運命、そして宿命。 |
第13話:すべては運命――そして、宿命。 ……『お父様』『お母様』。 フェリオは確かにそう言った。 だが。 今、あたしの目の前にいるのは―― 「……ゼルガディスさん……アメリアさん……!?」 ――そう。 目前に佇むのは、現セイルーンの王子と王女だった。 その2人を、ああ呼んだってことは……つまり…… 「……フェリオ。 お前の両親って……」 「うん! この2人が、僕のお父様とお母様なんだよっ!!」 ……マジ……? 「お久しぶりですね、ルーナちゃん♪ フェリオがお世話になっちゃったみたいで……」 「……い、いえ……」 混乱中の頭で、しかしなんとかアメリアさんに返事を返すあたし。 「……じゃあ、フェリオの親が会いに来た、昔の仲間って……」 「あ、それきっと、あたし達のことよ」 あたしの呟きに、母さんが答える。 「本当は、もっと早くにおめでた祝いをしに来たかったんですけど……仕事の方が忙 しくて……」 「へーきへーき。気にしないでよ」 「………なんで気づかなかったんだ……あたし……?」 よくよく考えてみれば、である。 あの見事な銀の髪。 そして、大きな青い瞳。 そのどちらも、立派な親譲りではないか。 ……まだまだだなぁ……あたし…… 「別に、気づかなくても無理ないさ。 お前がフェリオに会ったのって、4歳の時に1回きりだったんだぞ?」 ぽんぽんとあたしの頭を叩きながら、父さんが言った。 「……って言ってもなぁ……」 「だぁーいじょうぶだって。気にすんな。 俺なんか、会ったとき全然気づかなかったんだぞ」 「それはあんたがくらげだからよ」 「……リナぁぁぁぁ……」 母さんにきっぱりと言われて、涙する父さん。 「……ねえねえルーナ。 お父様と、お母様と、知り合いなの?」 「うん、まぁな。 ……って、お前だって、うちの母さんや父さんと、知り合いだろ?」 あたしが言うと、フェリオはきょとんとして、 「なんで? 僕、昨日ルーナのお父さんに初めて会ったんだよ?」 …………ひょっとして……フェリオも覚えてない……? 「まだちっちゃかったからな、ルーナもフェリオも。 覚えてなくて当然だ」 と、会話にはいってきたのは、父さんだった。 「……お前の名前……おじいさん譲りだとかなんとか言ってたけど…… フェリオ……フィリオネル……そっか、そーだな……」 「? 何の話??」 「いや、別に。 しかし、お前が言ってた『ナントカの魔剣士』って……『クールでおちゃめな魔剣 士』のことだったんだな」 「……おい、リナ。 お前、俺のことなんてルーナに話したんだ……?」 「いや、まぁその……ははは……」 向こうの方で、なんか会話が聞こえるが、気づかない振りをしておこう。 ――ふと。 あたしは、ある違和感を胸に覚え、考え込む。 ……現セイルーンの王、フィリオネルの孫。 つまり―― 「……ちょぉぉぉぉっと待ったぁぁぁぁぁっ!!! 今なんかすっげーおぞましい事実に気が付いたぞっ!?」 「ふぇ? どうしたのルーナ??」 「いいか? お前、現王フィリオネルの孫なんだよな?」 「?? ……そうだけど?」 あたしの意がわからず、しかしそれでも一応質問に答えるフェリオ。 「……っつーことは…… お前……セイルーンの、王族……!?」 「うん」 さらり、っとフェリオは肯定した。 そして。 あたしも決意した。 「……わかった。よ――――――っくわかったよ、フェリオ。 決めた。 お前の根性、叩きなおす」 「…………へ?」 「え?」 「はぁ?」 フェリオとアメリアさんと母さん。 3人が同時に、間抜けな声を出した。 父さんとゼルガディスさんは、事の成り行きを見守りつづけている。 「お前を特訓してやる。 ……せめて、『ブラム・ブレイザー』を、自信満々に使いこなせるぐらいまでな」 「えぇぇぇぇええええええぇぇぇぇええっ!? やだよぉぉぉぉぉぉぉっ!!