再 会 |
アメリアが久しぶりにあたし達に会いにきた。ゼルガディスと一緒に。 「本当になんで呼んでくれなかったんですか!?」 「ごめんごめん。結構忙しくて身内でやったからさ〜…」 「でも、私リナのウエディングドレス姿見たかっのに〜〜」 アメリアが涙目で抗議する。こういう何事に対しても真剣なところは変わらないが、容姿には昔の幼さよりも女性らしさが目立ってきている。 「でも意外だったな、リナとガウリイの旦那がこんなに早く結婚するなんて。俺はてっきり晩年になってようやくリナが旦那の気持ちに気づくんだとばっかり思っていたんだが。」 「ゼルガディス〜?それはあたしが鈍感なガキだって言いたいわけ〜〜?」 あたしは即座に呪文を唱え始める。全員の顔色が変わる。 「リナ!ドラスレはやめろ!!」 「それは正義じゃないわ!リナ!」 「冗談だから止めてくれ!!」 全員の必死の説得にあたしはにっこり笑って答えた。 「冗談よ。冗談。それよりさガウリイ。ゼルガディスと積もる話もあるだろうし、あたしもアメリアと女同士で話したいし、散歩でも行ってきたら?」 「ああ、わかった。」 「俺も別に異論はない。」 「リナ、結婚式の話じっくり聞かせてもらうわよ!」 「じゃ、行くとするか。ガウリイの旦那。」 「そうだな。」 ガウリイとゼルガディスは外へ散歩しながら、アメリアとあたしは家の中で話をし始めて。思い出話に花を咲かせた。 アメリアは、最初にリナに会ってからずっと思っていたことを口にした。 「リナって、かわったわよね。」 「そぉ?」 「なんか……穏やかになった。」 「それって誉めてるの?」 リナが苦笑する。 「あ、昔は凶暴だったといいたいわけじゃ…ないわけじゃないけど。何かさ、昔のリナって……う〜ん。そうね、昔は自由にかけまわる風みたいだったけど、今はすごく穏やかな風…みたい。優しいっていうのか…あたたかくて何か包みこむような感じの。目が優しくなったのかな。」 「じゃあ、ガウリイは…あたしの空なのかな。」 リナは静かに、本当に穏やかな声で言った。 「どういう意味?」 「いつもあたしが走りまわってるのをずっと見つづけてくれたもの。ずっと待っててくれたのよ、あたしが大人になるまで。本当に、感謝してるわ、あのくらげ男にはね。最初あいつへの思いに気がついた時はなんであんなやつに、って思ったけどねー。結局離れられないのよね。あいつのこと、本当に愛してるわ。」 そして満面の笑みを浮かべる。幸せなのだろう、リナは。 「リナは誰かが好きっていう気持ち、本当にはっきり言えるようになったよね。すごいわよ。私なんか全然勇気でないもの。」 アメリアは下を向いて呟くように言った。 「ゼルガディスのこと?一緒にきたからてっきり付き合ってるのかとばっかり思ってたけど、違うの?」 「偶然なのよ。リナが結婚した知らせを聞いてここに来る途中本当に偶然に出会ったのよ。だから全然そういう関係じゃないの、ゼルガディスさんとは。だからリナが羨ましいわ。」 「アメリア。悩まない方がいいわよ。すっごく勇気いるけど、あとできっと言ってよかったって思えるから。それに、今言わないと、もういつ会えるかわからないわよ?」 「そう……よね…………」 アメリアはしばらく何か考えているようだった。 「ありがと、リナ。私、言うわ。ゼルガディスさんに。後悔だけはしないように。」 「頑張ってね。アメリア。……あ、帰ってきたみたいよ。二人とも。」 ガチャ ドアが開いて。ゼルガディスとガウリイがが入ってくる。 「ただいま。」 「おかえり、ガウリイ、ゼルガディス。どうだった?男同士の話は。」 「久しぶりだったから、懐かしかったよ。色々と。昔は、色々あったよな。 今じゃ想像もできないくらい……」 「本当に。そうよね。」 懐かしそうな二人。アメリアは羨望の眼差しで二人を見つめて、そしてゼルガディスに耳打ちした。 「馬に蹴られる前に、邪魔者は退散しませんか?」 「同感だ。」 「じゃあリナ。ガウリイさん。私達これで失礼するわ。おめでとう、ありきたりな言葉しか言えないけど、とにかくおめでとう。」 「またいつか。」 ゼルガディスも続ける。 「そっか、もう帰っちゃうんだ。」 「気をつけてな。また遊びにきてくれよ。二人とも。」 「はい。また会いましょう。じゃあ、ばいばい。リナ。ガウリイさん。」 「また気が向いたら来るかもしれないが…その時はよろしく頼む。」 「ばいばい。また今度。」 リナの声を背中に聞きながらアメリアはゼルガディスと一緒に扉を出ていった。 「ガウリイの旦那も、リナも、幸せそうだったな。」 「そうですね………」 「俺は、ああいう風にはなれないだろうがな。」 「え!?どうしてですか?ゼルガディスさん!」 アメリアは驚いてゼルガディスを見る。 「そんなに驚くことでもないだろう。何にしろこんな容姿じゃ、近づいてくる女がいやしないだろう。」 「そんなことありませんっ!」 アメリアは思いきり首を振った。 それから目をつぶってしばらく考えていたが、大きく息を吐いて、言った。 「私じゃ、駄目ですか……?」 「ア、アメリア?」 ゼルガディスが面食らったような顔になる。 「私、ゼルガディスさんが…好きです。」 「……いいのか?アメリア。俺の容姿はこんなので、治るかどうかもわからないこれを治す為にずっとあてもない旅を続けていくんだぞ?一割も見込みのないような旅を。しかもお前はセイルーンの王女だ……」 「いいんです。そんな事関係ありません。私は、ゼルガディスさんについていきます、できれば一生支えていきたいし、支えてほしいんです。だから、お願いします。 連れていってください……。」 アメリアの目から涙が溢れる。 それをゼルガディスが必死になだめている。 そしてしばらく話し合っていた後、彼らは並んで歩いていった。 二人とも真っ赤になって、しかしとても嬉しそうに。 再会。 それによって始まる想い。 終わる想い。 色々ある。 しかし二人は歩き始めた。 悲しみも、喜びも分かち合うために。 今日という再会の日に感謝しながら…… 〜〜FIN〜〜 |