残された想いは・・・






















人が死に、一つの国が滅び。
それでも世界は廻っていく。
一つの国が滅びたのを知った者たちは、何を思うのだろう。
怒り?悲しみ?それとも――喜び?

全てのものの母たりし者よ。
ロード・オブ・ナイトメアよ。
死んだ者たちは貴方のその御許へと辿り着けましたか?
あたしには、そう願うことしか――祈ることしか出来ないから。

あたしの隣には、常に、いつも傍に居てくれた人がいた。
優しい笑顔で微笑んで。
大きな暖かい胸であたしを包み込んでくれた。
だけどその人はもういない。
この世界のどこを捜しても決して見つからない。
あたしが今立っているのはその彼の前。
この世界で唯一彼に逢える場所。
彼の名が刻まれた、墓標の前。
その下で、彼は眠っている。

「ねぇ、ガウリイ・・・・・・あんたのいるその世界はどんな所?
 何もない所?それとも緑が沢山あってキレイな場所?」
「・・・・・・・・・・」

問いかけても返事が返って来るはずもなく。
あたしの声だけが、ただ、虚しく風に流れただけ。
その虚しさが、妙に悲しくて、辛くて。
涙が零れた。
矛盾してるけど、こんな時、あんたがいてくれたらって思うよ・・・・・・

「・・・ごめんね・・・・・・ガウリイ・・・・・・ごめんね・・・・・・」
――守ってあげられなくて、ごめんね・・・・・・――

あの時の映像が、脳に焼き付いて離れない。
目の前であんたが倒れていくのを、ただ、呆然と見ていることしか出来なかったあたし。
傷口からどす黒い液体が溢れ出るのを。
あんたの顔から血の気が失せていくのを。
あたしの名を呼ぶそのくちびるが、だんだんと紫色になっていくのを。
何も出来ずに見ていた。
愛したヒトを――あんたを助けることが出来なかった。

――ごめんね――
ただ、それしか言えなくて。
ただ、泣くことしか出来なくて。
そんな弱い自分がどうしようもなく嫌いで。
あの頃のあたしはどこに行っちゃったんだろうね・・・・・・

世界には今、モンスター・魔族が溢れている。
俗に言う、【第二次降魔戦争】の真っ只中。
沢山の人が死に、沢山の国がなくなり。
世界は今、ボロボロの状態。
だけど、そんな中にも必死に立ち向かっている者たちがいる。

あたしは涙を拭い、顔を上げる。
そして腰に下げている剣に触れる。
小柄なあたしには不釣り合いな剣。
――【ブラスト・ソード】――
ガウリイの物だった剣。
ガウリイが一緒に戦ってくれている気がするから・・・・・・
あたしはひとつ、深呼吸をする。

ガウリイ。
あたし、がんばるからね。
あんたと一緒に見てまわったこの世界を壊させないためにも。
あんたと一緒に戦って守ってきたこの世界を壊させないためにも。
だけど・・・・・・

ふと、頭に過った考えを振払うように頭を振る。
あたしは踵を返し、《ガウリイ》に背を向ける。
また、戦いに赴くために。



リナが去った後。
《ガウリイ》の前に一人の男が虚空から現れた。

「お久しぶりですね・・・ガウリイさん」
『ゼロスか』

ゼロスの投げ掛けに、半透明なガウリイが現れ、こたえた。

「全く・・・・・・貴方という人は・・・・・・僕が何度貴方の魂を消して差し上げようとしても弾き返しちゃうんですからねぇ・・・・・・ホント、その精神力には感服しますよ」
『今、魂までお前に消されるなんてのはゴメンだからな・・・・・・
 俺は最後まであいつを・・・リナを見守らなくちゃならないんだよ』
「・・・・・・貴方も貴方なら、リナさんもリナさんですよ・・・・・・」

ゼロスは肩を竦め、ふぅ・・・と溜め息をつく。

「目の前で貴方を殺して差し上げたのに・・・ああやって立ち直っちゃうんですから・・・・・・」
『あいつを見くびり過ぎなんだよ・・・お前は』
「見くびり過ぎ・・・・・・ですか?」
『ああ。あいつはそんなに弱くない・・・どんな辛いことでもきちんと乗り越えられる』

