CAT THE CAT






















      「うひぃぃぃぃぃいいいいいい!!!」
     朝、あたしの声が宿の中に響き渡る。
      「あぁぁあ、リナさんのせいですよ!!
       人が魔術をかけてる最中にいきなり神滅斬(ラグナ・ブレード)で
       切りかかるなんて・・・。
       僕だったから良かったものの、危ないですよ〜。」
     全然困っているとは思えない言い方であたしをいつもと違わぬ
     ニコ目で小言のように言う。
      「ぬわぁにが『危ないですよ〜』だ、このスットコ・ゴキブリ獣神官!!
       ふざけんじゃないわよ、はやく元の姿に戻しなさいよね!!」
       



     コトの始まりは言うまでもなく今朝。
     あたしが気持ち良く寝ていたとき、
      「リナさん、リナさん、起きてください」
      「うみゅ〜、むきうぅ」
     よくわからんことを呟きつつ、のそ〜と体を起こすあたし。
      「あぁ〜?ゼロスぅ?」
      「お久しぶりですね、ルークさんの時以来ですか?」
     ・・・・・・・・・・・・ん?
      「って、なんであんたがうら若き花の乙女の寝室にいるんじゃあああ!!」
     ごがすっ。
     あたしの顔の近くにいた、ゼロスに必殺!
     インバース・トルネード・デストラクションがゼロスの顔面に
     直撃し、あたしとゼロスの間に一定の距離ができた。
      「なっ、なにするんですかぁ!いきなりだなんて酷いじゃないですか!
       大体、うら若き花の乙女ってなんですか!
       と、いっても僕は魔族なんで痛くないですけどね」
     いちいちとむかつく奴だわ・・・。
     よけーなことは言わんでいい!
      「あーはいはい、んなこたどーでもいいから。
       で?一体何の用よパシリ魔族のゼロス」
      「なにがパシリ魔族ですか、リナさん失礼ですよ。
       あ、そうそう、用件と言えるかわからないんですけど
       ちょっとリナさんを使って遊ぼうかと」
     人を使って遊ぶだぁ?なんつーやつ!ってまぁ、魔族だしね。
     ・・・納得してる場合じゃないか。
      「んで?このあたしを使って遊ぼうだなんて、言い度胸じゃない。
      さぁ、どうやって遊ぶのかじっくり聞かせてもらいましょうか?」
     ふざけた奴とはいえ、相手はあのゼロス、油断は禁物である。
     まともに戦えば、たぶんあたし一人では勝てない奴、ゼロスの『遊び』が
     どんなものか分からない以上、ゼロスの出方をうかがうしかない。
      「いやですねぇ、そんな物騒なことじゃありますんよ。
       本当にちょっとした余興です」
     そういって手にもっていた錫杖を振りかざし、人には聞き取れない
     『声』を紡ぎ、あたしの周りにモクモクと煙が―――って
     煙?!何だかわかんないけど、いや〜なカンジがする。
     やめやめ!ゼロスなんてまともに相手なんかするもんじゃない!
     ――――悪夢の王の一片よ 天空の戒め解き放れたし
      「・・・え?」
     ―――凍れる黒き虚無の刃よ
      「ち、ちょっと・・・リ、リナさん?」
     ―――我が力 我が身となりて
          共に滅びの道を歩まん
      「わわわっ!な、何をするんですかぁぁ。」
     情けない声を出してんじゃない!観念しなさいよ〜。
     ―――神々の魂すらも打ち砕き
       たっ、たんま!たんまです!ってあああぁぁぁ!!」
             
           神滅斬(ラグナ・ブレード)!!!! 
       
