Ruby Red










俺はときどき夢を見る。
思い出したくもない、昔の夢を――――。



そこにいるのは、オレだけだった。

元の色もわからないほど、血に染まった大地。
その上に転がる、魂のない抜け殻を、オレはただ、何の表情もなく眺めていた。

そんなオレに、俺は近づくことすら出来なくて。
目の前にある全てを切り刻んでゆくオレを、俺はただ遠くから眺めていた。



不意に、色が消える。



白と黒だけの、モノクロの世界――――。


足元に違和感を感じ、そこに目をやれば、オレが殺した人間達が、俺を
地獄へ引きずり込もうとしている。
慌てて顔を上げると、オレは無言で、残酷な笑みを浮かべていた―――。




ゆっくりと目を開くと、そこはもとの俺の部屋で、思わずほっと息をつく。

その瞬間、オレのあの笑みが、あまりに鮮明に浮かび、俺は、腕の中の存在を
きつく抱きしめる。


「ガウリイ?」


彼女のまっすぐな紅玉の瞳に、俺が映る。



何よりも輝くその瞳が、俺に現実を伝える。

暗く深い闇の底から、俺を連れ出してくれる。

どんな星より、太陽よりも眩しい、俺にとって唯一の光。



不思議そうに俺を見つめる彼女に、「何でもない」と声をかける。

「そっか」

そう小さく呟くと、彼女は再び眠りについた。

俺は彼女を抱きしめなおし、そっと目を閉じる。




俺はきっと、もう大丈夫だろう。
どんなにひどい悪夢を見ても、この腕に、このぬくもりがある限り――――。







      ***end***








         
          〜〜〜あとがきってゆーか、解説ってゆーか〜〜〜

           オレ=昔(てゆーかリナに会う前)のガウリイ
           俺=今(設定では、リナと結婚してる)ガウリイ
    
           わかりにくいのは、これくらいでしょーかねぇ。
           どっかでみたよーな書き分け方ですいません。
           他に思いつかなかったもので・・・・。
           しかも、なんか短いし・・・・。

           とりあえずはこんな感じで
           「初出場で、賞取っちゃったよ記念作品」を
           お送りしました。

           ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。