白銀の継承者
〜第8話〜












    登場人物:セリナ=ガブリエフ。
    リナ=ガブリエフ(旧姓、リナ=インバース)と。
    ガウリイ=ガブリエフの間に産まれた娘。
    リナ譲りの栗色のくせのあるふわふわの髪に。
    ガウリイ譲りの碧眼の瞳。
    顔立ちは、リナとガウリイ、二人からいいとこばかりを貰ってます。
    いってみれば。
    目はリナ。鼻はガウリイ。口元はリナ。
    こんな感じです。
    はっきりいって、かけなしの美少女。
    只今、あと少しで三歳になるところ。
    適応事項:前世で少々リナ達と関りあり。そのときはゼロスに殺された。
      (さらに追加・別名、『ブラネット=セリファナレスティゥ』)



  

  登場人物:リナ=ガブリエフ。
    旧姓、リナ=インバース。
    魔を滅する者(デモンスレイヤー)や。
    ドラマタリナ。など。数々の異名を持っている。
    かなり実力ある魔道士。
    いろいろあったが只今は、夫であるガウリイと、
    娘であるセリナと共に。
    ゼフィール・シティから少し離れた場所にと建っている、
    小さな家にてそこに家族ですんでいる。
    たまに、魔道などの指導や、実家の商売の手伝いをしていたりする。




  登場人物:ガウリイ=ガブリエフ。
    リナの相棒をリナが十五になる近くから務めていた、
    金髪碧眼の美男子。剣の腕は超一流。
    よ〜〜〜やく、長い苦労の末に。
    リナと結婚し、只今、ときたま、ゼフィーリア王宮にて。
    剣術の指南役などを行っている。
    ゼフィーリアに戻って、ようやくルナに認められたと思ったら。
    (このときに、ようやくリナと思いが通じあう)
    今度は、リナがルナに魔法の特訓に連れて行かれて。
    その間に何と、リナとの新居や、結婚式も準備して。
    有無を言わさずにリナと結婚したという事実があったりする(笑)
    妻であるリナをむちゃくちゃに溺愛している。
    娘であるセリナもだが・・(笑)




   登場人物:マルス&セシル。インバース夫妻。
マルス=ラファエル=インバース。
     セシル=ドナ=インバース。
     リナとルナの両親。
     インバース商会を経営している。
     少しだけ出てきます・・・・。



   登場人物:ルナ=インバース。
     ご存知(こら!)リナの姉であり。
     その実体は、この世界の竜神、赤の竜神(フレアドラゴン)
     スィーフィードの欠片を宿しているという。
     『赤の竜神の騎士(スィーフィードナイト)』
     ちなみに、今だに独身・・・・。


    登場人物(?):獣神官(プリースト)ゼロス。
     誰もが認める、お役所仕事の中間管理職。
     仕事以外はことごとくしなく。
     楽しくなるためなら、その労力はいとわない。
     いつも、にこにこと人のよさそうな笑顔をしているが。
     その本質は、にこにこ笑いながら、相手の首をかききる、
     冷酷さを兼ね備えている超、高位魔族。
     魔王についで実力のある腹心の次に。
     実力のある魔族である。
     只今、上司命令で、セリナ(リナとガウリイの娘)を。
     魔族に勧誘しようと勧誘中(笑)


    登場人物:ラナティス=パロ=ガブリエフ。
      ガウリイの異母弟。


    登場人物(?):アルゴス
     白いお髭の少し小柄な見た目五十代後半の、
     ちょっとした男性。


    登場人物(?):覇王神官(ブリースト)グルゥ。
      藍色の髪に茶色い瞳。
      歳のころならば、十代後半か、二十代前半の容姿。
      いつも計画性のない上司(覇王)のために。
      苦労しているが。
      完全にお役所仕事で。
      命令されたこと以外は、絶対にやらない。
      ・・・ある意味、ゼロスとよく性格が似ている・・。
      ちなみに、趣味は、新薬作り。
      かつては、その試験(実験)に、
      同僚の、覇王将軍(ジェネラル)シェーラをよく利用していた。
      ついでに上司でも実験することあり(爆!)