――人間ってのは、そんなもんだしな・・・・・・
心の内で、ガウリイは付け足す。
遠くに煙が上がっている。
遠い目で、ガウリイはそれを見ている。

「さてと。そろそろ僕も行きましょうか」

ゼロスはそう言うと、いつもニコ目にしている紫の瞳を開く。

「ガウリイさん。この戦いは僕達、魔族の勝ちですよ」

だがガウリイはクスリ、と悪戯な笑みを浮かべてこう言った。

『そいつはどうかな?』
「・・・・・・・・・・」

ゼロスは何も言わず・・・いや、言えずに、また虚空へと消えた。
その可能性が否定できないから・・・・・・
今、そこには半透明なガウリイが佇むのみ。

リナ・・・・・・
例えゼロスに何度邪魔されようとも、俺はここにいるから・・・・・・
リナの傍に。
泣きたくなったら泣けばいい。
俺が傍にいる。
今の俺には一緒に戦うことは出来ないけど・・・・・・
祈っているよ。願っているよ。
お前が・・・お前たちが未来へと、この大地を、世界を紡ぐことを・・・・・・
俺はずっと傍で見守っているからな・・・・・・




――数年後。
【第二次降魔戦争】は、あの時のガウリイの予想どうり、人間側が勝利した。
多大な犠牲を払った熾烈な戦いは幕を閉じた。
僅かに生き残った人間たちは、街を復興しようと活気づいていた。

爽やかな風がそよぐ小高い丘の上。
今、ガウリイの墓標の隣には寄り添うようにしてもうひとつ、墓標が建てられていた。
そこに刻まれている名は・・・《リナ=インバース》。

リナは戦いの中、人々を――仲間たちを守るために禁断の呪文を唱えた。
――【ギガ・スレイブ】――
仲間たち――ゼルガディスやアメリアは反対した。
『お前がそこまでする必要はない』と。
だが、リナは首を振らない。
『これを使った方が早く決着がつく。・・・もっと早く使っていれば良かった・・・・・・』と。
悲しげに、呟いた。
ゼルガディスやアメリアには、リナを説得する言葉が見つからなかった。


「ギガ・スレイブッ!!」

どむぅっ!

夜よりも暗い闇が、リナを中心に辺りを包み込む。
いや。呑み込んでいく。

闇が、消えた後。
そこにはリナが、ただ一人、立っていた。
空を見上げ、どこか清々しく微笑んで。

「やっと・・・・・・これで・・・・・・ねぇ・・・・・・ガウリイ・・・・・・」

さらさらと。
リナの体が灰のように風に流れていく。
リナはゆっくりと目を閉じる。
そして全てが消える直前に、リナのくちびるが僅かに動いた。

『あんたは・・・・・・許してくれる・・・・・・かな・・・・・・?』


金色の野原。
そこに、リナとガウリイ。
二人がいた。

『ガウリイ・・・・・・やっと逢えたね・・・・・・』
『・・・・・・なんであんな無茶したんだ?』
『・・・喜んでくれないの?』
『いや、嬉しいさ・・・またリナに逢えて・・・・・・だが、あの時リナがちょっと違って見えたから・・・・・・』

――リナがリナじゃないような気がして・・・・・・

『・・・見てたの?』
『ああ。ずっと見てたよ』
『・・・・・・そうなんだ・・・・・・』

しばらくの沈黙。
だがリナは寂しげな笑みを浮かべて言った。

『・・・・・・戦いに、決着を着けるため・・・って言ったら格好はいいんだろうけどね』
『・・・リナ?』
『・・・きっと・・・あんたのところに行きたかったんだと思う』
『そんな・・・・・・』
『もう、限界だったのよ・・・・・・耐えられなかった・・・あんたのいない世界に・・・・・・』
『・・・リナ・・・・・・』

ガウリイはリナを抱きしめ、指でリナの瞳に溜まった涙を掬う。
そしてガウリイは優しい笑みを浮かべて、こう言った。

『よく、がんばったな』


そんな二人を、金色の王だけが静かに見ていた。




                      ――END――







こ、こんにちは。
おひさ〜なりゅ〜やでございます。
こんなお話でいいんかいなッ!?って感じです。
結局、リナちゃんも死んでしまいました・・・・・・(汗)
・・・こんな話しか書けないーー!!(←ナゼ!?)
てゆーかリナちゃんもガウ君も違うし。びみょーに。
・・・・・・ご、ゴメンナサイ(汗&涙)
それでは〜v