白銀の継承者
〜第6話〜












    登場人物:セリナ=ガブリエフ。
    リナ=ガブリエフ(旧姓、リナ=インバース)と。
    ガウリイ=ガブリエフの間に産まれた娘。
    リナ譲りの栗色のくせのあるふわふわの髪に。
    ガウリイ譲りの碧眼の瞳。
    顔立ちは、リナとガウリイ、二人からいいとこばかりを貰ってます。
    いってみれば。
    目はリナ。鼻はガウリイ。口元はリナ。
    こんな感じです。
    はっきりいって、かけなしの美少女。
    只今、あと少しで三歳になるところ。
    適応事項:前世で少々リナ達と関りあり。そのときはゼロスに殺された。




  

  登場人物:リナ=ガブリエフ。
    旧姓、リナ=インバース。
    魔を滅する者(デモンスレイヤー)や。
    ドラマタリナ。など。数々の異名を持っている。
    かなり実力ある魔道士。
    いろいろあったが只今は、夫であるガウリイと、
    娘であるセリナと共に。
    ゼフィール・シティから少し離れた場所にと建っている、
    小さな家にてそこに家族ですんでいる。
    たまに、魔道などの指導や、実家の商売の手伝いをしていたりする。




  登場人物:ガウリイ=ガブリエフ。
    リナの相棒をリナが十五になる近くから務めていた、
    金髪碧眼の美男子。剣の腕は超一流。
    よ〜〜〜やく、長い苦労の末に。
    リナと結婚し、只今、ときたま、ゼフィーリア王宮にて。
    剣術の指南役などを行っている。
    ゼフィーリアに戻って、ようやくルナに認められたと思ったら。
    (このときに、ようやくリナと思いが通じあう)
    今度は、リナがルナに魔法の特訓に連れて行かれて。
    その間に何と、リナとの新居や、結婚式も準備して。
    有無を言わさずにリナと結婚したという事実があったりする(笑)
    妻であるリナをむちゃくちゃに溺愛している。
    娘であるセリナもだが・・(笑)




   登場人物:マルス&セシル。インバース夫妻。
マルス=ラファエル=インバース。
     セシル=ドナ=インバース。
     リナとルナの両親。
     インバース商会を経営している。
     少しだけ出てきます・・・・。



   登場人物:ルナ=インバース。
     ご存知(こら!)リナの姉であり。
     その実体は、この世界の竜神、赤の竜神(フレアドラゴン)
     スィーフィードの欠片を宿しているという。
     『赤の竜神の騎士(スィーフィードナイト)』
     ちなみに、今だに独身・・・・。


    登場人物(?):獣神官(プリースト)ゼロス。
     誰もが認める、お役所仕事の中間管理職。
     仕事以外はことごとくしなく。
     楽しくなるためなら、その労力はいとわない。
     いつも、にこにこと人のよさそうな笑顔をしているが。
     その本質は、にこにこ笑いながら、相手の首をかききる、
     冷酷さを兼ね備えている超、高位魔族。
     魔王についで実力のある腹心の次に。
     実力のある魔族である。
     只今、上司命令で、セリナ(リナとガウリイの娘)を。
     魔族に勧誘しようと勧誘中(笑)


    登場人物:ラナティス=パロ=ガブリエフ。
      ガウリイの異母弟。


    登場人物(?):アルゴス
     白いお髭の少し小柄な見た目五十代後半の、
     ちょっとした男性。

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  たまには、上記に人物設定をもってきたみたりして・・・(まて!)
  んではではv
  ようやく、イベント開始なのですv

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    白銀の継承者  第6話    〜ガブリエフ一族〜



