Saint Valentine’s Day







「さってと、材料は買ったし・・・後は作るだけね。」


みゃぁ〜んv
すりすり・・・・


最近ガウリイが拾ってきた小さな仔猫があたしにすり寄る。
彼曰く、
『リナに似てたから、どうしても放っておけなかったんだ。』
との事だ。

まぁ、あたし自身猫は嫌いじゃない・・・いや、むしろ大好きだ。
あの、ぷにぷにの肉級v
ぴくぴく動く、しっぽに、耳vvv


「サンv」


みゃぅv


あたしが少し屈み両手を広げると、嬉しそうに飛び付いてくる。

栗色の毛並み、真っ赤なルビーのような瞳。
それは、あたしと同じだった。


しばらく、サンとじゃれ合って遊んでいたが・・・



「あぁ!チョコ作るんだった!!」









今は、お昼を少し過ぎたくらい。
何とか、夕食までにはできあがるだろう。
甘い物があまり好きではない彼のために作る、ケーキ。
甘さは、限りなく控えめなのに、すごく美味しいオリジナルのお菓子v


ボールで、小麦粉や、卵などをかき混ぜていると、サンが不思議そうにそれを見ていた。



「どうしたの、サン?」


サンは、あたしを見上げると、まるで、
『何してるの、それは何?』
って、聞いているように、かき混ぜているボールの中身と、あたしを見比べる。


「これはね、特別なお菓子よ。」

『そうなの?』

「一年に一回だけ彼のために作るの。」

『がうりいのため?』

「はじめて作ったときも、ガウリイ、美味しそうに食べてくれたのよv」


あたしは、サンにそう言った。
今、この状況を近所のおばちゃんなどに見られようものなら・・・

『ねぇ、ここだけの話なんだけど、知ってる?
ガブリエフさんの奥さんのこと。』
『えぇ、知ってる知ってる、何でも妄想癖があるんだって?』
『そうそう、こないだなんか、家の猫と何時間も話し込んでたんですって。』
『その原因って、旦那さんの浮気だそうよ〜ぉ。』
『あらやだ、変に格好いい主人をもつと大変ねぇ・・・』

とまぁ、とことん話は大きく、胡散臭く・・・なおかつはた迷惑に発達していくのである。


って、そんなことはどうでもいいんだけど・・・。



混ざり終わった物を、型に入れ、暖めたオーブンへ入れる。



「後は、焼き上がりを待つだけねv」


















そして、夕食後・・・

ソファの上で、サンと遊んでいるガウリイに、紅茶とケーキを差し出した。


「はい、ガウリイ。」
「おっ!リナのケーキか・・・これ、上手いんだよなぁ〜
一年に一回しか食べれないけど。
サンも食うか?」


みゃぅ〜んv


嬉しそうに鳴くサンに、ひとかけらケーキをあげる。

そして、彼も、一口食べ・・・


「やっぱ、リナのケーキは美味いよなぁ〜。」
「そう?」


もぐもぐ・・・


「あぁ、これなら、毎日デザートで食べてもいいんだけど?」


むぐむぐ・・・


「・・だ・・めよ・・・」


もぐもぐ・・・


「何で?」


ごっくん!


「年に一回だから、ありがたみがあるのよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前なぁ・・・」


呆れた彼の声。


「何よ?」
「年に一回なのは、解ったけど・・・・
なんで、俺に一切れしかくれないんだ?」

「あたしが食べたいから。」
「だからって・・・・・」


そう言って、俯いた彼の目が妖しげに光った。


・・・・・・・・うっ・・・こいつ、今・・・何かとんでもないこと考えてる!
あたしはいつの間にか膝の上で寝てしまったサンをそっとソファに寝かせると、
ゆっくりと立ち上がろうとした・・・



「おっと、リナどこ行くんだ?」



しかし、それも失敗し、あっさりと彼に捕まってしまった。



「え・・・もう、遅いし・・・明日も早いし・・・寝ようかなって・・・・」

「まだ、9時前だぞ?」

「え・・・えっと、そう美容のために、早寝早起きを・・・」

「リナは、今のままで十分綺麗だって・・・」

「あっ、あの・・・もっと上の女を目指そうと・・・」

「そうだな、リナが今以上に綺麗になるのは俺としても嬉しいし。」

「でしょ、だから、放して・・・ね?」



やっと、この妖しいガウリイから解放されると思ったのに・・・



「俺が綺麗にしてやるよ・・・」



不適に彼が笑い、あたしを抱き上げる。



「え・・・遠慮したいんだけど・・・?」

「だ〜め。
それに、リナが一番綺麗になる場所は俺の腕の中だけなの知ってたか?」

「え?」

「くくっ・・・イってる時のリナは最高に綺麗なんだv」




真っ赤になって固まったあたしを彼は寝室へと運んだ。
























「うぅ・・・・・・・ガウ・・リ・・イの・・・・ばかぁ・・・・・あん♪」






















END


あとがき


飛鳥様vバレンタイン企画Bでしたでしょうか?
これ、何故にBかと言いますと、いつもらぐぢすの駄文をUPして下さっている皆々
様にお送りしてる企画だからv
(内容はもちろん別々ですv)
企画番号は、お送りする話を思いついた(書き上がった)順になっております。

しかも、これにはまだ、続きが・・・(しかも裏)・・・v



でわ、この小説の設定を。

リナ    専業主婦 (ガウリイと結婚して、半年新婚ほやほやv)
              学生時代から、ガウリイとつきあっていて、高校卒業
後、見事ゴールインv
              ってことは・・・・リナちゃんは18歳!?(もうす
ぐ19歳)
              子供は、まだいない。
              ガウリイの会社の社長令嬢アメリアと親友。

ガウリイ  会社員 (大企業、(株)セイルーン勤務)
             ちなみに、役員・・・かなぁ〜り優秀。
             セイルーンの社長はやっぱりあの・・・フィルさん。
             アメリアの婚約者、ゼルガディスと親友。
             年齢は24〜25歳くらい。

サン     猫 (ガウリイの拾ってきた、リナ似の仔猫)
           いつもは、さんの視点から、この新婚夫婦の生活の様子をえ
がいている。
           ガウリナ大好きな可愛い仔猫v


これは、読んで分かる通り、すぷりんぐの番外編・・・外伝?。
リナちゃん視点です。

いつもはサンちゃんの視点からなので、今回はちょっぴり難しかったかな。