またあんなおっきいのと戦うのぉっ!?」 「そこだっ!そーゆう情けないところがダメなんだっ!! いいかっ!? お前みたいな軟弱な男がこの世に存在してるってだけでも許しがたいのに、それが よりにもよって王族だとっ!?笑わせんなっ!! いつかお前が王としてセイルーンを動かすとき、誰もが平伏するような奴に仕立て 上げてやるからっ!覚悟しとけっ!!」 「……言葉がめちゃくちゃよ、ルーナ…… っていうか、街の人平伏させてどーなるっていうの?」 「気分が良くなるっ!!」 「……あっそ」 「やだぁぁぁぁぁっ!お母様ぁっ!!!」 「……いいです……いいですよルーナちゃん……! それこそ正義ですっ!まさに正義の申し子!! リナさんの娘とは思えません!!」 「あ〜め〜り〜あ〜……?」 「じょっ……じょじょじょ冗談ですよリナさん……」 「やだぁぁぁぁぁっ!お父様ぁっ!!!」 「………まぁ、死にそうになったら逃げ出して来い」 「うわ―――――――――――――んっ!!!」 「さぁっ!そうと決まったら早速特訓だっ!! 行くぞフェリオ!!」 「行きたくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!」 引っ張るあたし。柱にしがみつき、ごねるフェリオ。 そんなあたし達の耳に、両親達の会話が聞こえてきた。 「……とんだ災難だなぁ、フェリオも」 「ってゆーか、立派な人災よね、これって」 「つくづく運が悪いですぅ、フェリオってば。 連れてくる途中、はぐれちゃうし……」 「まぁ、そのはぐれた先で、ルーナに会っていたとはな。 ――運命、ってやつか?これも」 「おやおやぁ? ゼルちゃんってば、かっこいいことゆ〜じゃなぁい♪」 「……からかうな(//////)」 「でも、本当にそんな感じですよねぇ…… ルーナちゃん、将来が楽しみじゃないですか?」 「ああ。俺の自慢の娘だ。 ……でもさぁ、リナ? あれって……運命とは、なんかちがくないか?」 「へ?」 「なんか……どっちかってゆーと…… そうそう、宿命って感じじゃないか?」 「……そうね…… そっちの方があってるかもね、うちの子には。 たまには良い事言うじゃない、ガウリイ」 「……たまには……って……ι」 ……その後は、逃げ出したフェリオを追っかけてったから、聞こえなかったんだが。 ――運命――宿命―― これ、どーゆー意味なのかさっぱりわかんないし、何が違うのかもわかんないけど。 ただ。 すっごく、かっこいい感じがしたんだ。 「くぉらぁぁぁぁっ!どーして逃げ足は速いんだよぉぉぉっ!?」 「うえぇぇぇぇぇんんっ!だってルーナ、怖いんだもぉぉぉぉんっ!!!」 <終わり> ―――――出会いは運命であり、 すべては宿命である――――― ・・・はいっ!今度こそ終わりですっ!! なんかいろいろと書ききれてないこともあるんですが、そのすべては番外編でっ!! (何ィ!?) えーっと、ここでとりあえず、完全オリキャラの2人をごしょーかいしちゃいます。 ルーナ=ガブリエフ:10歳。 ゼフィーリア出身。魔剣士見習い。 あまり人と関わり合いをもたないタイプだが、なぜか近所 ではモテまくっている。(笑) フェリオ=グレイ=ティル=セイルーン:10歳。 セイルーン出身。神官見習い。 精神年齢は低く、臆病者。一応、セイルーンの王族であ る。 ・・・はう。こんなもんです。 ただ、いろいろと秘密があるんですよね・・・この2人・・・ ルーナちゃんなら目とか、フェリオくんなら過去とか・・・ これもいつか、番外編で。(おいおい) 最後?に。 こんな長ったらしい駄文を見捨てずに読んでくださり、まことにありがとうございま したっ!!ではっ!!! |