   「・・・・・ここ。」
   思わずぽかんとする。
   祖父の実家も大きいが。
   まあ、それほどではないとはいえ。
   この辺りでは、一番大きな建物ではなかろうか。
   「ここが、ガウリイさんの実家ですよ。
     セリナちゃん。」
   にこにこと。
   その建物をみていっているゼロスの言葉に。
   「・・・・セリナ、はじめてきた。」
   というか、父は、実家のことを一度も話してくれたことなどない。
   「・・・・・こないほーがいい。」
   吐き捨てるように言っているマルス。
   「あ・・・では、ちょっと・。」
   ぱたぱたと、未だに顔色も悪く。
   というか、表現がゼロスがいるせいで作れないのであろうが。
   屋敷の中にと入ってゆく、白い髭の男性。
   やがて、何やら、話し声が聞こえて。
   ギィィィ・・・。
   目の前にある、巨大なもんが。
   静かに開かれてゆく。
   「どうぞ。主がお待ちです。」
   びくびくしつつ、家の中にと招き入れる。
   ・・・ひやり。
   門に一歩、足を踏み入れたとたんに、感じる、違和感。
   「・・・・瘴気か。」
   マルスがにがにがしく、周りを見渡す。
   「おじいちゃん?だいじょーぶ?」
   そういいつつ、マルスにセリナが手をかざすと。
   ぽわり。
   何か見えない空気の壁に包まれる。
   「・・・・セリナ?」
   これは・・瘴気を遮断する結界?
   少し驚くが。
   ま、ルナの特訓を毎日受けてるようだし。
   何しろ、リナとガウリイの娘である。
   あまり、本気では驚いていない。
   高い壁に囲まれた、ちょっとした、白い豪邸。
   その中心の屋敷までは、門からも少なくとも、多少の距離はある。
   その土地の中に存在している数個の別館。
   きちんと清廉された、庭にかかる、小さな小川や。
   そこにあったはずの、木々は。
   今はもう、形だけは存在しているが。
   「・・・・・きがしんでるよ?」
   すでに、その木が生きてないことに気づいて。
   セリナが悲しそうな声を出す。
   少なくても。
   最近こうなったわけではなさそうである。
   「・・セリナ、瘴気にあたる、あまり近づくな。」
   「・・・でも・・。」
   木に近づこうとするセリナを押し留める。
   庭にある草木の全てが。
   全て死の匂いに包まれていた。
   進むにつれて、瘴気が濃くなってゆく。
   
