人 魚 姫 |
Intermission 〜ガウリイ君のソボクな疑問〜 《その1 人魚の食生活について》 それは、ガウリイがリナと再会してしばらくたったある日の事。 「なぁ、リナ」 「何?」 「お前さん、そんなのばっかで大丈夫なのか??」 ガウリイが気になった事とは。 「毎日毎日野菜とか果物とかそんなのばっかりじゃないか」 そうなのである。 リナが三度三度食べる物といえば、サラダとかフルーツとかパン。要するに野菜と穀物主体なのである。 「あら、ミルクとか蜂蜜も食べてるわよ」 「そうじゃなくて、もっと他のは食べないのか?」 「あのねぇ……まさか魚とか言い出すんじゃないでしょうね?」 「いやさすがにそれは……ちなみにどうなんだ?」 リナは本気で頭を抱えた。 「あんた…ひょっとしてあたしが何者なのか忘れてない?」 「分かってるって。人」 「人前でうかつに大きな声で言わないで。じゃないと置いていくわよ」 リナに睨まれ、ガウリイはこくこくと頷いた。 「……魚は水の生き物よ。つまりあたし達の眷属。大切な仲間であり友人よ。それを食べたりするわけ無いじゃない。それとも何?あんた達人間は自分の友人や仲間を食べたりするわけ?」 「なるほどなぁ」 話はこれで終わりとばかりにフォークでサラダを突つくリナに、なおもガウリイは尋ねた。 「じゃあ肉は?」 「………食べられないわけじゃないけど……抵抗が強いのよ。はっきり言ってあたし達には合わないわ。基本的にそおいうの食べるのは人間か、あいつらくらいよ」 「あいつら?」 「そんな事より、さっさと食べちゃってよね。いつまでたっても出発できないじゃない」 「んじゃ、最後に一つだけ」 呆れたようにリナは顔を上げた。 「仕方ないわね、何よ」 「海に居た時は何食べてたんだ?」 「主なものは海草よ」 目をぱちくりとさせるガウリイにリナは首を傾げた。 「それだけなのか?」 「ん〜〜〜そうね、後はたまに海に住む動物達からミルクを分けてもらう事もあるけど?」 絶句しているガウリイにリナは更に首を傾げた。 彼女にしてみればそれがごく普通の生活なのだから当たり前なのだが、ガウリイにしてみれば信じられないほど貧しい食生活に思えるわけである。 「リナ!」 「な、何よ」 「しっかり食べろよ。そんなもので足りてるのか?」 「へ??」 こうして、食事のたびにガウリイから「もっと食べろ」と言われてしまうようになったリナちゃんでありましたとさ。 《その2 人魚の……》 ある日の夕食の時に、それは起きた。 「なぁリナ」 「今度は何なのよ」 「人魚って、どうやって産まれて来るんだ??」 ガウリイの質問に、リナは飲んでいたお茶をおもいっきり吹き出した。 「いっいきなり何てこと言い出すのよあんたはぁっ!?」 顔が赤くなっているのが自分でも良く分かる。 「いやだって……」 ガウリイは視線で別のテーブルについた夫婦を視線で示した。妻である女性のお腹は大きく膨らんでいる。 「あの人見たら何か急に気になってな」 「うぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」 真っ赤になって俯いて困っているリナはとても可愛くて、ついついからかいたくなってくる。 「リナちゃ〜〜ん?教えて教えて♪」 「…………あんた達と、かわんないわよ」 蚊の鳴くような声でリナは言った。 「人間が近づけないよう渦潮と霧で隠された島があるの。結婚した二人が行く島と、出産用の島と二つあるわ。後は……その……何と言うか……」 これ以上赤くなれないくらい真っ赤になって、やっとの事でリナは言った。 「だから……その……むにゃむにゃ……」 「むにゃむにゃ?」 「だから!やる事は一緒よ!………って、もう、何てこと言わせるのよ!! あたし先に部屋に帰るから!!」 リナは真っ赤になってそう言うとさっさと席を立ち、足早に二階の自分の部屋に行ってしまった。 後に残されたのはガウリイただ一人。 「……なるほど。俺達と一緒かぁ……(はぁと)」 二階に逃げた少女を思い、ガウリイは一人意味ありげな笑みを浮かべていたのであった。 ガウリイの笑みの意味をリナが知ったのは、これより更に後の別の物語♪ 今度こそ本当に、第2部へ続く………か、なぁ? to be continue... |