月影の闇 月華の雫









エピローグ 『そして…』



 誰かがあたしを呼んでる……
 少し低い、優しい声。父さんの声に似ているような気がするけどちょっと違う。
 誰だっけ………
 ぼんやりと目を開けると、心配そうな蒼い瞳があたしを見つめていた。
「気がついたな。大丈夫か?どこか痛い所とかないか??」
「ん……大丈夫」
 ゆっくりと辺りを見まわしてみる。
「ここ……ガウリイの部屋?」
「あぁ。……心配したんだぞ?あれから丸二日も眠ったままだったから」
 二日?
 そんなにたってたんだ………って………
「じゃあこれって、あんたのベッドなんじゃ………」
「?あぁ」
 うそ。それじゃあたしが眠ってた間ガウリイは?
「じゃあ、あんたはどこで寝たわけ?」
「どこでも寝れるさ。それよりリナが目を覚まして良かった………」
 ふんわりと抱きしめられる。いつもなら何とか逃げ出そうとするのに不思議とあたしはその抱擁から逃れようとは思わなかった。
「ガウリイ……」
 ガウリイの手があたしの顎にかかり、上を向かせられる。
 視線が絡まりあい、ゆっくりとガウリイの顔が近づいてきてあたしは目を閉じた………

ばたんっ!

「こんにちわガウリイさん、って、あ………」
 不意に扉が開け放たれ、アメリアが入ってきて硬直した。もちろんあたし達も。
 ――数分後。

「き、きゃあぁぁぁ〜〜〜〜〜っっ!!」

どごおっ!

 我に返ったあたしは、ガウリイを混沌の海に沈めてしまっていた……
 だってしょうがないじゃない。
 あの時は何とな〜〜く雰囲気に流されちゃったけど、冷静になってみれば…
あんな恥ずかしいとこ見られて平気なわけが無い!!
 ………そりゃ、まぁ………未遂、だけど。


               ◆ ◆ ◆


 あたしは今自分の家にいる。
 やっぱり我家が一番よね。自分のベッドで眠るのも久し振りだし。
 銀の月見草の魔法薬は、解除した魔法に対する抵抗力を格段に高める効果を持っている。つまり、もうあたしにゼロスの変身魔法は効果が無いって事。
 これで安心して暮らせるわ。
 んっふっふ、ゼロスの奴今度あたしの前に現われたら母さん直伝のお仕置きフルコースにしちゃる!
 あたしは手を握り締め、ゼロスに対する報復を固く心に誓うのだった。


 そしてさらに何事も無く一週間が過ぎ。

どんどんどんどんどんどんどん!!

「誰よまったく……はいはい、今開けますって」
 ドアを開けると、ガウリイの同僚のフラレ男ルークが立っていた。
「何?ホレ薬ならないわよ」
「そうぢゃない!!頼むから今すぐ一緒に来てくれ」
「はぁ!?」
 ルークはいきなりへたり込んだ。
「あんたが居なくなって以来、ガウリイの奴使い物にならねえんだ。毎日毎日ボーーーッッとしやがって…………おかげで他の奴ら皆迷惑してるんだ!!」
「いやいきなりそんな事言われても…………」
「じゃあせめて手紙ぐらい書いてくれ!」
 何だかかなり切羽詰っているらしい。
 にしても……どうしてそんな風になっちゃったんだろ?
 とりあえずあたしは明日そっちへ行って見る事にした。


               ◆ ◆ ◆


 朝早く家を出たのにもう夕方。
 後少しで街に着くという所であたしは足を止めた。目の前には焼き払われた丘がある。
「リ・ナ」
「うきゃっ!ちょ、ちょっとガウリイ!いきなり耳元で囁いたりしないでよ!びっくりするじゃない!」
 振りかえると満面に笑みを浮かべたガウリイが立っていた。
「ここでリナに会えるなんて思わなかったから」
「もう………」
 今が夕焼けで良かった。顔が赤くなったの、バレてないわよね。
「それじゃガウリイ、またね」
「またねって、こんな時間にどこへ行くんだ」
「決まってるでしょ、宿屋よ。今日の夜の寝床を確保しなきゃ」
「………俺の家、すぐそこだぞ?」
「あのねぇ」
 あたしは腰に手を当ててガウリイを見上げた。
「ウサギにされてた時ならともかく、一人暮しの男の人の家にうら若き乙女が泊まれるわけ無いでしょ?」
「え〜〜〜〜〜〜〜」
 ガウリイはいきなり縋るような目つきになった。
 うぅ、何だか捨てられた子犬と目が合っちゃった気分。心なしかたれた耳と寂しげに振られる尻尾まで見えてきた。
 なによなによ、これじゃあまるであたしが悪いみたいじゃない!!
「…………何もしない?」
 はぁ、何でこうなるんだろ。
「何もしないんなら、泊まっても良いけど………」
 あ、いきなり元気になった。結構単純かも。
「じゃあ行こうすぐ行こう♪」
「ちょっとガウリイ!そんなに引っ張らないでよ!!」
 あたしの手を掴むなりガウリイはさっさと歩き出した。
「なぁリナ」
「何?」
「俺、リナの作ったご飯が食べたいなぁ?」
「………材料、あるんでしょうね」
「おう(はぁと)」
「なら、宿代のかわりに作ってあげても良いけど………」
 あたしがOKを出すと、ガウリイは本当に嬉しそうに笑った。
「リナの作る料理はうまいからなぁ」
「当たり前でしょ。このあたしが作るんだから」
「うんうん。…………それにリナもおいしそうだし」
「え?ガウリイ、何か言った?」
「いーーーや何も。それより早く帰ろうぜ?俺腹減ったし」
 今、何だかとんでもない発言を聞き逃したような気が………
 …………それにしても、ひょっとしてあたしゼロスよりとんでもない相手に捕まっちゃったのかもしんない…………
 ガウリイに手を引っ張られながら、あたしはそんな事を考えていた。


 この時のあたしの予想。
 どんぴしゃである事をあたしが知ったのは、もう少し先の話。


お・し・ま・い♪










後書きという名のお詫び
 やっと終わりました。ウサギsideです。
 前の話も「うわ長いっ!三つに分ければ良かったかも」と思ったんですが。
 更に輪をかけて長くなってしまいました。
 あう…………飛鳥さんごめんなさい。こんな駄文が長々と…………
 読む時が大変ですよね、こんなの。
 やっぱ無理しないで途中で区切れば良かった。
 それでは長いだけの駄文にここまでお付き合い下さってほんっとうに有難うございました!!











とんでもございませんわぁっ
長さの分だけ幸せ倍増vvv
もうウハウハの飛鳥っす!!
知られざる秘話!?くぅぅぅっっさ・い・こ・う(はぁと)
エピローグなんてもぅ……………クラッ…(にやけながら卒倒)
うふふっLily様♪ありがとうございました〜♪♪♪