   ガチャリ。
   やがて、一番奥にある、この屋敷の本館にたどり着く。
   「―ようこそ。ガブリエフの本家へ。
      ねえ?ガウリイ兄さんの娘さん?」
   二階から声がする。
   見れば、ガウリイと同じ金色の髪。
   違うのは、その瞳が緑だというくらいか。
   にこにこと笑みを浮かべたままで・・進んでくるその姿は。
   その威圧感に普通の人間ならばまず気が狂うほどに。
   何か違和感をまとった気配を撒き散らしていた。
   「始めまして。俺は、ラナティス。
     ラナティス=パロ=ガブリエフ。
      ・・ガウリイ=ガブリエフの異母弟です。
       どうぞよろしく。」
    にこにこといっている割に。
    その目に宿るのは・・・殺気。
   殺気を振りまきつつ。
   「まさか、ガウリイ兄さんの娘が、
    この島にくるとは、何たる好機。
     ねぇ?俺にとっても、君は姪。
      でもね。」
    くすくすくす。
    そういいつつ、口に手を当て。
    「・・・俺にとって、ガウリイ兄さんは邪魔なんだよね。
      昔から。」
    ドン!
    そういったその刹那。
    辺りの空気が振動する。
    「くすくすくす、君をこの場で殺したら。
     ガウリイ兄さん、怒るだろうねぇ。
      くやしがるだろうねぇ。
       ガウリイ兄さんを困らせるのが僕の生きがい・・。」
    くすくすいいつつ、その体が一気に瘴気に覆われてゆく。
    その手にあるのは。
    いびつな形の剣。
    かつん。
    「・・・無駄だよ?この屋敷に入ったその直後に。
     もう、逃げられない。」
    くすくすくす。
    わらいつつ、二階から、ふわりと、
    マルスとセリナの前にと飛び降りてくるのは。
    金色の髪の緑に瞳をしている、髪を短くまとめた男性。
    セリナを庇い、前に出ているマルスに。
    「ふふ。確か、君は、ガウリイ兄さんの、妻の父親だったねぇ。
      前に一度ここにきたことあるよね。」
    くすくすくす。
    そのときは、自分はここにいなかった。
    戻ってきた時、数個の分館が破壊されていたりはしたが。
    「俺は、ガウリイ兄さんが嫌いなんだよ。昔から。
      お婆様にかわいがられてて、・・両親にかわいがられていたのは、
       俺なのに。・・父でもなく、いきなり、
        継承者に選ばれた・・ガウリイ兄さんがね。」
    父も、母も。
    ガウリイを毛嫌いしていた。
    その瞳。
    両親の誰にも似ていない、碧い瞳。
    祖母と同じ瞳の色をしているガウリイを。
    ただ、それだけの理由で。
    いくら、頼んでも、決して、継承者を。
    ギリの息子である、ガウリイの父に継がせなかった光の剣。
    祖母が無くなったときの遺言で。
    こともあろうに、他の親族や、娘などを差し置いて。
    孫にあたる、ガウリイに継承させるといい、
    息を引き取った祖母。
    そして、祖母が死んだその直後に。
    家に伝わる家宝の剣を持って、家を旅出したガウリイを。
    彼は、当然、自分が継ぐものだとおもっていた。
    両親に愛されているのは自分なのだから・・と。
    だが、そんな両親や自分を差し置いて。
    祖母から、直接に継承者に選ばれたガウリイを。
    伝説の光の剣。
    それを持っているだけで、全ての羨望のなまざしを、
    一気に受けれるというのに。
    いや、父曰く。
    光の剣の力を真に発揮すれば、この世界を支配することも。
    簡単だ・・。
    そういわれ、いずれ、自分がそれを受け継ぎ。
    自分の国を創る予定が・・大幅に狂ったあのときから。
    「まったく・・。
      噂のリナ=インバース?
       そんな女性と結婚して、子供まで・・。
        しかも、光の剣はどこかにやったって?
         ・・そんなの・・認められるわけないじゃないか。
          どうせ、どこかにかくしたんだろう?」
     ごう・・・・。
     ラナティスと名乗った男性の体から。
     黒い瘴気が吹き荒れる。
    「・・・こいつは・・・・・!」
    その気配が人のそれでないのに気づき。
    マルスが唸る。
    もう、ラナティスの体からは、人の気配はしていない。
    あるのは・・・魔の気配。
    「そんな矢先にね・・。この私に手を貸してくれる人に、  
      出会ったんだよ・・くすくすくす。」
     それは、偶然。
     父とともに、出かけた、ディルス王国。
     その国王と謁見し。
    夢の中に、よもやその国王が現れて。
    ―憎いのならば力をかそう。
    そういわれたのは、数年前。
    「俺・・・私はね、生まれ変わったんだよ。
     あの時に・・・・・・そう。
       覇王将軍ラナティスとしてね!」
    ブワリ!
    部屋の全てが瘴気に覆われる。
    「セリナ!」
    セリナを庇おうとするマルスに。
    「・・・・邪魔だよ。」
    すっと、その手にもった剣を突き出す。
    「・・・・・・ぐわっ!」
    ドン!!
    触れてもいないのに、吹き飛ばされるマルス。
    「お爺ちゃん!!」
    飛ばされた、マルスに駆け寄るセリナ。
    「くすくすくす。
      そうだねぇ。まず、肉の塊にして、ガウリイ兄さんに、
        送りつけようか?くすくすくす・・・。」
    いつのまにか、横にいたはずのゼロスの姿はない。



    「・・・・・・マルスおじーちゃんをきづつけた!」
    セリナの瞳が怒りで震える。





    
    「・・・おや、ゼロス。」
    のんびりと、読書なんかをしている、人物の横に。
    突如として出現する、黒い神官。
    そんな彼に話しかけているのは。
    藍色の髪に茶色い瞳。
    少しまだ十代後半か、二十代前半であろうか。
    人のよさそうな笑みを浮かべて。
    にこにこといきなり出現したその人物にと話しかけている。
    「・・あのですねぇ。グルゥさん・。
      セリナちゃんにはちょっかい出さないでくださいよ・・。」
    溜息交じりに言っているゼロスの言葉に。
    「僕の仕事じゃないからね。
      僕の仕事は、あくまでも、あのラナティスが。
       どこまで魔族として適正なのか、見定めること。
        あ、ゼロスも飲む?(はあと)
         僕が作った、新しいクスリv
          人間の断末魔の感情がタップリと入ってるよv」
    そういって、指差す先には。
    ・・・・人の頭を器とし。
    それらが分断されて、そこから血が流れ落ち。
    そんな血を動く、何かの置物が、受け取りつつ。
    別の容器に運んでいるものが。
    しかも、その人間は、小さく姿を代えられていて。
    容器の中に入っている無数の人間。
    「あ・・・あいかわらずですね・・。」
    にこにことした表情をそれをみてもまったく壊さないゼロス。
    「まあ、僕としては、あの馬鹿上司が何を考えて。
      シェーラの代わりに将軍にするなんていったのか。
      知らないけどね。とりあえず、仕事は仕事v
       彼、シェーラの代わりに新薬の実験にも付き合ってくれてるしねv」
    にっこりと笑いつつ。
    笑いながら、小さな人間の一人を掴み。
    そのまま、一気にねじ切ってゆく。

    ギャァァァァァァァァァ!!

