつお願いねー!!」 嫁の貰い手って・・・。いや、オレ的にはリナだし、要らんぞ。 「あ!オレもそれの十人前ずつで!!」 ここで反論してもなんだし、オレも飯の注文をする。 「俺はコーヒーだけでいい」 「ゼルガディスさん!そんなんじゃいけませんちゃんと食べないと駄目です! と、いうことで注文は―――」 「アメリア、俺は別に・・・・」 ・・・アメリア、献身的だなぁ、ゼルもまんざらじゃないし。 少し、羨ましい。リナは絶対恥かしがって、やんないだろうしな〜。 そうこうしてるあいだに、飯がきたのはいいものの、リナが猫手でどう食べるか 困っている。まぁ、猫手だしな・・・。 おし!そうだ! 「リナリナ!ほら、あーんv」 リナの目の前に、食べやすい大きさに切った、ウインナ―を出した。 リナは、視線をフォークから辿り、オレの方を見た。 なんか・・・すっげぇ勢いで顔が赤くなったが・・・大丈夫か? 固まってるし。 「どうした?食べないのか?」 声を掛けてみるが・・・ 「あ、あ、あ、アメリア〜、あたしにベーコン食べさしてくんないぃ?」 力いっぱい、オレの前から、顔ごと視線を放し、アメリアに助けを求める。 おーい、声が上ずってるぞリナ。もう、一息というところか。 「あぁぁああ!!なんという美味しいシチュエーション!!!! ガウリイさんがリナさんに・・・なんてぇぇぇぇぇ!!!!」 リナは、極度の恥ずかしがりやの上、照れ屋で、素直じゃないからな。 ・・・・・ゼル、わかってるな・・・? 「落ち着け!アメリア!」 ゼルは、オレの意図に、気ずいてくれたらしい。 まぁ、わからずに居る気だったらこちらから言っても良かったんだが さすがだな、ゼル。オレのわずかな殺気で、ちゃーんと気が付くとは。 「・・・・すまないが、アメリアと違うテーブルに行ってる。 その方がいいだろう?それじゃあな、健闘を祈るぞリナ」 ゼルが、オレの視線を気にしながら、アメリアをなだめながら去っていく。 それを恨みまがしい目で、二人を追っているリナは、オレの方に視線を戻した。 リナには、フォークを差し出した状態で、オレはリナを見ている。 しっかし、かなり悩んでるな、そんなに嫌かぁ?オレから貰うの。 ちょっと寂しい。 ま、しょうがないか。なんか、リナが納得するような言葉は・・・? ―――――――――――ぱくっ。 あ・・・。 リナ、もしかして、空腹に耐えられなかったのか?目が、まぢだぞ。 なんか、オレの心情としては、少し悲しいもんがある。 けど、しかしっ! あの、照れ屋のリナが、どんなかたちであれ、オレのフォークからものを食べた! 「おおっ!食べた!!」 正直、嬉しすぎる。 「ほらほらリナ、あーん」 つい、調子にのってしまう。そりゃそうだよなぁv あのリナが、顔を真っ赤にしつつも、大人しくオレの差し出す飯を、食べてるなんて 油断大敵。 あのままずーっと、オレが律儀にも、差し出つづけ、リナは意外にも大人しく、 ぱくぱくと、食べつづけてくれたのだが、どうやら、調子に乗りすぎたようだった。 食べ終わってイキナリ、オレをいつもより派手に、ブっ飛ばした。 予想はしてたんだが、イキナリはないだろーが。 今は外だ。あの後宿を引き払い、街道をみんなで歩いている、リナといえば 顔は真っ赤だが、オレに大人しく、抱っこされている。 ちっさくなって危ないから、と懸命に説得したかいがあった。 「ねぇぇ、コレ解く方法浮かばない?」 ふいに、リナはオレたちに問いかける。 「ここはやはり!正義の王道☆王子様のキスで治ると思います!!!」 「却下」 まぁ。リナだし、そう言うと思った。 「ええ〜、なんでですかぁ」 「王子様なんてぽこぽこいないもんよ、アメリア」 「なに言ってるんですか。