     って、あれ?
     ゼロスってこんなにデカイちゅうか、ここの宿屋もこんなに広かったけ?
     んなわけないし・・・・。どお考えてもあたしが縮んだってところか。
     鏡を見りゃ、あたしがどれくらい縮んだか分かるわよね、つーことで鏡、鏡と
     あ、あった。
     ・・・・・・。
     ・・・・・・・・・・・・。
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・。
     な・・なじゃぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!こ、こりわぁぁぁああ!!!!
     洋服はいつもの魔導士スタイル。だがしかし、
     身長は猫の少し小さいぐらい、普通は耳の在るところに耳はなく、
     頭のところにコレは否定しようもない、どう見ても猫耳、 
     あたしの手といえば、肘の辺りから猫手。(足は平気)
     おまけにあたしのかわいいおしりさんの少し上辺りから
     これはまたご丁寧にも猫の尻尾。
     猫な部分の色はあたしの髪の毛と同じ色。
     そして、あたしは絶叫する。


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     と、没頭へ戻るのだった。
 
      「はっはっは。結構お似合いですよvやっぱり思った通りです。リナさん。」
      「何がじゃ!いいから元に戻して!!」
     ゼロスは笑みを一層深くし、クスクス笑っている。
      「いやだなぁ、もう忘れちゃったんですか?
       言ったでしょう、遊びだってv」
     こりゃあ、ゼロス自身が戻すことはなさそうである。
      「ふぅん。ゼロス、遊びっていうんならずぅっと同じ遊びじゃあ
       つまんなくなるわねぇ?あんたの事だから何かしらコレを
       解除する方法、ろくでもないだろうけどあるんでしょ?
       付き合ってあげるから教えなさい」
     ゼロスが何か言おうとした途端、
      「きゃあぁぁぁぁあああ!!!
       リナさん、可愛いぃぃぃぃぃぃ!!!」
     すさまじい大声であたしを指差し、驚く間もなくぎゅううっと抱きしめられる
     抱きしめてきた人物は、昨日偶然合ったアメリア。
      「ア、アメリア!放せぇぇぇぇ!!
       あたしはゼロスを血祭りに上げなきゃいけないのよぉぉぉ!!!」
      「え?ゼロスさん居たんですか?」
      「は?」
     さっきまでゼロスの居たところに目をやれば、すでにもういないのであった。
     ずげげっ!この姿を元に戻す方法聞いてないぃ!
     ど、どーしよう。
      「どうしたんだ!アメリアの叫び声が聞こえたが―――」
     そおいって、二番目にあたしの部屋のドアの前に来たのは、ゼルガディス
      「なっ!リナかお前っ!くそっ、旦那にどう説明しろというんだ?!」
     何だか知らんがめちゃめちゃ焦りまくり恐怖するゼルちゃんでした。 
      「なんでゼルが説明する必要があるっていうのよ」
      「何だ、話せるのか」   
     安堵の溜息をするゼル、なんでそんなにガウリイに説明したくないんだ?
     おまいは。  
      「なんだ〜、どうしたんだ?」
     うわさをすればなんとやら、遅めの登場。   
     て、いうか一応あんたあたしの自称保護者だろ。あたしの悲鳴で来なさいよね
     ・・・・・な、なに言ってんだろ!恥ずかしい・・・・。
      「ってああ?!!リナぁぁぁ!!!!」
     でっけー声で叫ばないでほしい。耳が痛ひ。
      「それよかアメリア、あたしに崩魔陣(フロウ・ブレイク)唱えてみて!」
      「えぇ?!そんなもったいないじゃないですか!」
      「いいからやらんかい!・・・・でないと・・・」
      「でないと・・・・?」
      「んっふっふっふっふ。こうすんのよ!
       爆煙舞(バースト・ロンド)!!」
      「どひいぃぃいいいいいいい?!」
     あたしはその間に浮遊(レビテーション)でガウリイの頭に乗っかる。
     ゼルだと痛そうである。針金っぽいし。
      「お前さんなぁ、ひどいと思うぞ」
     そういって頭に乗っていたあたしをひっ掴んで片手で抱っこする。
     うう、猫手のせいでガウリイの服に爪をひっかけてしまった。
      「ひどい・・・リナさん、私を殺す気ですか・・・?」
     やかましい、さっさとやらないからである。
     かすり傷程度ですんだんだし、文句を言わないでほしいもんだわ。
      「じゃあ、やってみますね」
     ――――光と地と風の力よ 魔の呪文を今こそ破らん
             崩魔陣(フロウ・ブレイク)
     ・・・・・・・。
     ・・・・・・・・・・。
     か、変わんねぇ。
      「まぁまぁ、気ぃ落とすなよリナ。
       それよか腹へらないか?朝飯まだだろ?」
     ガウリイはあたしの背中をぽんぽんと優しく叩き、人がこんなに困ってるのに
     そんなん考えてない、とゆう雰囲気であたしに視線を送ってくる。
      「そうだな、ここで考えていても始まらんしな」
     ・・・ふむ、ゼルの言ってることに一理あるかぁ。
      「そおね、朝ご飯たべましょうか」
     そういって、あたしは服に食い込んでいた爪をとり、下に降りようとしたのだが
      「・・・・ちょっと、下ろしてくんない?ガウリイ」
      「だって、危ないじゃないか。そんなにちっこくなっちまったし」
     いや、そおなんだけど・・・。
     この体制ってかなり恥ずかしいもんがある。
     なぞと考えている間にすでに一同、階段を降りて食堂のテーブルに付いていた
     うおっ。なんだか移動がやたらと早くないか?!
      「・・・あんさぁ、テーブルに付いたんだし、腕、放してくんない?
       あたしテーブルの上で食べるから」
     つーか、膝の上の乗っけないでよね。本当の猫じゃないんだから。
     ほとんど無理矢理ガウリイの腕の中から這い出しテーブルの上に乗るあたし
      「ええっ、なんでだよ」
      「当たり前でしょーが、子供じゃないんだから!
       どぉせ忘れてるんでしょうけど、あたし18歳なんだけど。
       ったく、嫌んなるわよ?そこまでクラゲだと嫁さん貰えないかんね!
       ――おっちゃーん!メニュー上から下まで五人前ずつお願いねー!!」
      「あ!オレもそれの十人前ずつで!!」 
      「俺はコーヒーだけでいい」
      「ゼルガディスさん!そんなんじゃいけませんちゃんと食べないと駄目です!
       と、いうことで注文は―――」
      「アメリア、俺は別に・・・・」
     