   登場人物:サール=ペレ=ガブリエフ。
    その白髪の混じった黒い髪が印象深い。
    ついでにいえば、あごひげと口ひげを一緒に伸ばし、
    白い髭を蓄えていたりもする。
    ガブリエフ一族の長老の一人。



   登場人物(?):カルティナ。
      元、とある異世界の魔の王。深闇の王と呼ばれていた存在。
      今では、金色の王に反旗を翻している・・。
      ちなみに、他の世界に入り込んで、その世界を壊して。
      自らの力と成している。
      無数にある、世界の中でも。
      神、魔の王のうちでは、かなりの有名な問題児。
      元、白銀の世界と呼ばれていた宇宙を治めていた。
      今は、新たな世界の白銀の王の手によって。
      気が付いたら、金色の王の手にと引き渡されていた・・。
      ・・・・その待遇は・・・・知らないほうが身のためであろう・・。

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        白銀の継承者  第8話  〜光の剣を受け継ぎし者〜




    「わーいvこのナマコのすもの、おいしい(はあと)」
    とりあえず、未だに。
    結界の中と化している屋敷をそのままに。
    外にでて、昼ごはんなどを食べているセリナ達一行。
  
    ガブリエフの屋敷では、一族達が。
    未だに、無駄な戦いを繰り広げたりしていたりするが。
    何しろ、死んでも、その直後に生き返らせられて。
    そのまま、目の前にいる少年と相手をしてゆくその様は。
    さすがに、権力と富と名誉だけしか目がいってなかった、
    人々の目をだんだんと覚まさせてゆく。
    何しろ、攻撃のことごとくは、通じずに。
    一方的に自分達だけが攻撃される。
    しかし、そんな彼の手が変化しているのは、彼らが、
    ずっと持っていた、光の剣のそれであるがゆえに。
    諦められない大人たち。
    そこまで執着する理由もないであろうに。
    一番、気の毒といえるのは。
    アルゴスと呼ばれていた見た目五十代半ばの男性であろうか。
    何しろ、彼の上司である、グルゥは
    ゼロスとセリナ達と一緒に。
    こんな状況のなか、食事にいくといってすでに屋敷を出て行っている。
    ―後はよろしくv
    そう上のものに言われて、断れる、中級魔族がいるであろうか。
    彼ら魔族は、上の者には絶対服従なのである。
    まあ、中には、代わりものもいたりするが・・。
    何しろ、それでなくても、彼が支えていたのは。
    滅多として会うことすらもままならない。
    超高位魔族である、覇王直属の神官。
    覇王神官グルゥ=メネシス。
    それだけでも、かなり精神を使っていたというのに、
    次に出現してきたのは、さらにその上の実力を誇り、
    事実上、腹心たちの次に実力があるという、獣神官ゼロス。
    さらに、それに驚愕している最中。
    あれよ、あれよという間に。
    流れに流れて・・・。
    今、目の間にいるのは・・。
    何と、異世界の魔王の直属の部下。
    つまりは、自分達の世界でいうところの腹心たち。
    こんな短期間に、そんな存在達に続けざまに出会い。
    すでに、かなり彼は混乱しかけていたりする。
    

    「しかし・・・・何ですねぇ。
      まさか、あのカルティナをあっさりと撃退するとは・・(はあと)」
    もしかして、このセリナちゃん・・魔王様より力が上なんじゃ・・。
    などとおもいつつ、にこにこと話しかけているゼロス。
    「んと、さいごはね。きんいろのおねいちゃんがね。
      なにか、かれをじぶんのところにつれてきなさいって。
       セリナにオーブをくれたの。
        だから、いま、カルティナ・・きんいろのおねいちゃんの、
         ところにいるとおもうけど?」
    ぱくぱくと、出されている羊のミディアムソテー焼きを食べている、
    セリナが口に肉をほうばりつつ、そんなゼロスに説明する。
    『・・・・・・・・・え゛(汗)』
    その言葉に、ものの見事に固まるゼロスとグルゥ。
    「まあ、よくわからんが。
      ともかく、セリナが無事で何よりだな。
       ま、あの馬鹿たちは、どうせどうなっても構わないし。
        なぁに、相手は異界の腹心だろう?
         少しでも性根が入れ替わればよし。
          後はどうなろうとしったことか。」
     一応、セリナの説明では、意味が分からないので。
     マルスにはゼロスが丁寧に説明しているので。
     その辺りのことはすぐに納得しているマルス。
     まあ、普通すぐには信じられるものではないが。  
     まさか、ここの世界とは別の異世界の魔族だと、
     そういわれて・・。
     信じたのには理由がある。
     彼の娘である長女のルナ。
     この世界の至高神、赤の竜神(フレアドラゴン)
     スィーフィードの力と欠片を受け継ぐといわれている、
     『赤の竜神の騎士(スィーフィードナイト)』
     その娘がいるからに他ならない。
     それに、娘を悪くいった、一族に、好印象を持てるはずもなく。
     セリナが無事ならそれでいい。
     そう思っているマルスである。
     「さて・・・と。
       そろそろ戻る?」
     グルゥがとりあえず一通り食事が終わったのを見計らい、
     マルスとセリナ達に話しかける。
     「そうだな。おい、ゴキブリ、ここの勘定は、
       お前とその神官やろうもちでな。」
     『えええええええええええ!?』
     マルスの言葉に叫び声を上げるゼロスとマルス。
     「わぁぃ!おごってvおごってv」
     『わ・・・・わかりました・・・(汗)』
     セリナの言葉で一も二もなく了解する。
     基本的に彼ら、魔族は、自分より力あるものの、
     命令には刃向かうことなどできない。
     それがましてや、自分を創った創造主ならばなおさらに。
     それでなくても、セリナの力の一部を。
     彼らは目の当たりにしたのである。
     ―異なる世界の新たな王。
     そう、金色の王から任命されていると知った今。
     どうして断ることができるであろうか。
     