王子様vというのはガウリイさ――」 ナイスだアメリア!良い奴。 「火炎球(ファイアー・ボール)」 どぐぐわわぁぁぁぁぁん。 ・・・・・良い奴だったな。 「で、ゼルは?」 ―――――ぎんっ。 オレは、ゼルに目で訴える、『邪魔者は、消えろ?』 「あ〜、そ、そうゆうのは専門外だ。悪いな」 オレを気にしつつ、アメリアが飛んでいった方向に、大慌てで走ってゆく。 ふっ、命拾いしたな。こんな姿になったリナを、他の男に見せられるかっ! 「なぁ、リナ。魔法も使えるんだし、このままでいいんじゃないか?」 見た目もすっげぇ可愛いし、別になぁ。 「んなわけないでしょ、不便もいいとこだわ。やぁよ。 ちゅうか、あんた、あたしの自称保護者でしょうが!ちっとは心配するか 元に戻す方法考えなさいよね!」 !!・・・・ったしかに、不便だな、そのサイズは。 「ん〜、そっかあ」 つい生返事。 仕方ないだろ、色々とオレとしても、これからどうしようか、考えてるんだから。 ・・・リナ、その目は疑ってるな、思いっきり。 「いやぁ、むずかしすぎましたか?リナさん」 『ゼロス!』 そおいえばっ!元凶は、こいつだった!!忘れてた。 「はっはっは、ご馳走様。リナさんの負の感情は相変わらず美味しいです。 このままだといっちもさっちもいかなさそうでしたのでね」 なっ!リナの感情は、食うな!! 「なに言ってんのよ!元はと言えばあんたの所為でしょうが!! 飽きたんならさっさと元に戻しなさいよ!!」 まったくだ。このままだと、何も出来ないだろ! 「ちっちっち、よく聞いてください。僕はヒントをあげに来ただけです ずばり、答えはリナさんの近くです! ・・・・僕としてはこんな事ヤなんですが、立場上仕方ないんです」 何だ、それ? 「なぁゼロス、立場上ってどう言う意味だ?」 「・・・・・獣王様のご趣味です」 どおいう趣味なんだ。それ。お前ら魔族だろ、可愛いのって、好きなのか? 「ま、それよりも、だ。どうしたらいいんだ?」 「そーよ!ヒントなんかいらないから教えなさい!」 「そうですねぇ、それじゃあガウリイさんに教えます」 へ・・・?オレ?別にいいけど。 「すまんな。すぐ戻って来るから、ここに居ろよ」 そういって、人気のない木の根元にリナを置く。 「なんであたしには教えないのよ」 「そうゆう命令があるんです」 あ、そっかー。リナに言わなきゃ、いいんだもんな。 そういって、オレを人気のない所まで連れていく。 「それで?どうすればいいんだ?」 止まったとたんに、ゼロスに問う。 「せっかちですねぇ、まったく。大体なんで僕ら魔族があなた方、 人間の背中を押すようなマネを、しなければならないんですか! コレは獣王様のご趣味でもありますが、まったくもぉ、嫌んなります!! ぐちぐちぐちぐち・・・・・」 ・・・は?何を言ってるんだ?ゼロスは。 「えーと、どうしたんだ?一体」 ゼロスはニコ目を歪ませ、器用にも、涙ぽっいもんを浮かべ、 肩をぶるぶると、振るわせる。 「あなた方っ!どおしてあの御方に気に入られちゃったんですかぁ?! あの御方にむかってあんなに失礼な態度をとっていたのに・・・。 いえ、どっちかというと、気に入られているのは、リナさんの方ですがねっ。」 あの御方って・・・誰だ? ゼロスははぁはぁと、荒い息をととのえ、いつものゼロスに戻る。 「・・・まぁ、それは置いておいてですね、 リナさんの魔法を解くには、ズバリ!キスしちゃえばいいんです!」 「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!」 あ、あのリナにキス出来るだと?!またとないチャンスだぁぁ!!(満笑) 「あぁ〜、ガウリイさん、僕の近くで正の感情出さないでくださいぃぃっ。 