目覚め…そして、呪縛



















「ど…う…し、て………」

「目が覚めたのか?」

「…ど…し、て……こんな、コト………」



こんなこと?

これはオレとお前の大切な儀式。


「もうお前はお前のモノじゃない。オレのモノだ。
 肌も、髪も、紅の瞳も、呼吸も、命さえも…… 分かるな?……いや、分からなくてもいいさ。もうお前に選択権など、ない」

震わせる声はどうしようもなく冷え冷えとしていた。
狂いだした想いは狂喜に高鳴り、手中にしたものに歓喜している。

そして、先程あれほど貪ったはずなのにまた体に熱が帯び始める。

オレは既に狂っていたのかもしれない。
この紅の瞳に捕らわれた、あの瞬間から。


「ガウ…リ、イ…?」

「そう…そうだ。オレの名だけを呼べ。オレの姿だけを映せ」

組み敷いたリナに覆い被さり、その肌の至る所に付けられた花弁にまた一枚、一際鮮やかな花びらを付ける。


「ゃ…やぁぁぁぁああああ…ぁ・・ぁ・ぁ・あ!!!!!」


何が起きたのか、やっと理解したのかもしれない。
一度あの強い光りが瞳に宿るが、無理矢理彼女の中に潜り込み、即座に掻き消す。


「あぅ…な…ガ、う…リ…ィぃぃぃい…!!!!!」

濁ってゆく瞳から涙が一筋、二筋、と流れてゆく。

壊れてゆくさまですら、美しい。
オレだけの、リナ。


「こうなったのは、お前が悪い。そして…」

「きゃぅっ!」

「オレも悪い。だから、二人で堕ちよう」

「や・めぇ…てぇぇぇ・ぇ・ぇ……ぇ……」

「想いが壊れると…人は狂うな。お前を愛したのは、オレの勝手だが… お前がオレを狂わせたんだ」



なぁ、人はどこまで他人を愛せる?

なぁ、受け止めきれなかった人間の末路はどうなる…?



        死ぬ?



そんな事はさせないさ。お前は生き続ける。

オレの為だけに――――


幾度朝と夜を迎えても。
二度と彼女の瞳に光が戻らなくても。

人形のように従順でオレが抱けば応えるお前の身体さえあれば、
それでいい。


オレは、狂い続ける。