人 魚 姫 |
第2部《魔炎激闘編》 〜プロローグ〜 闇の胎動 暗い室内を照らすのは一つの炎のみ。その炎に照らし出されるようにゆっくりと闇の奥から一人の男が姿を現わす。 彼の前には一つの水晶球が置かれていた。 「水晶よ、彼の者を映し出せ」 男の声に従い水晶球が淡い輝きを放ち始める。やがてその輝きの中に人影が浮かび上がり始めた。 映し出されたのは一人の少女の姿。 澄んだ真紅の瞳を持つ少女を目にし、男は満足げに閉じているようにしか見えない瞳を細く糸のように開いた。 禍禍しささえ感じさせる紫の瞳が水晶球の少女に注がれる。 「……例の物は見つけ出したんですか?」 「はい。我が主よ」 「そうですか。くっくっくっくっ……」 一見丁寧な言葉使い。しかしその声は底知れぬ闇の気配で満ちていた。 「では、そろそろ準備をしなければなりませんね。あの方をこの地にお迎えする準備を………」 低く笑い、男は満足げな笑みを浮かべて少女を見た。 水晶球の中で、少女は華のような笑顔を浮かべていた。 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 緑に囲まれた深い森の奥。 木々に囲まれた森の奥にその花園は存在した。 花園の主である一人の少女は、今日もいつものように森の動物や鳥達に歌を歌っていた。 「今日もゆくゆく正義の為に〜この世の悪は〜許さない〜〜♪」 ………少々、いやかなり変わった歌ではあるのだが、当の本人はこの歌がたいそうお気に入りであった。今日も拳を振りながらかなり熱を込めて熱唱している。 黒い艶やかな黒髪を風になびかせて元気一杯歌っていた少女の声が不意にぴたりと途絶えた。 「……今のは……」 一瞬感じられた吐き気がするほどの禍禍しい感覚。この森の中ではない。もっと別の、そう、まるで誰かに向けられた悪意を塊で感じ取ってしまったようなそんな感覚。 これから、何か良くないことが起きる。 そう悟った少女の動きは機敏だった。裾の長い白いドレスをつまむと、全速力で走り出す。 「ゼルガディスさぁ〜〜ん!!大変ですぅ〜〜〜っっ!!」 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ とある港町のとある食堂。 賑やかな店内の中で、一段と賑やかな一組のカップルがいた。 片方は見事な黄金の髪に蒼穹の瞳の美丈夫。もう一人はクセのある栗色の髪に真紅の瞳が印象的な美少女。 青年はさっきからウェイトレスのお姉さん方の熱い眼差しを一身に集めているが、本人は目の前の少女を実に楽しそうに眺めている。 青年の眼差しを一身に集めている少女の方も店内の男たちの視線を集めていたが、こちらはその度に青年の殺気さえこもった視線に蹴散らされている。 「??どうかしたの、ガウリイ」 「いや、別に何でも無いよリナ」 ……しかし少女の方はそんな青年の様子に全く気がついていなかった。実に嬉しそうに目の前の食事を食べている。 それは青年にとってある意味安心感を与えると同時に悩みの種でもあった。 他の男たちが寄せる気持ちに気がつかないのと同じように、彼の気持ちにも気がついていないという事なのだから。 それでも、ガウリイはとりあえず満足していた。 何よりも大切な少女は、彼の手の届く所にいるのだから。 忍び寄る嵐に、まだ二人は気がついてはいなかった。 平謝りのコーナー ついに始めてしまった「人魚姫」第二部。 性懲りもなく続きなんぞを書いてしまった……しかも戦闘シーンのいっぱいある話を。 けどこっちの話の方が書きたいシーン山ほどあるし……文章力がついていくかが問題なんだけど。 心理描写だって難しいのに、戦闘ともなるとこっちのキャラと相手のキャラの動きも描写しなくちゃならないし。 あう……過去のスレイヤーズ本編の戦闘シーンでも読み返して勉強せねば。 駄文度大幅アップは免れないしなぁ…… |