あなたのはもぉ、破壊的ですぅぅぅ!! だから嫌だったんですよぉぉぉぉぉう・・・」 そういって、シクシクいいながら、ゼロスは虚空に消える。 ――――――と、待てよ。 どうやって、リナと、すればいいんだ? へたをすりゃぁ・・・まぢでブっ飛ばされる。 いや、ブっ飛ばされるだけならまだいい方だ・・・! 別れを言われるかもしれんし! 一緒に旅が続けられても、警戒されるか、嫌われる?!! でも、リナもまんざらじゃ、なさそうなんだが・・・。 も・もしも、とゆうことが、有るし。 ど、どうすればいいんだぁぁぁぁああ?! ・・・・・・とりあえず、リナのところに戻ろう。 考えるのは、オレの領分じゃ、ないしな。 ・・・・あれ? リナのやつ、寝ちまってる! オレが、こんなに悩んでたというに。 ―――ふぅ。まったく、リナらしいな。 オレは、リナを起こさないように、そぉっと持ち上げ、眠りやすい体制にする。 *********************************************************************** もぞもぞと、リナが動き、ぼぉっと大きな目をあけ、オレを見る。 「!!!!!!!!!!」 あ、完全に起きちまったな〜。 「よっ。起きたかリナ。疲れてんならもっと寝ててもいいぞ」 こんなこと言って、怒られることを予想しつつ、優しく言う。 「ななななななにしてんのよ!!帰って来たんなら起こしなさいよね! 黙ってああああああたしを抱こうなんていい度胸じゃないぃいっ?!!」 そう捲くし立てて、大慌てで起きあがり、地面に着地する。 おいおい、すげぇな。怒られはしないようだが、そこまで驚くかぁ? 「お前さん、起きたばっかりなのによくそんなに喋れるな」 つい、要らんことを言うオレ、だがリナは、気に留めないほど、焦っているらしい、 もの凄く、顔が赤い・・・。 深呼吸したあと、ひたと、オレを見据える。 「それで?ゼロスから聞いた答えは?言っとくけど、 忘れたなんて言ったらブっ飛ばすぐらいじゃすまさないかんね」 と強気に言いつつも、下を向いて、上目遣いでオレを見ている。 うわー、なぁんか、そそるな・・・。 ってこんな時に、なに考えてるんだ、オレ! 「あ〜、それがなぁリナ。オードソックな方法なんだ、どうする?」 うーん。リナに、面と向かって言うのって、けっこうコワイもんが・・。 「オードソックって・・・どのオードソックな方法よ・・・。 もうちっと明確に言ってくんなきゃいくらあたしだってわかんないわよ」 ・・・・って言ってもなぁ。 「いやぁ、オレとしてはいいんだが・・・。聞いても暴れないか?」 睨むなよ、本当のことだろ、これだけは。 「・・・・内容によるけど、そんなん言ってる暇ないでしょ」 なんつー言い方を。暴れたら止めるのオレなのに。 ―――――あ? おさまっていたはずの、顔色が熟したリンゴのように、赤く・・・。 「あ、リナもしかしなくてもわかったか?」 「ああああああの、も、もしかして、ど、どなかたと・・・ そそその・・・・キ、キス(小声)・・・・・とか?」 「あったりー!」 じゃきーん、ずばしぃぃ!! 「どああ!!リナ、爪を立てるなぁぁぁぁ!!」 明るく言っただけ、なんだが、今のリナを怒らせるには十分すぎたらしい。 「わ、悪かったって!ちょっとふざけただけだろーが!」 必死に言うが、墓穴を掘ったみたいだ。 「真剣に悩んでる相手にふざけただぁぁ?!なぁに考えてんのよボケナス ボケクラゲ!!大体、お年頃の花の乙女に軽々キスしろとゆーの?!! 出来るわけないでしょおが!」 「そんなお堅くならんでも――――。 いや、すまん。本当だよな、リナに対してすまなかったよな。 