限界 Gourry side |
〜前編〜
オレたちは街道を3人で歩いていた。 目の前でリナが男と楽しそうにしている。 なんでこんなことになったんだぁぁぁぁ!!!! 頭の中をこの言葉が支配した・・・・・ 遡ること2,3時間前、 オレはリナと昼飯を取り合っていた。 そして吹っ飛ばされた(ナックル付きだった・・・) その隙を突き、リナに男が声をかけた。 顔には、<かわいいな、俺の女にしよう>と書いてあった。 いつもより少し痛かったとはいえ・・・不覚!!!!! すぐに立ち上がり、席に戻った。 (コメント:疾風が起こり、目を開けたときには姿がなかった・・・おっちゃん談) が、遅かった。 そいつはすでに椅子に座っていた。 <おごる>という言葉によって・・・・ 男はノエルと名乗った。 旅の傭兵らしい。 身のこなしからして、かなりの腕だろう。 ノエルは依頼をしてきた。 内容は盗賊退治、とんでもない条件まで付いていた。 盗賊と聞いてリナはすぐに引き受けた。 これはリナを口説くための口実だ(断言)。 もちろんオレは反対した・・・・が、スリッパで殴られた(滝涙)。 そして今、ノエルがリナをからかっていた。 食堂を出てからずっとだ。 いつもならリナの魔法が発動するんだが、今回はそれがない。 あの<とんでもない条件>のせいで・・・ 条件:ノエルに危害を加えない くそぉぉぉぉぉぉ!!! 奴はかわいい顔を見放題!! それにリナは気づいてないが・・・・ 言い換えれば、<ノエルに何をされても抵抗しない>と言うことだ。 つまり、抱きついても、キスしても、押し倒しても、 ・・・・・・・以下、放送禁止用語続出・・・・・・・ 許さぁぁぁぁん!!!! うらやましい、もといなんて奴だ!!!! おかげでオレの思考はかなりブラックだった。 (さっきはどうやって奴を闇に葬ろうかと考えていた) ああ、でも赤くなったリナはかわいいな〜(はーと) だが、オレ以外の男のせいだというのが気に食わん!! ノエルがリナに話しかけるたびに、オレの口数は減っていった。 もし口を開けば、・・・・・保護者の線を越えてしまいそうで・・・・・ そして益々、リナと奴の語らいが増える。 つらい、つらすぎるぅぅぅぅ!!!!!! ぐはぁぁぁぁぁぁ!!!! オレは保護者の仮面の下で血の涙を流した。 そして思った。 このやるせない想いは盗賊にぶつけようと・・・・ 「お〜い、ここで少し休まないか。」 オレはリナに声をかけた。 あれから・・・ すぐに盗賊のアジトは潰れた。 オレは殺気立っていた。 リナも久しぶりの本格的な盗賊イジメのせいか張り切っていた。 それにノエル、奴は魔法が使えた。 (そのためリナとの会話がまた増えた・・・・・) いつもより早くケリがついた。 依頼は盗まれた魔道書を取り返すことだった。 それもすぐに見つかった。 だが、アジトを出るころには日が暮れていた。 リナが宝物庫を漁っていたからだ。 普段なら野宿となるんだが、リナがすぐに街を目指すと言った。 たぶん礼金が早く欲しかったんだろう。 今回の依頼は魔導師協会からでたものらしい。 つまり、あの本を協会に届けるまで金は貰えないのだ。 盗賊のアジトが近かったし(建前)、 ノエルを早く追っ払いたかったので(本音)反対しなかった。 しかし、夜を徹して歩いたせいかリナは疲れていた。 それに・・・・ 「だぁぁぁぁ!!急ぐって言ったでしょうが」 「言ったのか」 「このくらげぇぇぇ!!!!」 すっぱ〜〜ん 頭にスリッパを喰らった。 だがいつもより威力がない。 「いいじゃないか。こんないい天気なんだし」 「あんたねぇぇぇ・・・・・はぁ。 しゃあない、休憩させてあげるわ。ちょっとだけだかんね。」 そう言い、木の下に横になる。 すぐに寝息が聞こえた。 やっぱり疲れてたんだな。 相変わらず素直じゃないな。まっ、そこがまたかわいいんだが・・・ 「寝つきがめちゃくちゃいい奴だな。 ・・・・それじゃ今のうちに片をつけるか。」 「なんだ、気づいてたのか。」 ノエルに不敵な笑みを送る。 俺たちの後を盗賊たちがつけていた。 かなり離れていたので、リナは気づいてなかったが・・・・ 「あんたに行ってもらいたいが・・・・・まっ、無理みたいだしな。」 そう言い残し、ノエルは走り去った。 リナの寝顔を見ながら、オレは苦笑した。 ・・・・・いけ好かない奴だったらまだ良かったんだが はっきり言ってノエルはいい奴だった。 ゆえに不安だった。 ・・・・・リナを奪われやしないかと・・・・・ そういえば・・・・ 盗賊のアジトで髪を撫でたら<子ども扱いするな>って怒ったな。 子ども扱いやめていいのか ・・・・・俺を受け入れてくれるのか・・・・・ オレもけっこうつらいんだ ・・・・・枷は外れかかっている・・・・・・・ おまえさん、オレのことどう思ってるんだ ・・・・・もう限界だ・・・・・・・・・・・・ 聞いたら答えをくれるのか ・・・・・だが、おまえを失うくらいなら・・・ オレは木の側に腰を下ろした。 赤い瞳の小さき女神に口付けるために・・・・ |