珈 琲 |
珈琲 俺とリナはいつも通りに旅していて。 ただ少し違うのがそこが珈琲の名産地であった事だけで。 俺は珈琲はあんまり好きじゃなかったのだが、リナはおいしいと何杯も何杯も飲んで いた。 リナの喜ぶ顔が嬉しくて、俺も笑っていた。 その日の真夜中である。 コンコン 「ちょっと、いい?」 リナの声。こんな真夜中に男の部屋に何しにきたんだ? 「ドアは開いてるぞ。」 極力平静に答える俺。 リナが入ってくる。 「ガウリイ…」 深刻そうな表情。 なんだ? 自然に俺も固くなる。 「なんだ?」 「眠れないの〜…」 がくっ 子供のような言葉に俺は思わず肩の力が抜ける。 いや、別に別の言葉を期待してたわけじゃないけど…… 「何でだ?」 「わかんないけど、今日の夜、珈琲飲みすぎたからかも…」 そうか、そういえば珈琲には不眠作用とかいうのがあったような…遅くまで起きてな きゃならんときに飲むとかいう奴もいるからな。 まあ、あんだけぱかぱか飲んでちゃ当たり前か。 「まあ、あんだけ飲んでちゃ無理ないか…」 「それでさ、どうやれば寝れるか知らない?ガウリイ。」 「どうすればって…どーすればいいだろ…」 俺は頭をひねる。そして思い出す。 「そうだなー…じゃあちょっとベッドはいれよ。」 俺は立ち上がってリナにすすめる。 「え、あ、ちょっと…それは……」 リナは慌てて首を振る。 これは、誤解してるな… 「あ〜…そういう意味じゃなくて… 子守唄歌ってやるからベッドに入れっていってるんだよ。」 「あ、そーなんだ。」 さっさと警戒を解くリナ。 子供だなァ…もうちょっと警戒するもんだと思ってたのに…。 そしてリナはベッドに入る。 「じゃあ歌うぞー」 「ん……」 俺は歌い始めた。 昔ばあちゃんが同じことで…珈琲を飲んで眠れなくなった俺に歌ってくれた歌。 リナが少しうとうとし始めた。 「がうりぃ……」 リナが声をかけてくる。 歌を中断することはできなくて、俺は顔だけをリナの方に向ける。 「いい歌ね……」 リナは静かな声でそう言った。 俺も満面の笑みで答えた。 そしてリナの寝息が少しずつ穏やかに、規則正しくなっていき… 「リナ…」 歌うのをやめて、声をかけてみる。 リナは答えない。 「寝たのか。」 そう呟いて、俺はリナの寝顔を見る。 穏やかで、まだ子供らしいあどけない寝顔。 心臓が高鳴る。 俺は、聞こえるわけもないのに、言った。 「お前はまだ、子供だよ…子供だけど……」 でも最近少しずつ大人になっていってるのがわかる。 女らしくなってきた。 「女なんだぞ、お前は。」 俺は昔から女としてみてるけど…… それで困る事というのは一つは町の中での視線。 まあそれは俺の一睨みで解決できるのだが…もう一つの問題は俺自身。 「俺だって…男なんだからな。」 子供扱いするのがだんだん苦しくなってきた。 でも、子供扱いをやめたら傍にいられないから。 だからもう少しだけ。 「もう少し、警戒しろよな。」 少しだけ、保護者として傍にいさせて。 それでも、少しは男として見て。 ワガママだけど、それが俺の望み。 「さてと、俺は―――」 一番端の、リナと一番離れた床で寝ようとして…引っ張られる感覚。 「……?」 見るとリナの手が、俺の服のはしをしっかりとつかんでいる。 堅く握られていて、そう簡単にとれそうにない。 とったら起こしてしまうだろうし… 俺はあきらめて近くの椅子に座り、眠ろうとした。が。 「眠れるハズ……ないだろ…」 リナの寝顔を見ていたら心臓がバクバクいって、眠れそうにない。 俺は溜め息をついて頭を抱えた。 夜は、長そうである。 ★☆あとがき☆★ 珈琲の特性というものを少し理解しておいた方がよかったと思う生殺しガウリイ君で した。 私にとっちゃ初生殺し☆ …スミマセン生殺しのつもりです。一応…… うう…畜生自分の未熟者ぅ(涙) 最後まで読んでくださった皆様。 カノの文才じゃこの程度です……ごめんなさい。 そしてありがとうございます。 |