     涙を流しつつ、四人分の支払いを済ます、
     ゼロスとグルゥの姿がそこにはあった。




     屋敷に戻ると。
     「・・これはvかなりの負の感情が充満してますねぇ(はあと)」
     そういい、その紫の瞳をすっと薄く開いて、
     にこにこと屋敷を内部を見渡すゼロスに。
     「本当だね。ウーン。いい按配に、
       まじってるよねv」
     恐怖、絶望、苦しみ。
     そんな感情が屋敷全体を包み込んでいる。
     

     「ああああ!グルゥ様ぁ!ゼロス様ぁ!」
     残されていた、魔族の一人、アルゴスが。
     戻ってきた二人に泣きついてくる。
     「お。どうやら、無事な奴等、いないじゃねえか。」
     部屋を見ると、ことごとく、そこに転がる、
     うめく塊。
     その全てが五体満足でなくなっていたりする。
     それでも、死亡してないのだから、まあ、よしといえばよしであろう。
     すたすたと。
     まるで床が始めから、どす黒い紅い色をしていた床であるかのような、
     床を歩きつつ、一人の横にと歩いてゆくセリナ。
     そして、ちょこんとその横に座り。
     「・・・・まだゴルンノヴァのしょゆうけんで、
      どうこういう?ゴルおにいちゃん、つかうの、
       それなりのかくごいるんだよ?」
     そこに倒れている、長老の一人、サールにと話しかける。
     その白い髭は、血で赤くどすぐろく染まり。
     指などは、器用にも、数本失われ。
     片足などは、くるぶしの付け根のところで、
     かろうじて皮一枚で繋がっていたりする。
     『うううぅ・・・・・。』
     部屋に充満するうめき声。
     こんな状況の中でまったく驚きも泣き叫びもしない、
     目の前の幼女に恐怖を感じる。
     ―自分達がただの剣と思って、権力の対象としていた、その剣が。
     よもや、ここまでの力をもっていたたなどとは。
     言い伝えでは、その力を完全に我が物にしたとき。
     この世界全てすら、支配できる。
     そういわれていた、家宝の『光の剣』
     その意味が、ようやく今さらになって、
     全員が理解する。
     
     部屋の中央では。
     「・・・まったく。一体・・誰が・・。」
     そういいつつ、ふと、戻ってきたセリナ達に気付く、
     黒い髪をしている少年。
     そしてふと。
     ポン。
     手を叩き。
     「そういえば、セリナちゃん?
       確か、君、カウリイ=ガブリエフと、
        あのリナ=インバースの娘だったよね?」
     さすがにもう自分に挑んでくる人間達がいないので。
     その右手を剣にと変えていた彼は。
     その手を一振りし、普通の手にと戻して。
     両手を叩いてセリナに問いかける。
     「そうだよ?」
     血と、肉片が飛び散るその中で。
     まったく動じてないセリナ。
     「・・・ってことは。君も一族の一員なんだよね?
      そこの情けない人間達は。
       君は一族の一員ではないとかぬかしていたけど・・。」
     そういいつつ、その辺りに転がっている人間達をみていう、
     黒髪の少年―異世界の魔族、ゴルンノヴァ。
     「まあ、そうでしょうね。
      何しろガウリイさんの一人娘なんですし。」
     にこにこと、笑っていっているゼロス。
     「グ・・・・・グルゥ・・助け・・。」
     グルゥが関った人々がグルゥに助けを求めていたりもするが。
     「どうして、僕が人間なんて助けないといけないの?」  
     あっさりとそれを足蹴りにするグルゥ。
     「・・・・もう、パパやママのわるくちいわない?」
     そんな一族を見渡して、問いかけているセリナ。
     こくこくと。
     うめく人々。
     にっこりと笑って。
     「じゃ、たすけてあげる(はあと)」
     何が許せなかったといえば、父と母の悪口・・・・。
     即ち、リナとガウリイの悪口をここにいる、
     一族全てが言っていたからに他ならない。
     そういって、にっこり笑い、立ち上がり。
     「聖銀宙晄(プラネット・シルバー)」
     セリナはそういいつつ、天井にと手を突き上げる。
     その刹那。