だからそれを消して下さい。お願いします。お堅くなんてとんでもない 考えです。オレが悪かったです。すいませんでした」 棒読みだが、オレは謝り倒す。しょうがないだろ、リナの手の内にある 魔力球が、気になって気になって、言葉を紡ぐのに、今は精一杯なんだ。 「どうしよっかなぁ。あたしずっとこのままなのかなぁ?」 本当に、ちょっと悪ふざけがすぎたらしい、リナはすっかり下を向き 泣きそうな雰囲気だった。 やばい・・・・。可愛いすぎる・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・ぷぶちっ。 (その時確かにナニかかが聞こえた、と旦那は語っていた。byゼルガディス) 「なぁ、リナ」 「あによ、あたし今考え事を―――――っ」 ・・・・・ふっ。 ―――――――――ぽんっ。 コミカルな音を出し、リナの姿は元に戻る。 そのままオレは、暴れるリナを、思いっきり引き寄せ、抱きしめたのだった。 ******************************************************************** 俺の名はゼルガディス。 もとの姿に戻る方法を探し、当ても無い旅をしている。残酷な魔剣士だ。 少し前までは、一人旅だったのだが、今はアメリアが同行している。 ・・・・変な勘違いするなよ? ちょっと盗賊共にイチャモンつけられていたよころに、アメリアが 出てきたんだ。あいも変わらず木のてっぺんから・・・な。 ・・・いや、今は解説している場合じゃないんだ。 アメリアと再会してから二・三ヶ月後ぐらいに、これもまた久方振りに リナとガウリイに出会ったのだ。 もっとも、旦那の感じが(かなり)前よりも変わっていたが・・・。 再会祝いをかねて宿に行ったのだが、一泊した後に事件が起きた。 リナの姿が・・・その・・・・ね・・猫に・・・・。 そのときの旦那の気といったら・・・・。いや、よそう。 すぐ旦那たちと放れたのだが、幾日もしないうちに追いつかれた。 そのことで、俺は頭を悩ませている。 「でな〜、・・・・・リナってばさぁ・・・・・」 永遠ともいえるこの拷問にも似た、旦那・・・、ガウリイが俺に話す リナとの・・・・・こほん。 まぁ、それは置いといて、だ。 この状況を誰かどうにかしてくれ!!! 「・・・・ってゼル、ちゃんと聞いてるのか?」 「聞いとらん!!」 「なんだよ。アメリアはちゃんと聞いてたぞ」 「アメリアに話したのか?!!!!!!」 「や。ゼルほどは詳しく話してないから。安心しろよ」 ・・・・不安だ。 「まー、それよかゼル。悪いんだが、アメリアつれてどっかいって くれないか?」 「わかった」 即答。 「ず、ずいぶん早いなぁ。答えるの」 当たり前だ。どうせ『何故だ』なんて言うと思ってたんだろ。お生憎様だ。 ここまで聞かされていたらわかるさ。それぐらい。 旅支度をアメリアの分もして、俺は食堂に降りて行く。 「アメリア。出発するぞ」 「えぇ〜?!!何でですかぁ?!せっかくリナさんたちに会えたのに! ゼルガディスさんの正義に燃える心が泣きます!!」 「あのな・・・」 ほいっとアメリアの荷物を手わたす。 「あ。私の荷物もってきてくれたんですか?ありがとうございます」 「そういう訳だ。さっさと来ないと置いてくぞ」 すたすたと歩き出す。 「わわっ!ゼルガディスさん!待ってくださいぃ〜」 後ろからけっこうなスピードで、ついて来るアメリアを肩越しに見ながら、 俺はリナに『とんでもないのに好かれたな』と近いうちに言うのだろうか、と 青々とした青空を眺めつつ、コッソリと深い深い溜息をついた。 〜END〜 |
頂き物のお部屋に戻る? |
リナsideを読む? |