    人形のような大きさにされているその男性から。
    悲鳴が零れ落ち


    ぽたぽたと。
    血が、下にあるコップにと滴ってゆく。
    「飲む?人間の生き血v結構いけるよv」
    「遠慮しておきますv
      それで・・・僕としては、お仕事するために。
       セリナちゃんの護衛が含まれてるんですけど?
        邪魔はしないでくださいよね?(はあと)」
     とりあえず、念を押しておく。
    「別にしないよ。
      勝手にラナティスとかいう人間が、私欲で行動してるんだから。
       僕の管轄じゃない。」
    「それを聞いて、安心しましたよ(はあと)
      覇王神官(プリースト)グルゥさんv」
    にっこりと笑い。
    「それではv」
    すう。
    その場から掻き消えるゼロスを横目でみて。
    「・・・でも、ゼロス、君も、
      あのセリナの実力・・知りたいんじゃないの?」
    そう問いかけるその言葉に。
    「くすくす。さすがですねぇ。グルゥさん。
      ま、死の直前までは手出ししませんよ・・くすくすくす。
       その方が面白そうですし・・ね(はあと)」
    何もない空間から、声だけが。
    部屋にと響いていた。
    ・・・・それに、あの程度に殺されるようじゃ。
    勧誘する理由もありませんしね(はあと)
    そう、つぶやくゼロスの声のみが、部屋にと響いてゆく。
    



    
    「ふぅん、許さない?じゃ、こんなことしたら?」   
    にっこり笑い。
    剣を一振り。
    その波動で、紺色の衝撃波が。
    倒れているマルスに向かって、一気に突き進む。
    「何くそ!」
    かきぃん!
    懐に忍ばせていた短剣で、その衝撃波を霧散させているマルス。
    「無駄だよ(はあと)」
    くすりと、その緑の瞳が怪しく光る。
    霧散させたはずの衝撃波が。
    逆に物体化し、刃となって、四方八方、無数に、
    マルスめがけて突き進む。
    「おじいちゃん!」
    「セリナ!くるんじゃない!」
    その光速にも近いその攻撃を、殆ど叩き落しているものの。
    それでも多少は傷を受ける。
    

    「・・・・なんでパパのきょうだいなのに!
      ひどいことするの!?」
    きっと、その瞳に涙を浮かべて叫ぶ。
    初めてあった、父親の一族なのに。
    出会い頭にいきなり攻撃なんかしてきて。
    挨拶程度のレベルじゃないし。
    本当に殺気が向けられてるし。
    などと、思っているセリナ。
    殺気がなくて、挨拶としての戦いならば、ゼフィーリアでは、
    よくある光景。
    「・・・言ったでしょ?ガウリイ兄さんが嫌いなんだよv 
      俺はねvだから・・ガウリイ兄さんが死ねば。
       この俺がガブリエフ家の継承者だしね。」
    くすくすくす。
    彼の上にも兄はいた。
    彼は、三番目の息子なのだからして。
    「・・・確か、おめえの上にも一人、いただろうが。
      ここの息子は。」
    キンキンキン!
    剣を裁きつつ、叫ぶマルスに。
    「ああ、いるよ。ほら。」
    すい。
    そういって、手にもっているいびつな形の剣を前にと突き出す
    ラナティス。
    「くすくす。リュイ兄さんは、俺に進んで、力を与えてくれたんだよ。」
    そういいつつ、剣に口付けする。
    ・・・・ろせ・・。
    ・・・・・ころ・・・せ・・。
    ラナティスが持つ剣から、
    唸るような男の声が響いてくる。
    「この剣が、兄さんなんだよ。    
      あの御方の力で、俺はこんな力を手に入れた。
       もう―怖いものなんかない。
        この力でいずれは、世界を制してみせる。ふふ。」
    愛しそうに剣に頬ずりする。
  