     うっ!ご飯がきたのはいいものの、手で掴めないんじゃ食べれないじゃない。
     この猫手でどうしろというんじゃ・・・。ああ、どーしよー。
     アメリアに食べさせてもらおうかなぁ・・・。
      「リナリナ!ほら、あーんv」
     ――――ん?
     あたしの目の前に食べやすい大きさに切ってあるウインナ―さんが出された。
     フォークの先を辿ってみれば差出人はガウリイ。
     く、食えるかぁぁぁぁぁぁっ!!!!(///////////)
     な、な、な、なぁにが『あーんv』か!!
      「どうした?食べないのか?」
     い、いや、ガウリイは何も考えてないのよ。ただのおせっい・親切なだけ!
     で、で、で、でもでもでもでもぉぉぉう。
     あうあうあうあうあうあう・・・・。
      「あ、あ、あ、アメリア〜、あたしにベーコン食べさしてくんないぃ?」
     自分でも声が上ずっているのがわかる。
     視線を力いっぱい外し、アメリアの方をちょいとすがるように見る。
      「あぁぁああ!!なんという美味しいシチュエーション!!!!
       ガウリイさんがリナさんに・・・なんてぇぇぇぇぇ!!!!」
     うあぁ。なんかヤバイしぃ、アメリアってば。人の話し聞けよ。
     もといこれじゃあ聞こえてないわね〜。うげぇぇ、バカたれめ・・・。
      「落ち着け!アメリア!」
     ゼルが説得におおじるがいっこうに聞かない。
      「・・・・すまないが、アメリアと違うテーブルに行ってる。
       その方がいいだろう?それじゃあな、健闘を祈るぞリナ」
     ああっ!ゼルがアメリアをなだめながら去っていく・・・。
     ちらりと視線を戻してみれば、さっきの状態ままガウリイがこちらを見ている
     ううううっ。
     ―――――――――――ぱくっ。
     人間、空腹にわ耐えられないもんである。
      「おおっ!食べた!!」
     ぱぁぁぁと満円の笑みを浮かべ、せかせかとあたしに餌付けをしてくれる。
      「ほらほらリナ、あーん」
     恥ずかしい。恥ずかしいよぉぉぉぉ!
     
