SMALL









小さい時。
本当に世間なんて世界なんて。
まったく知らない無知な時。
浮遊の術を使い、ゼフィーリアの空に高く高く飛んでみたことがあった。

あの時。

あたしはゼフィーリアのまわりに広がる大きな大きな世界の存在を知った。
広大に広がる大地。
そこでは、ゼフィーリアは、あたしのずっと住んでいた場所はあまりにもちっぽけ
で。
あたしは何て、ちっぽけな世界にとどまっているんだろう。
そう、思った。
この世界へ、いつか飛び出してみたい、と。
そう、強く、強く感じた。

そう思った気持ちが膨らんでいく。
時が経つにつれ。
あたしが大人になるにつれ。
外の世界の話を聞くにつれ。
大きくなっていく、憧れ。
大きくなっていく、期待。
そんな矢先、姉ちゃんから言われた言葉。

「世界を見てきなさい、リナ。」

見透かされた気がした。
あの日から。
この場所にとどまる事に満足できなくなった、あの日から。
ずっとあたしに囁きつづける、力ある思い。

世界に、旅立ちたい。

あたしは答えた。

「わかった、行ってくるよ姉ちゃん。」

それから旅をはじめて、色んな事を知った。
旅をする楽しさ。苦しさ。
時には悲しさも。
出会いも別れも何度も体験して。
でもあたしは広い世界をまだ見たくて。
ちっぽけな世界にとどまっておきたくなくて。
走りつづけてた。
でも。
最近思った。

「リナー」
「何?ガウリイ。」
「腹減らないかー?魚捕まえよーぜ。」

ちっぽけな世界。
それが集まってこの広大な世界は創られてる。
ちっぽけな世界。
こんなちっぽけな会話。
だけど。

「そーね、お腹すいたし。じゃあガウリイ捕まえてね♪」
「えぇぇぇぇ!リナも手伝えよ!」
「やーよ。乙女になんて労働をさせるのよ?」
「乙女って柄かよ。」
「言ったわね!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

一つ一つが、大切な時間、大切な世界。
こんな他愛もない言葉が、時間が、本当に大切なんだって。

「ねえガウリイっ!」

だから本当の気持ちを言おうと思う。

「何だ?」

ちっぽけな時間の中にいるから。
そのちっぽけの中で出来るだけ後悔しないように。

「あたしね。」

たった一言。ちっぽけな言葉で。
だけどとても大事な気持ちを。

「あんたの事が―――」

好きだよ、ガウリイ。

<おわり>










〜〜あとがき〜〜
何がやりたい。私。
………(しばし沈黙)
…深くは聞かないようにしてください。
では。