    ラナティスが持っている剣は。
    ガウリイの弟であり、ラナティスの兄。
    リュク=サンドル=ガブリエフ。
    その変わり果てた姿。
    魔の呪法によって、姿を剣にと変えられて。
    いいように使われているのである。
    昔から、こういう危険な思想があったラナティス。
    しかも、幼いころの趣味は、毒薬作りなど。
    遊びで暗殺業などもやっていたりした。
    そして、魔術の研究もまた。
    独学で学び。
    様々に応用を利かせることができるまでの実力を持っていながら。
    それらを全て自分の権力にか使おうとしなかった、
    このラナティス。
    力を得た彼は、まず、一番生涯になる、父親を生贄と差出し。
    その、血の契約でもって、契約を結び。
    次に、次なる邪魔者である兄を剣にと姿を変え。 
    そして、今に至っている。
    一番殺したい相手の所には。
    自分に力を与えてくれた、覇王が送り込んできた、
    彼―覇王神官(ブリースト)グルゥの意見で。
    まだ自分がここから出ては完全に魔族になりきれない。
    精神が安定してないから。
    そういう理由で、まだこの島からは出れなかったこのラナティス。
    そんな中―最も憎んでいるガウリイの娘が。
    相手の方から、この島にとやってきたのだ。
    これを利用しない手はないとばかりに。
    グルゥと同じく、この屋敷にやってきた、
    中級魔族であるアルゴスを迎えにやり。
    見事にこの屋敷にと、招き入れることに成功した。
    今、目の前にいるのは。
    ラナティスにとってはガウリイを苦しめる手段の駒に過ぎない。
    
   

    「・・・・ぐわっ!」
    マルスがのけぞる。
    どうやら、息が切れたところを。
    無数の刃が、その肉を切り裂いたために。
    少し悲鳴を上げているマルス。
    本来ならば即死であろうが。
    本能的に、身をよじり。
    全ての急所を交わしているマルスは、さすがといえばさすがであるが。


    「・・・・おじーちゃん!」
    ・・・・・・・許さない・・。
    流れる血。
    大切な祖父の体から紅いものが流れ出すのをみて。
    きっ。
    すくっとくすくす笑っているラナティスを見つめて、
    立ち上がるセリナ。
    「おやおや、どうやら、早く殺して欲しいようですねぇ?」
    完全に自分の力を過信し、セリナを確実にしとめられると、
    思っている彼は。
    そんなセリナを馬鹿にしたような瞳でみつめつつ、くすくす笑う。
    「・・・・・・・・ゆるさない。
      ぜったいにゆるさないんだから!!
       せりなのたいせつなひとたち、きづつけるのは!!」

    ゆら・・。
    そう怒りに震えるセリナの姿が。
    一瞬揺らぐ。
    栗色の髪は、見間違いか、はたまた幻影か。
    ゆっくりと、その髪の色が白銀色にと変化し。
    そして、一度目を閉じ、開いたその目は。
    碧い瞳ではなく・・・白銀の色。
    栗色の髪に碧い瞳であったはずのセリナの容姿は。
    その一瞬のうちに。
    白銀の髪に、白銀の瞳へと、変化を遂げていた。



    ・・・・あれは・・・。
    精神世界から、完全に傍観を決め込んでいたゼロスと。
    そして、その横にもう一名。
    「・・・・ねえ?あの姿・・・聖魔兵器(セリファナ)
     ・・じゃないかい?ゼロス殿?」
    精神世界から、セリナの変化を見てとり。
    のほほんと隣にいるゼロスに話しかけているグルゥ。
    「・・・・どーやらそーみたいですねぇ・・。
      まさか、転生しても力・・もったままですか・・。」
    さすがに、ガウリイさんとリナさんの娘だけのことはありますよね。
    まさか・・以前、つまりは前世の力をそのままもって。
    産まれてきているなど。
    少し感心しているゼロス。
 