     ぷう、お腹いっぱい。
     あたしとしたことが、あのままずーっとガウリイが差し出してくれる
     食事をぱくぱくとまぁ食べつづけたのである。
     もちろん、食後にガウリイをブっ飛ばした。あたしをおちょっくた罰に。
     今は外。宿を引き払い街道をみんなで歩いている、あたしといえば
     恥ずかしいことこの上ないが、ガウリイに抱っこされている。
     ・・・・勘違いしないでね、ただ単にガウリイの腕の上に座っているだけよ。
      「ねぇぇ、コレ解く方法浮かばない?」
     三人に問い掛けてみる。
      「ここはやはり!正義の王道☆王子様のキスで治ると思います!!!」
      「却下」
      「ええ〜、なんでですかぁ」
      「王子様なんてぽこぽこいないもんよ、アメリア」
      「なに言ってるんですか。王子様vというのはガウリイさ――」
      「火炎球(ファイアー・ボール)」
     どぐぐわわぁぁぁぁぁん。
     ぬわぁぁぁに言ってんだか、ガウリイは自称保護者でしょうが。
      「で、ゼルは?」
      「あ〜、そ、そうゆうのは専門外だ。悪いな」
     そしてアメリアが飛んでいった方向に走ってゆく。
     くあぁぁ。いまいち役に立たない奴!
      「なぁ、リナ。魔法も使えるんだしこのままでいいんじゃないか?」
      「んなわけないでしょ、不便もいいとこだわ。やぁよ。
       ちゅうか、あんたあたしの自称保護者でしょうが!ちっとは心配するか
       元に戻す方法考えなさいよね!」
     ったく、なーに言ってるんだか。
      「ん〜、そっかあ」
     きぃぃっ。なんつうノン気なやつ!わかってんのかい、このヤバイ状況が!!
     ・・・・・わかってないかもしんない。
     くそぉう、どうしたもんかね。
      「いやぁ、むずかしすぎましたか?リナさん」
      『ゼロス!』
     なにくわぬ顔であたしたちの前に出てきたしぃ。むかつく。
      「はっはっは、ご馳走様。リナさんの負の感情は相変わらず美味しいです。
       このままだといっちもさっちもいかなさそうでしたのでね」
      「なに言ってんのよ!元はと言えばあんたの所為でしょうが!! 
       飽きたんならさっさと元に戻しなさいよ!!」
      「ちっちっち、よく聞いてください。僕はヒントをあげに来ただけです」
     なんですってぇ!?ヒントだぁ?!!
      「ずばり、答えはリナさんの近くです!
       ・・・・僕としてはこんな事ヤなんですが、立場上仕方ないんです」
     何だ?そりわ・・・。おまい自分の遊びじゃないんかい。
      「なぁゼロス、立場上ってどう言う意味だ?」
      「・・・・・獣王様のご趣味です」
     どおいう趣味だ。人を猫にするのが趣味かっ!
      「ま、それよりも、だ。どうしたらいいんだ?」
      「そーよ!ヒントなんかいらないから教えなさい!」
      「そうですねぇ、それじゃあガウリイさんに教えます」
     なぜに・・・?
      「すまんな。すぐ戻って来るから、ここに居ろよ」
     そういってあたしは木の根元に置かれる。
      「なんであたしには教えないのよ」
      「そうゆう命令があるんです」
     ちちぃっ!何だっつうのよ獣王って!
     そおいや戻って来ないな、アメリアとゼル。どうしたんだろ。
     
      「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!」

     あ、なんかぼんやりと聞こえる、ガウリイの声だわ。
     なに叫んでんだか?
     ふわぁ〜あ、すごく眠い。まぁ、かなりの朝方に起こされたしなぁ・・・。
     寝て待ってようかなぁ・・・・・・。
     そこであたしの意識は暗転した。


