夏 の ア ト






第一回  提灯に照らされて

前編



日が沈み、星が瞬く
人は寝静まり、ささやきすら聞こえません
そこに


「あの男どもはぁぁぁぁぁぁああ!!」


怒りの声が響き渡りました




・・・ここは小さな町の一件だけある宿屋・・・

その平凡な宿屋の、ごく普通の部屋で
人並みはずれた女性が二人語りあい・・・・
「あいつら、デリカシーがないにもほどがあるわよ!!」
「そのとおりです!いくらなんでも酷すぎます!!」
・・・もとい、叫びあっていました(汗)


栗色の髪の女性、リナは怒り狂っていました
いつもは止め役にまわる黒髪の女性、アメリアも・・・・
・・・まぁ、無理もありません
あんなことを言われては怒るなという方が無茶でしょう
さすがに<アノせりふ>は・・・・




それは、食堂でのこと・・・

リナとアメリアは食事をしていました
そこに声がかかりました
<二人とも可愛いね♪どっかいかない?>
・・・完全にナンパです
いつもなら、互いの相手がいるので声をかけられることはないんですが・・・
ガウリイは食事の注文に、ゼルは酒の注文で出払っていました
どちらもリナのお願い、いや脅しでしたね(笑)
その隙をこの二人組はついたのでした
リナはすぐに断ろうと思いましたが
<ここの食事代出すから>・・・・・付き合うことにしました
しかし、それを口にするより一瞬早く声がかかりました


「そいつらになにか用か?」
・・・ゼル、いつ戻ったんですか?

ポン

「悪いな。俺たちの連れなんだ」
ガ、ガウリイ・・・あなた本気でいつの間に
しかも男たちの背後に・・・・肩に手まで置いて
・・・・なんて怖い人たち
さすが、ガードがもろ堅いですね
今も顔は穏やかですが纏う雰囲気がしゃ、しゃれになってません(滝汗)
そんな二人に挟まれて、反論できる人がいるでしょうか
いるはずがありません
男たちは脱兎のごとく去っていきました


・・・そのまま終われば何事もなくすんだんでしょうが、
ゼルが余計なことを言いました
「やれやれ、まさかを子供を誘う物好きがいたとはな」
そして、肩をすくめます

ビシッ

おもいっきし固まる女性陣
そこに更に追い打ちがかかりました
「言い過ぎだぞゼル・・・・まぁ、オレもリナを誘う命知らずがいるとは」
最後まで言うことはできませんでした
「この脳味噌スケルトンおとこぉぉぉぉお!!!」

  ズキュリュルルゥゥゥウ!!!

ひねりを加えた見事な一撃が顎に決まります
そのまま、リナは去っていきました
アメリアも
「ゼルガディスさんのばかぁぁぁぁぁぁ!!」

ズドドドドドドォォォォッォ!!!

ゼルを跳ね飛ばし去っていきました
彼らは、乙女の怒りを体で味わったのでした(笑)


彼女たちは足音も高く部屋に戻ってきました
そして始まる作戦会議・・・・・<ボケ男どもを更生させる提案(リナ命名)>
よっぽど悔しかったんでしょう
かなり過激な意見が出ました
たとえば・・・・すいません、危険すぎてとても私では(滝汗)
と、ともかくいろんな策が練られましたが、どれもぱっとしません
そのせいか、いつの間にか不平の言い合いに・・・
それがエスカレートして冒頭の叫びあいになったのでした




「ねぇ、リナさんどうしましょう?」
「そんなことあたしにだってわかんないわよ」
リナとアメリアはまだ語りあってました
もう5時間ほど経過したんですが・・・・かなり鬱憤が溜まってたんでしょう
「そうですか・・・・でも、このままじゃ悲しすぎます。
このまえだって」
「あれね・・・・まったく失礼な話よね。
とっくに結婚できる年だっていうのに・・・・あいつらの目は節穴だとしか思えないわ」
「そのとおりです!!
<子供はさっさと寝ろ>って・・・そんなの正義じゃありません!!」
「まだいいじゃない!あたしなんか
<リナ、酒場ってのは大人が行くもんだ。おまえには10年経っても無理だ>よ。
いったい人をなんだと思ってんのよ!!!」
二人とも本気で怒って・・・・また叫びあいですね
それにしても男性陣、もうちょっと言いようが無いんでしょうか?
まぁ、だからこそ面白いんですけど(笑)




さらに不平は続きました
当然、徐々に声が大きくなります
いつまでも、と思いきやあっけなく幕がおりました
客から苦情でも出たのか、宿屋のおばさんが止めに来たからです
が、それは二人にとって福に転じました


叫び声で事情を察したんでしょう
おばさんからナイスなアイディアが出ました
さすが奥様は違います(妖笑)
もちろん、リナとアメリアは喜びました
「んっふっふ、ガウリイ首洗って待ってなさいよ!!」
「ゼルガディスさん、今度こそ正義に目覚てもらいます!!」
リナもアメリアも気合いが入っています
びみょ〜に違う気がするんですが・・・・気にしないことにしましょう(笑)


作戦の成功を胸に、二人は眠りにつきました




しかし・・・これ本気で実行する気でしょうか?
いや、いまさらだとはわかってます
ですが深く考えると・・・かなり危険な気がふつふつと
彼女たちはこの方面に疎いんで気づいていませんが
・・・ガウリイ、ゼル頑張ってね♪
あなたたちの受難を楽しく拝見させていただくわ(鬼畜)


そして・・・朝日と共に第1回戦がスタートしました!!