     ――カッ!!

     屋敷全体を淡い白銀色の光が包み込む。


     『・・・・・・・な゛・・。』
     光が退いたその後には。
     失ったはずの手足が戻り、傷も完全にとふさがっている、
     一族の姿が。
     さすがに動揺を隠せない。
     普通、出来るわけがない。
     ただの人間が、しかも、一瞬のうちに、
     こんな大勢の傷を完全に癒すなどとは。
     一族全てが驚愕の表情でセリナをみ。
     そして・・そこにいる、ゴルンノヴァにも恐怖を感じる。
     「もう一度聞くよ?この子、セリナちゃん。
      一族の一員だよね?(はあと)」
     にっこりと話しかけてくるゴルンノヴァに。
     こくこくうなづく人々。
     「よっし。じゃあ、きっと、
       闇を巻く者(ダークスター)様が。
        この一族からマスター選んで、
         その人物が死ぬまで手伝えといってたの。
          このセリナちゃんのことだね。」
     というか、それ以外に考えられないし・・・。
     一応、ストレス発散に、この屋敷にいたガブリエフ一族の、
     人達でストレスは発散できたし。
     それ以外に考えられないし。
     などと、一人納得しているゴルンノヴァ。
     「え?セリナといっしょにいてくれるの?
       ゴルおにいちゃん?」
     その言葉にきょとんとするセリナ。
     「うん。上司命令だからね。
      僕が・・閃光の剣がこの子をマスターに選んでも。
       誰も文句はないよね?ガブリエフ一族の皆さん?(はあと)」
     にっこりとそう笑いかけられて。
     全員、白い顔で無言でうなづいていた。
    
   

     ―――――大正解v―――――



     ふと、屋敷の中に。
     澄んだ、それでいて威厳のある、何もと形容しがたい、
     声が一瞬響く。


     ・・・・・・・・びしり。


     その声を聞き、完全に固まるゼロスとグルゥ。
     そして、ゴルンノヴァ。


     「あ!きんいろのおねいちゃんのこえ!」
     一人、セリナだけが、その声の主に気付いて
     喜んでいたりするが。
     「あ・・・あの?グルゥ様?
      ゼロス様?一体・・今の声の主は・・・・。」
     意味が分からなくて、問いかけるアルゴスの言葉に。
     『・・・・・・聞かないでください(くれ)・・・(汗)』
     その場にしばし石化するゼロス達であった。




     「と・・・とりあえず、じゃあ、そういうことで。
      これからよろしく、セリナちゃん?」
     「わぁい!あ、でも、セリナ、そんなおっきなけん、
      もてないよ?」
     光の剣の形態は、セリナにはまだ大きすぎる。
     「ああ、大丈夫だよ。
       ちゃんともてるように小さくなるから。」
     「それならいい!」
     混乱する一族の前で、にこやかに話しは滞りなく、
     進んでいるセリナとゴルンノヴァ。
     つかつかと。
     「いいか!てめえ!セリナにちょっかいかけたら!
      だまっていないからな!」
     相手は異界の魔族・しかも超高位魔族だというのに。
     つっかかっていっているマルス。
     「・・その前に僕が滅んじゃいますよ・・。」
     そんなマルスの言葉に溜息一つつき。
     「じゃ、決まりだねv」
     そういいつつ。
     ポンv
     軽やかな音とともに。
     小さな一振りの短剣にと姿を変化させる。
     「これから、よろしくねvマスターというかセリナちゃんv」
     「わぁぃ!セリナのけん!」
     喜ぶところが違うような気がするのでは・・。
     その場にいた全員が同じ思いで突っ込みを心の中で入れていた。




