Why…?










ただ普通に。
隣で歩いているのは連れのガウリイ。
一緒に並んで歩いていた。
ぞれがずっと続くと思ってた。
それは突然だった。
彼が突然揺れて倒れる。
「ガウリイッ!?」
あたしの叫びが空しく響く。
彼の傍らには闇の塊。
それが彼の心臓を一突きしていた。
「………あ……ガウ……………?」
信じられなかった。
大量に流れる赤い血。
小刻みに震えるあたし
そんなあたしに闇がこう言った。

―――お前が殺したんだ。お前に関わらなければ死ぬ事などなかっただろう。

「やぁぁぁぁぁぁっ!」
あたしは悲鳴を上げてベッドから飛び起きた。
「ハァ…ハァ…ハァ………夢…か……」
あたしは震える自分の肩を掴み、汗を拭ってベッドに倒れこんだ。
あたし、リナ=インバースは最近昔の仲間を殺めた。
ルークという青年。
彼はレゾという男と同じく、その魂に魔王の一欠片が封印されていた。
ただ違うのは。
レゾは魔王を拒絶したが、ルークは望んで受け入れたということ。
彼には想う人がいた。
ミリーナという…女性だった。
今でも思い出せる、あの人が死んだ時のこと。
毒のついた剣で、ほんの少しだけ傷をつけられて。
でもその毒は強くて。
あたしの知ってる解毒の魔法じゃ全然太刀打ちできなくて。
強い回復呪文を使える人もいなくて。
あの人は亡くなった。
あっけなかった。
何度も何度も死線をくぐりぬけてきたのに。
全然どうってことないハズだったのに。
ほんの少しの油断。ほんの少しの傷で。
彼女は亡くなった。
そしてその悲しみで、怒りで。
彼は魔王となることを望んだ。
口が悪くて、性格も悪くて、こっちがうるさくなるほどミリーナにぞっこんで。
でも、イイヤツだった。
どうして彼らが死んだのか。
そんなの、そんなのはわかりきってる。
夢でも見た、ずっと一緒にいる相棒がいる。
ガウリイ=ガブリエフ。
あいつもあたしに関わって冥王なんていう厄介な、厄介過ぎる奴にさらわれて、命を
落としかけた。
もっと言えばその時はアメリアもそうだしゼルガディスもそうだしシルフィールだっ
てそうだ。
全部あたしがいたせいで。

あたし。あたしに関わったからだ。

あたしに関わったせいで、変な奴らからも目をつけられて。
あたしに関わったせいで、何度も魔族に命を狙われて。
あたしに関わったせいで、恨みを買って死んだんだ。

あたしに関わった人は皆不幸になる。
迷惑ばっかりかける。
夢みたいに皆死んじゃう。

あたしはいない方がいいんじゃないの?
あたしは誰からも必要とされないんじゃないの?

