保護者だけど


~前編~





オレはリナの「保護者」だけど―――リナを愛している…誰よりも。
なら―――壊してしまおうか? 今のこの関係を―――
だけど―――オレがリナの「保護者」だから、リナの隣にいられるというのも事
実……。だからオレは「保護者」という枷を嵌める―――リナの隣にいるために
……。
だが……このもどかしい「保護者」の枷を外すチャンスが訪れたら……?


お待たせしましたガウリイSide! (←誰も待ってないって)
『保護者だけど』


リナが酔いつぶれてオレの部屋で一晩明かしてから一週間。
さすがのリナも反省したのか、夜、オレの部屋には来なくなった。
オレとしては、理性をなくしてリナを傷つけずに済んだことに安堵を覚えると共
に……なんだか無性に淋しかったりするんだが……。
今は―――

この一週間、オレの理性は試されっぱなしだ。
理由はもちろん……
リナぁ……勘弁してくれよぉ……(涙)

ある朝、リナが珍しくオレより先に起きていた。そして花も綻ぶような…はにか
んだ笑顔で「おはよう(はぁと)」と挨拶してきた。
……ぐはっ…かっ…可愛い……抱きしめたい……(はぁと)
オレはリナの笑顔に卒倒しそうになりつつも、かろうじて残っている理性を総動
員してこう言った。「リナ…昨日盗賊いぢめ行っただろ?」と……
―――すぱぱぱぱぱぱぱーーーんっっ…
……わかってたさ…スリッパがくることぐらい……(哀愁)

またある時は、リナが道の真ん中で転んだ……しかも、オレの方に。
背中に柔らかい感触が……。
思わず押し倒しそうになって、慌てて「何やってんだ? 腹減ったのか?」とボ
ケをかます。
その結果……
オレは当然のように宙に舞った……
リナの呪文をくらいながらも……オレの背中には柔らかい感触が残っていた……

さらにある時は、人気のない森の中で「疲れたぁ~~~もう歩けな~い(はぁと
)」とリナが言い出した。
上目遣いで少し潤んだ瞳……オレの理性は最早風前の灯火だ……。しかしっ!
「お前さんが道間違えたりするからだろーが」
「っっ…火炎球(ファイアー・ボール)!!!」
オレがとっさにした指摘が図星だったらしく、オレは焦げた。森も消えた。
だがオレは怒ってはいない。呪文をくらった方がいい時もある。
あそこでリナが呪文をぶちかまさなかったら……オレは間違いなくリナを組み敷
いていただろうから……。
……今回のはちょっとキツかったが……。

他にもいろいろあった……リナの可愛さに悩殺されて、理性が崩壊しかけた出来
事がいろいろと……。
湯船に浸かりながら、オレは自分の忍耐力を誉めてやりたかった。
ちょっとからかうと耳まで真っ赤になって……くぅぅぅぅぅ~~~っっリナのあ
の可愛さはすでに犯罪だよなぁ~~~~~(はぁと)
近くにいたじいちゃんが、風呂場でにやけながら拳を握り固めるオレを変な目で
見ている。……ちょっと場所が悪かったか……。
オレはそそくさと風呂場を後にし、自分の部屋に戻った。だが、隣の部屋にリナ
の気配がないのに気付き、慌ててリナの部屋に飛び込んだ……。


部屋の中にリナはいなかった。リナのショルダーガードとかもないから、風呂で
はない。
おそらく……
「まぁ~た盗賊いぢめ、だな……?」
オレは部屋に戻って大急ぎで装備を整えると、カンだけを頼りにリナを追いかけ
た……。

突然嫌な予感がした。
「リナっっ!!!!!」
凄まじい焦燥感。吐き気がするほどの不安。リナっ!?
―――ガウリイっ!
リナの悲鳴が聞こえた気がして全力で走ると、そこには異様な瘴気を纏った洋館
があった……。
―――そこかっっ!? リナ、今行くからなっ!!!!!