     とりあえず、正気に戻った一族の全ては。
     これ以上セリナ達、家族に手を出さないと約束し。
     その場の話し合いは終了してゆく。



     「あ、そうそうv今なら、魔族、
       人手不足だから、誰かならないv 
        今、シェーラもいなくなったしv
         大歓迎だよv」
     話し合いの最中、さらりと勧誘しているグルゥに。
     「・・・どういう意味ですかな?」
     さすがに、ここまで常識で考えられないことが続き。
     思考が麻痺しているとはいえ、
     一族の長老の誇りのかけて、問いかけているサール。
     「・・あれ?いってなかったっけ?
       僕は、覇王神官(プリースト)グルゥ=メネシス。
        覇王(ダイナスト)グラウシェラーに仕えている、
         一応直属の神官だって、つまり、僕も魔族だって。」
     にこやかにさらりと言い放つグルゥに。
     『・・・・・・・・な゛!!!!!』
     さすがに、一族全員が絶句していた。



     「何か立て込んでいるようだし。
       セリナ、あと二泊くらいして戻るぞ?」
     「はぁぁぁぃ!」
     混乱する一族をそのままに。
     とっとと、立ち去る、マルスとセリナ。


     温泉を満喫し。
     二人は、帰路にと着いてゆく。




     魔族なんて伝説の中の存在。
     その観念は・・もはや、通じなくなっている。
     その事実に。
     一族の全てが気付いたのは。
     無謀にも、嘘をつくな!
     といって、グルゥに掴みかかった一族の一部の者達によって。
     折角セリナが回復していたというのにもかかわらず。
     ・・・・今度は、救いのない傷をおい、
     または死亡してゆく人々の姿が・・。
     セリナ達がいなくなったあとの屋敷にて、見受けられていたのは。
     セリナは知らない事実であった。



     空は晴れやに澄み渡り。
     今日。
     セリナとマルスはミプロス島を離れる。
    


     「・・・・・さて・・・・。
       とりあえず・・・報告・・・しておいたほうが・・。
        ・・・・いいですよね。」
     どこか遠くをみつつ。
     上司たる獣王(グレータービースト)ゼラス=メタリオムに。
     今までの経緯を報告すべく。
     定時報告と連絡に、群狼の島にと戻ってゆくゼロス。
     群狼の島。
     かつて、ここ、北の地を覆っていた結界の拠点の一つ。
     今では、結界を張っていた一つの存在、
     冥王(ヘルマスター)フィブリゾが滅びたことにより。
     その結界は用を成さないものとなっているが。
     それでも、その地に残るのは、北のカタート山脈に、
     封じられている『北の魔王』のため。
     今や七つに分けられた、その欠片の二つが。
     人間の魔道士の手によって、滅ぼされている今。
     いくら、北の地で封じられている彼が。
     魔王の核たる、主となる精神体だとはいえ。
     正確にいうならば―確かに、神魔戦争において。
     魔王の精神は七つに分断された。
     主たる核たる精神と、それ以外の力とに。
     核たる主な精神体に残ったのは、本来の力の、1/4。
     それ以外の3/4の力が、六つの欠片となり、
     人の心に赤の竜神の手によって、封じられたのだ。
     1/4の精神と一緒に。
     魔道士が滅ぼしたのは、二つの欠片・・つまりは、
     魔王の力の1/4。
     北で眠る魔王と同等の力の欠片を滅ぼしているのだが。
     しかし、今、氷の結界に封印されている状態で。
     赤の竜神が作り出した四人の腹心、
     今は三人となっている竜王達に、攻め込まれては。
     まず勝ち目がない。
     その辺りのこともあり、竜王達の動きに目を光らせつつ。
     只今、神族と魔族は、互いに沈着状態が続いている。
     そのため、ゼロスの上司である獣王(グレーターピースト)
     ゼラス=メタリオムもまた、あまり目立っては動けない。
     「獣王様、只今、戻りました。
       ・・・とりあえず、今までの経緯を定時連絡します。」
     いつものように、
     上司に報告するゼロスの姿が。
     群狼の島の中にある、獣王の宮殿の一室で。
     見受けられていた。



                        −続くー

#################################
  
    あとがきもどき:
         薫:・・・・さってとv
           十話以内で終われるかな?(こらまて!)
           というわけで、次回は、セリナとゴルvとマルスv
           今度は、ゼフィーリアに戻り始めますv
           んではではv