「リナッ!?リナ大丈夫かッ!?今悲鳴が……!」
ガウリイの声だ。
「大丈夫……だよ。」
我ながら、覇気がなかったかもしれない。
「…入っていいか?」
「あ、う…うん………今鍵開ける。」
カチャリ
「リナ…どうしたんだ?」
ガウリイの顔を見れない。
泣いてるわけじゃない。でもあんな夢見たら見れない。
あれが、あれが現実のような気がして。
「どうしたって………何が?」
ガウリイが渋い顔をした。
「それが何もなかったって顔かよ。」
「……気のせいでしょ。別に何もなかったわよ。」
あたしは苦しい言葉を発する。
「じゃあ悲鳴は?お前のだったぞ。」
「それは…………ちょっと夢見が悪かっただけよ。気にしないで。」
顔を背けながら言った。
「ちょっと?嘘だろ?そんな苦しそうな顔して…」
「してないわよっ!」
あわてて否定する。
「してる!!」
珍しい大声にびくりと身体を震わせる。
それを見たガウリイは優しく笑う。
そしてぽんと頭に手を置く。
「お前さんは、無理しすぎだ。夢でも、辛いときは誰かに頼っていいんだ。一人で泣
く必要なんてないんだ。」
諭すような優しい口調。保護者の顔。
それが、痛い。それが、辛い。
あたしは顔を上げる。
「どうしてそんな…優しい言葉くれるの?」
声が震えているのはわかっていた。
哀しそうな顔をしているのもわかっていた。
「え?」
「どうして…?」
「どうしてって言われても…保護者だしなぁ。被保護者の悩みを聞くのは当然だと思
うし。」
違う、聞きたいのはそういう答えじゃない。
「どうしてずっと保護者してるの…?」
「どうしてって…お前さんはまだ危なっかしいし…」
「危なっかしいでしょ。魔族に狙われて…命の危機に何度も陥って……なのに、なの
にどうしてそこまでしてついてきてくれるの?何で…何でどうして…」
あたしは俯く。
「あたしのこと強く責め立てようとしないの?あたし、あんたの命何度も危険にさら
してさ。ううん、あんただけじゃない…たくさんの人を犠牲にしてる……。今、見た
夢でも、ガウリイが魔族に殺されて…『お前が殺したんだ。お前に関わらなければ死
ぬ事などなかっただろう。』って…言われて………でも嘘だって思えなくてっ…!」
言葉の中に嗚咽が混じる。声がかすれる。
「なのになんで何も文句も言わずについてきて、くれるの…?保護者してくれるの?
それにもう、あたし保護者のいる年じゃないし…それに」
あたしはふぅと息を吐く。
「あたし、あんたのこと保護者としてはもう、見れない。好きなの。あんたのこと
が……」
ガウリイの瞳が大きく開かれる。気にせずにあたしは続ける。
「だから、傍にいるのが辛いの。だから、ケジメつけようと思うの。今ちゃんと考え
てみて…くらげでも考えたらあたしといる方が危険だってわかるでしょ?」
いつもいつもずっと疑問に思ってた。
こんなに危険なのに、いつ死ぬかもわからないのにあたしについてきてくれるのは何
故?
もし何も考えてないんならもう、おわりにしよう。
別れるのは辛いけど。
ガウリイに迷惑かけちゃう。
それに、あたしの気持ちにも限界があるから。
だからもし別れる事になったとしても嘆かない。
そう決めた。
ガウリイは少し悩んだようだった。
「………お前さんはさ。俺がくらげだって言うけど本当は違うんだ。本当はずるいん
だ。軽蔑されるかもしれない。それでも、聞いてくれるなら、言うよ。」
「え…………う…ん……」
あたしはガウリイの真剣な表情に固まりながらも答える。
「お前さんに一つだけ伝えてない事があるんだ。でも、嘘はついたことはない。全て
言ってきた事に嘘はなかったって誓える。」
ガウリイはあたしの前に座りこんであたしの両手を握った。
「でも、裏切ってたかもしれない。自分だけ、守ってた。俺の本当の気持ちさらけ出
してなかった。見せ掛けだけの心しか見せてなかった。それは謝る。」
ガウリイはあたしの顔を覗きこむ。
「でもお前さんはいつも輝いてて、光みたいだった。眩しすぎて…近寄れないと思っ
てた。それに、俺に限って…あんな風に、俺のこと好きだなんて思ってくれてるなん
て、有り得ないと思ったんだ。何の取り柄も無いから……。でも、リナが言ってくれ
てやっと言えるよ。俺は、お前さんのことが…好きだ。保護者はある意味本当で、
守ってやりたいってずっと思ってた。支えあっていきたいってずっと思ってた。俺に
は、お前さんが必要なんだ。」
あたしは、真っ赤になっているのがわかった。
ガウリイがそんな風に考えてるっていうのが、驚きだった。
「でも…あたしといると迷惑が……」
「大丈夫だ。俺はリナと離れる方が辛いから。」
「今ならまだ、取り消せるよ…?」
「取り消すつもりなんてない。」
即答するガウリイ。あたしは嬉しくて泣きそうになる。
「本当?」
「ああ。」
「嘘じゃ、ないよね。」
「嘘なわけ、ないだろう。」
「これってまだ夢の続き?」
「夢じゃない。」
そう言ってガウリイはあたしを抱きしめる。
「あったかい……」
「だろ?夢じゃないだろ?」
「うん。そだね…夢、じゃないよね。」
涙が流れた。嬉し泣きなんて何年ぶりだろう。
「ほら、泣くなって。泣かれると、困るよ。俺、笑顔の方が好きだぞ。」
慌てたガウリイの声。その仕草が年上とは思えなくてくすりと笑ってしまう。
「うん…」
あたしは頷く。
「好き…だよ。」
あたしはそう言って涙で濡れた顔を拭いガウリイに満面の笑みを向けた。

〜〜〜おわり〜〜〜

☆作者の懺悔☆
ゲロ甘…ゲロ甘…
ううううううううううううううううう
ごめんなさい〜〜〜〜〜〜(涙)