    聖魔兵器(セリファナ)。
    かつて、エルフの中でも大賢者と名高かった、バルーンが。
    自分の曾孫が死亡したのを受けて。
    孫娘であるセレネ=ガーディンと共に。
    多数の命ある存在と、精神的な存在を狩り。
    それらを組み合わせて、神と魔、そして、聖なる属性と、
    闇の属性、そして・・それらに打ち勝つ狭間の属性。
    それを持たした肉体を作り出し。
    それに、犠牲となった、セレネの一人娘―セリナの魂をいれ。
    その知識には、バルーンが持てる、全ての知識を入れ込み。
    それを別名、『聖魔兵器(セリファナ)』と名づけた。
    殆ど完成していたのだが。
    あと一歩というところで、あと一つ、エルフくらいの容量の、
    純粋なる魂と血と肉を吸収したところで。
    完全に生きて行かれるようになるはずだったのだが。
    そこで、セリナを育てていたセレネが死亡。
    魂となって、セリナを外部から隠し、封印し。
    数年ほど前。
    そんな封印された地に、ガウリイとリナが迷い込み。
    そこに封印されていた、セリファナを開放し。
    まあ、兵器とはいえ、まだ幼い女の子。
    しかし、ゼロスにとっては、セリファナの知識そのものが。
    いわゆる、その知識は。
    水竜王の知識や、他の竜王達の知識の結晶でもあったがゆえに。
    ゼロスのお仕事でもある写本の処理。
    それに当てはまり、少し利用してから、最後に、
    ゼロスが滅ぼしたのだが。
    そのセリファナの転生体―それが、ガウリイとリナの一人娘。
    セリナである。
    


    半ば感心しつつ、それでも完全に傍観を決め込んでいる二人。
    「・・・・さて、お手並み拝見させてもらいましょうかv
     セリナちゃん・・いえ、セリファナさんv」
    にこにこと。
    何か楽しいことでも見つけたように
    精神世界から、物質世界の様子を覗くゼロスの姿が。
    そこにはあった。



    「・・・・・・・な゛!?」
    びりぴりと伝わってくる、威圧感。
    今までのものとは比べ物にならない。  
    力のない、小さな子供でなかったのか。
    目の前にいるのは、確かに、まだ三歳にも満たない、
    小さな子供なのに。
    この、自分が気配に押されている。
    それに多少驚くラナティス。
    栗色であったはずの髪が、白銀色にと変化し。
    その瞳の色も白銀色にと変化しているセリナの姿にとまどいつつ。
    「・・・ふ・・ふん。
      姿を変えたところで!」
    本能的なところからくるプレッシャーを押しのけるように。
    攻撃を繰り出す。

    ―が。


    パシュ。


    セリナが手を前にすっと伸ばしただけで。
    その攻撃は途中で消え去ってゆく。


    「・・・・・ゆるさない。
      せりなのたいせつなひとたちをきづつけるのは・・。」
    そういいつつ。
    ふと、何かをつぶやき始める。
    「暁と黄昏をすべし命の母よ 我盟約により この身に狭間の力を宿し
      我が前に存在する愚かなものに 裁きの雷を与えたもう・・・。」
    「????」
    今までの口調とは違うその言葉に。
    首をかしげている最中。 
    「我、盟約の名前の下に!暁聖魔破壊(セイントルーン)!!」
    セリナの言葉に応じて。
    ラナティスの頭上から、銀色の雷の束が。
    家の中だというのに、ラナティスに向かって襲い掛かる。
    「これは、ここのふたりのちから・・。
      つぎは・・・ほんきでいく!」
    その銀色の目が、静かに光る

  

    「深き闇の彼方より訪れし銀色の闇その光をもちて
      銀色を司りし我がもと その力を今解放させん。」
    いつもの子供の口調ではない。
    どこか大人びた口調で淡々と語るセリナ。
    
    そして。


    「我が、ブラネット=セリファナレスティゥの御名によりて!」


     その言葉と同時に。
     屋敷全体に。
     白銀色の光が一瞬のうちに多い尽くしていた。



    「・・・・・・な゛!?」
    こ・・・この・・・力は・・・・一体!?


    「・・・・・・・・・ぎ・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



    サラ・・・・・・・・・・・・・・。





    白銀色の光の中で。
    ボロリと、ラナティスの体が壊れていき。
    そのまま、塵となり、その塵ですら、完全に
    無とかしていっていた。




                       −続くー

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   あとがきもどき:
       あははははv(まてこら!)
       よーやく出てきたと思ったら、
       すぐにやられちゃって、ラナティスさんv(まて!)
       ま、やられキャラ、ヤラレキャラ?(だからまてってば!)
       さあ! 
       セリナが言った、その名前!
       『ブラネット=セリファナレスティゥ』
       この名前の真実の意味を!
       理解した人はすばらしいです!(だからまて!)
       ・・・・・って、もろバレですよね(笑)
       んふふふふふふv
       んではではv