DESIRE


〜後編〜




DESIRE 後編

時計の針は真夜中を指す。
時だけが刻々と過ぎてゆく。

想いの奥に隠した心。
解き放つ事すら出来ぬ者達。
闇は深まり嘲笑う。

想いの奥に潜みし心。
いかなる器で隠しても。
どんな手段を用いても。
光に照らされ真実となる。





〜Gourry〜

「・・・別れる?」
「ブラストソードも見つかったし、ね・・・・」


心の奥から溢れ出す感情。
悲しみでも怒りでも哀れみでもなく。
――――…純粋な欲望。


「じゃあね。ガウリぃ・・・・・っ」
部屋に戻ろうとしたリナに軽く足払いをかける。
体重の無いリナは面白いほど簡単に。
オレの体へと倒れてきた。


心地よい重み。
引き寄せて唇を奪う。


「ぅん・・・・・・・んっ・・・・・・・」
ずっと求めていた禁断の果実は。
甘い――甘い味がした――


微かに乱れた息遣い
薄紅に染まった頬
潤んだ瞳から零れる涙
リナは自分の魅力に気づいていない。


「どうして泣くんだ?」
「何で・・・っ・・・こんな・・・?」
「じゃあ何でお前はオレと別れるなんて言ったんだ?」


腕の中の小さな体が微かに震える。
「・・・ガウリイと一緒に居たくないのよ。」
「嘘だ。」
嘘でないとオレは狂ってしまうから。


「愛してる・・・リナ・・・」
別れるなんて耐えられない。
離れるなんて我慢できない。


「保護者の愛なんて・・・っ」
「違う!」
自覚するほど冷たい声。


「答えろ。どうして別れるなんて言ったんだ。」
「・・・・ガウリイには・・・幸せになって欲しかったのっ。」


戸惑いながらも耳を傾ける。
「あたしと一緒に居たら・・・危険な目に会ってばっか。
 それならあたしと別れた方が利口なもんよ。だからっ・・・」
「ただの保護者ならまだ別れられると思ったのか?」
「違う・・・・違う・・っ・・」


泣きじゃくりながら言うリナを
壊してみたい衝動に駆られる。
理性はすでに壊れていたから。


「ガウリイのこと・・・好きだから・・・
 絶対に死んで欲しくない・・・・」
意外な言葉にオレの動きが止まる。


「けどっ・・・・あたし・・・」
「分かったから。もう言わなくていい・・・・」
オレの声は優しくなっていたと思う。


この少女は。この小さな体で。
一人で全てを受け止めようとしていた。


「オレ、リナのこと愛してるから。
 別れる気もお前を置いて死ぬ気も無い。」
リナも分かっているだろう。
もう別れる必要も意味も無い事に。


「・・・・・・手・・・放して・・・・・」
赤く頬を染めて言うリナ。


「嫌だ。」
ようやく手に入れた温もりを。
放してなどなるものか。


強さの裏に脆さを隠した
唯一無二のオレの女神――


「そんなことより・・・
 これでオレは保護者から恋人に昇格か?」
「嫌だったの?あたしの保護者・・・・」
「すっげえ嫌だった。こんな事できないもんな。」
「ちょっ・・・どこ触って・・・・ぁん・・・・・」

2つの影が重なる―――



少女の想いは遂げられた。
青年の願いは叶えられた。
人の願いは尽きぬもの。
積み重なりしその願い。
いつかどこかで叶う事
信じて人は生きてゆく―――

〜FIN〜