再会
***番外編***







ガウリイとゼルガディスはアメリアとリナを残しちょうど三十分から四十分ぐらいで
一周して帰ってこれるほどの散歩道を話しながら歩いていた。
静かで時折鳥のさえずりが聞こえて虫の声が聞こえて…本当に平和な場所。
トラブルの代名詞だったリナとガウリイが住んでいる付近とは思えないほどに静かで
平和。
「リナは…変わったな。」
ゼルガディスはリナを思い出して苦笑しながら言った。
昔は有り余るほどに輝いていた瞳が落ちついた。
何より、大人っぽくなった。
「そりゃそうだろ、もう何年経ったと思ってるんだ?」
「そうだな。もう七年になるか、あいつとはじめて出会ってから。あの時はもうどう
しようもなく口が悪くて調子が良くて…子供だったな。」
リナと初めて会ったときのことを思い出して笑う。
「とんでもない、子供だったな。魔王を前にしてもあきらめないし。本当にとんでも
なくすごいお子様だった。」
「全くだよ。すごい子供だった。でもすごくても子供だったんだよ、あの時は。保護
者のつもりだったのに…何時の間にか惹かれてた。自覚した時は保護者定着した後
だったから…苦しかったよ。警戒心ゼロだからな。男と見られてないって思うと結構
きつかったぞ。あいつ鈍いし。」
溜め息混じりにぼやくガウリイにゼルガディスは同意する。
「本当に。あいつは色恋に関しては思いきり勘が鈍いからな。」
「そうだな、ゼルガディスの気持ちにも結局気がつかなかったし。」
「!!」
さらりと言ったガウリイにゼルガディスは目を開く。
「だ…旦那…気づいて…?」
「気がついてないとでも思ってたのか?昔、お前がリナのこと見る目全然他と違った
んだぞ?」
ガウリイはそう言って、にやりと笑う。ゼルガディスは溜め息をつく。
「旦那は相変わらず自分を隠すのが上手いな。思ってることを全然表に出さない。」
「そうじゃないと、あいつの保護者なんて何年もやってられなかったよ。」
悪びれもせず答えるガウリイ。ゼルガディスはあきらめたように溜め息をつく。
「………あきらめたんだ。勝ち目ないってな。サイラーグの時に思い知った。だから
もうそういう気持ちはないよ、あいつには。」
「でも少し未練あったんだろ?」
「―――今日スッパリ未練はなくなったよ。見せつけられた。」
やれやれ、といった感じで答えるゼルガディス。
「じゃあやっと告白できるな。」
「―――誰に?」
「アメリア。」
ブバッ!
吹き出し、そして一気にゼルガディスの顔が赤くなる。
「だだだ旦那ッ!」
「まあまあ照れるなって。」
「旦那ッッ!」
「好きなんだろ?アメリアのこと。」
ゼルガディスはしばらく真っ赤なまま何やらうめいていたが深い溜め息をついて言っ
た。
「確かに…好きだ。だがな、あいつはセイルーンの王女だ。俺なんかが幸せにできる
筈はない。だから…」
「身分の差だけであきらめるのか?」
「仕方がないだろう。」
「本当にお前はそれでいいのか?一生後悔することになっても?」
「いいんだ、あいつのためなら…」
「アメリアがお前を好きで、一緒に行きたいといったら?」
「勿論連れていかない。不幸になる。」
「アメリアがそれを望んでも、か?」
「それは……」
ゼルガディスが口篭もる。
ガウリイは苦笑する。
「まあ、いいさ。でもな、ゼルガディス、今言わないと一生後悔するぞ?」
「…わかってるさ。だが……」
「よく、考えろよ。でもま、本当にどうしてこんな厄介な女に惚れたんだろうな。俺
達は。」
「そうだな。本当に。」
ガウリイはバシッとゼルガディスの背中を叩いた。
「よしっ終わりにしようぜこの話題。辛気臭いのは性にあわない。」
「…ああ。」
そう言って、ゼルガディスとガウリイはリナとアメリアの待つ家へと帰っていった。


〜〜おわり〜〜



あとがき。
え〜っと…密かに再会(番外じゃないほう)のラストの「終わる想い」「始まる想
い」をイメージ。えっとですねぇ…ガウリイとゼルガディスの会話の中にも出てきま
すけどゼルガディスがリナへの密かな想いとキッパリ決別して本当にアメリアへの想
いをはじめる、という感じで…。わかりにくくてスミマセン〜(滝汗)
う゛う゛ぁぁぁぁぁ(自己嫌悪のうめき)
ではでは…逃げます!(だっしゅ)