DESIRE

〜前編〜



DESIRE 前編

何の変哲も無い一軒の古宿――
そこに一際目立つ2人の男女がいた。

一人は魔道士らしき少女。
栗色の髪に紅い瞳を持ち黒いマントを羽織っている。

一人は傭兵らしき金髪碧眼の美青年。
その長身に良く似合う細身の剣を携えている。

食事も終わりに差し掛かり
憂いを含んだ表情で少女が口を開いた。
        ――――「今夜さ・・・部屋に行くから」




〜Gaurry〜

部屋に戻ってベットの端に座り込む。
『今夜さ・・・部屋に行くから』


脳裏をよぎる一つの言葉。
待ち望んでいた言葉。


「まさかな・・・・」
オレは何の期待をしてるのか・・・・


好きな男が出来て俺と別れたい――
そう言い出すかもしれないのに。


もしそうなら・・・・?
オレの傍を離れたいとあいつが言ったら?


出会った時より格段に綺麗になった
オレの隣を歩く少女。
町を歩けば纏わりつく視線。


何度不合理な嫉妬を抱き
何度犯そうと思ったことか。


保護者の皮を被った悪魔。
隙あらば襲いかかろうと・・・


其の度に理性で想いを縛り付け
オレの瞳はすでに保護者のモノではなかった。


幾度となく見せた男の顔。
そしてすぐに崩れる淡い期待・・・
人一倍鈍い少女の心には届かなかった。



叶う事なら
全てをオレに預けて欲しい。
願うなら
お前の心を奪いたい。


――しばしして
ノックの音が部屋に響いた――



∇続く