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     ・・・・ふに?
     さっきまでお日様のぽかぽかだったのに、今はなんだか違う温かさがある
     一体なんだろ?ものすごく気持ちいい・・・安心できるニオイだ・・・。
     少し重たい瞼を開き―――――
      「!!!!!!!!!!」
     あたしは声にならない声を上げる。
      「よっ。起きたかリナ。疲れてんならもっと寝ててもいいぞ」
     そう、あたしはこともあろうに胡座をかいてるガウリイの・・・ 
     なんちゅーか、足のところに楽な体制でいたのである。
      「ななななななにしてんのよ!!帰って来たんなら起こしなさいよね!
       黙ってああああああたしを抱こうなんていい度胸じゃないぃいっ?!!」
     そう捲くし立てて大慌てで起きあがり、地面に着地する。
     焦るあまりにロレツが上手く回らない。ガウリイといえばびっくりしている。
      「お前さん、起きたばっかりなのによくそんなに喋れるな」
     うるさいやい。驚いたんだからしょうがないでしょ。
     あたしとしたことが慌てすぎたようだ。深呼吸をして落ち着くあたし。
     顔があちい・・・。
      「それで?ゼロスから聞いた答えは?言っとくけど、
       忘れたなんて言ったらブっ飛ばすぐらいじゃすまさないかんね」
     と言いつつもつい下を向きながら喋るあたし。
      「あ〜、それがなぁリナ。オードソックな方法なんだ、どうする?」
     いや、どうするって聞かれても・・・・。
      「オードソックって・・・どのオードソックな方法よ・・・。
       もうちっと明確に言ってくんなきゃいくらあたしだってわかんないわよ」
      「いやぁ、オレとしてはいいんだが・・・。聞いても暴れないか?」
     うあっ。人を暴れ馬のように言うな!
      「・・・・内容によるけど、そんなん言ってる暇ないでしょ」
     ジト目で見ないで欲しい。あたしが暴れるような内容――――?
     ・・・・・・まさかとは思うが、もしかして・・・?
     あわわっ!顔がまた熱くなってきたっ。
      「あ、リナもしかしなくてもわかったか?」
      「ああああああの、も、もしかして、ど、どなかたと・・・
       そそその・・・・キ、キス(小声)・・・・・とか?」
      「あったりー!」
     むかっ!
     じゃきーん、ずばしぃぃ!!
      「どああ!!リナ、爪を立てるなぁぁぁぁ!!」
     これが爪を立てずにいられるかっつーの。
     人事だと思って明るく言いやがって・・・!いつもどうりにデリカシーの
     『デ』の字もない奴!!ゆるすまじ!
      「わ、悪かったって!ちょっとふざけただけだろーが!」
      「真剣に悩んでる相手にふざけただぁぁ?!なぁに考えてんのよボケナス
       ボケクラゲ!!大体、お年頃の花の乙女に軽々キスしろとゆーの?!!
       出来るわけないでしょおが!」
      「そんなお堅くならんでも――――。
       いや、すまん。本当だよな、リナに対してすまなかったよな。
       だからそれを消して下さい。お願いします。お堅くなんてとんでもない
       考えです。オレが悪かったです。すいませんでした」
     ふっ。わかればいいのよ。ちょぉっと心持ち棒読みなのが気になるけど、
     あたしは手に持っていた魔力球を快く消す。
      「どうしよっかなぁ。あたしずっとこのままなのかなぁ?」
     そう言ってもやっぱし悲しいもんがある。
     こういうのってやっぱし親とか姉ちゃんとかだと効かないだろうし。
      「なぁ、リナ」
      「あによ、あたし今考え事を―――――っ」
     ・・・・・ふっ。
     ―――――――――ぽんっ。
     コミカルな音を出し、あたしの姿は元に戻る。



