運命、そして宿命。 |
第1話:運命の出会い? あたしは走っていた。 永遠に続くかもしれない、森の中を。 ……そんなわけないが。 ともかく、走っているのだ。 ……人が走ってるって言うんだから、信じろって。 とにかく。 あたしは、走っている最中に―― 人の気配を、感じたのだった。 「……誰だ?」 あたしは、低く問いかけた。 気配はすぐ近くにある。問いかけなくても良かったのだが、そこはまぁ、母さんの言う『せおりー』とかいうヤツである。 ……なんなんだろ?せおりー、って。 まぁいいや。 それより、気配はまったく反応しない。 「出てこないのか? なら、こっちから行くが」 あたしはそういいながら、腰にさしておいた短剣を抜く。 意識を集中し、気配の居場所を突きとめ―― 「……こ……こここここないでよぉ……!」 震えた声は、その気配のする場所から聞こえた。 ………へっ………? 「で、ででで出るからぁ……だから、そんな物騒なもの出さないでよぉ……」 情けない声と共に、茂みから人影が現れる。 ――肩まである銀髪に、はっきりいって顔の70%はしめてるんじゃないかと思えるくらい大きな瞳。 ちなみに。男だった。 ……男があんなに情けない声出してどーする? [あ……あれ……?」 情けない男(命名)は、涙で溢れかえっている目であたしを見ると、 「……お……女の子だったの……?」 …………………オイ。 「聞くけど……ケンカ売ってるんだったら、遠慮なく買うが……?」 「ち、ちちち違うよぉっ! ただ、口調からして男の子かなぁ、って思ってて……それで怖くて、茂みから出られなかったんだ……」 「ふーん……ま、いいけどな…… それより。なんでお前みたいな意気地なしが、ゼフィーリアの森――まぁよーするに、こんなところにいるんだ?」 「……え……森……!?」 意気地なし、という言葉に反応しないあたり、どうやら自覚はしてるらしい。 「ああ、森だよ。みりゃわかるだろ?」 「え……でも僕、森ってはじめてだから……わかんなかった……」 ……どこのおぼっちゃんだ、こいつは……? 「お前、名前は?」 「ぼ、僕……? んっと……フェリオ、だけど……」 フェリオ? 「……変な名前。」 思わず口に出すあたし。 「変な名前……って…… これ、一応少しだけどおじい様から頂いた名前なんだけど……」 さすがに聞き流せなかったか、フェリオは言い返してきた。 「あーはいはい。 じゃあ、一応あたしも名乗らなきゃな」 あたしは、背中に流れる栗色の髪をぱさり、とやると、フェリオをまっすぐに見つめて自己紹介した。 「あたしはルーナ。 世界一の魔法剣士になるために、現在修行中なんだ」 <つづく> フェリオくんの正体、バレバレじゃん……(汗) まぁ、言わないでやってください。ついでに気長に見守ってあげてください。 |