    ******************************************************************** 


     
      「なぁんだ、元に戻ったんですね」
     と、アメリア。
      「そおよ。時間がたったら勝手に解けるお粗末な魔法だったのよ」
     あたしは平静を保ちつつ、二日ぶりのアメリアに説明する。
     ゼルとアメリアは二つ向こうの町に宿をとっていた、曰く
     あたしが治るまで何処か遠くへ避難しようと二人で決めていたらしい。
     ・・・・どおいう意味だ、と問い詰めたがガウリイの所為で途中で中断。
      「本当ですかぁ?」
      「なによ、その疑わしい目は?」
      「だってガウリイさんと言ってることが違うんですけど」
     あんだって?
      「あ、いやですね、先程ガウリイさんがやたらと嬉しそーな笑顔で
       歩いていらしたんで、なにか嬉しいことがあったんですかって聞いたら
       いやぁ、やっとリナと念願の恋仲になったんだーって、
       それはもうこれでもかってほど破顔して言ってらしたんで・・・」
     な、な、な、な、なぁぁぁぁあぁぁあああ?!!!!!(/////////////)
      「その様子だと真実みたいですね。
       と、ゆーことで、リナさんおめでとうがざいます!!!!
       ・・・・・ってリナさん?」
     んふふふふふふふふふふ。
     そおいうこと言いふらしたわけね・・・・・?ガウリイ君は。
      「ああっ!何処行くんですかぁ?!」
    

     どんどんどん!思いっきりガウリイの部屋であるドアを叩く。
      「ガウリイ!!!!」
      「よっ!リナ、どうしたんだ?」
     ガウリイはドアを開きあたしを快く部屋に招き入れる。
     一応あたしたちは部屋に用意されているイスに腰掛ける。
      「あんた・・・アメリアに何を言ったかしらぁぁ?」
      「へ?ああ、そりゃあ決まってるだろ。オレとリナのことv」
     ・・・・・。そこまではっきし言われるとこちらとしても・・・・。
     あうう。
      「・・・で?」
     は?なにが『で?』なんだろ。あたしはじっとガウリイを見やる。
      「まさか、それだけか・・・?!」
     なしてそんなにショックしてんのさ。
      「他になんかあるの?
       あ、もしかしてブっ飛ばされたい?」
     あくまで笑顔いうあたし。
     しかし、それが間違いだった。
      「リナvそーんな悪い悪戯は駄目だぞv
       ・・・・・・・悪い子にはお仕置きが必要だよなぁぁ」
     妖笑・・・?はっ!や、やばい!!
     逃げなきゃこっちが危ない!!!あたしは踵をかいし、ドアの方へ、
     行こうとしたが、ガウリイがバカ力であたしを後ろから抱きしめる。
     ぐ、ぐるぢぃ。
      「は、放してくんない?」
      「えー、ヤだv
       いいじゃないか、そおいう仲になったんだし」
     うひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!
      「まままままって!ほ、ほら、ゼルやアメリアもいることだし・・ね?」
      「それなら心配ない。さっきゼルにリナとヤるから、
       アメリア言いくるめてどっか行ってくれるよう頼んどいたからv」
     な、なんだとう?!
     そおいえばゼルの姿が見えないなぁ、なんて思っていたが・・・
     こいつの差し金かぁぁぁぁぁぁ!!!!
      「リナからオレの部屋に来てくれるなんて嬉しいなっ」
     あきゃぁぁぁぁぁぁぁああああああ・・・・・・・!!!!!!!!
     


                                〜END〜



   

   〜おまけ〜

      「くぉぉのエロクラゲぇぇぇぇ!!!!!
       いいかげんにしなさいよね!」
      「まぁまぁ、リナは可愛いなぁv男なんてそんなもんだv」
     はい、それは違うとものすごく思います。
     あんたは何も考えてないでしょ。場所も時間もあたしのことも。
      「減らず口が叩けるなら大丈夫だよなぁぁ。リナv」
     ほら、言ってる傍から全然考えてない。
     

     アメリアたちと別れてはや三日、こいつの所為で部屋から出して
     もらえません。ご飯もくれますが、猫手の時と変わらず食べさせようと
     してきます。もぉ、はっきし言ってよくもつなと、自分でも思います。
     なんで逃げないかとゆーと、呪文を唱えようとすると、止め。
     か弱いあたしは力では絶対にこんな奴にかなわないからです。
     ・・・・・・いい加減、助けてくれないかと思う今日この頃。
     いつになったら再び旅に出られるんでしょうか?
     ――――ちなみに、ゼフィーリアに行くのはそおいう為だったらしいです。
     葡萄とか言ったのはほのめかしただけだそーです。
     あたしが考えてた通りでした。
        ところで、ゼロスはあたしに何の用だったんだろ
        『遊び』とか言って誤魔化してたけど・・・?










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ガウリイsideを読む?