母へのインタビュー 
〜インバース夫人の場合〜







娘の嫁ぐ日




母へのインタビュー 〜インバース夫人の場合〜


 あら、なんですの?
 え?インタビュー?
 イヤですわ、照れるじゃありませんか。……そうですわね、まだ時間はありますし…
 ちょっとだけなら良いですわよ。


 リナ?
 ええ、私の自慢の娘ですわ。まぁ確かに少々無茶をする所はありますけど、あの子の場合はあれでいいんです。
 だってそうでなければ……でしょう?
 あらやだ。そんなに固まらないで下さいな。


 小さい頃?
 ……そうねぇ、ルナと一緒に近所の悪ガキを懲らしめに行ったりしていましたわね。喧嘩の仕方や啖呵のきり方なんかはその時ルナに仕込まれた様です。
 あら、このくらいここでは普通ですよ?
 何しろ手加減の一撃で岩が砕ける所ですから……
 あとは魔法の練習で失敗してルナにお仕置きされたりしてましたわ。
 ええ、あの子の面倒はルナがしてくれてましたから。おかげで私は助かりましたわ。家の商売が忙しかったので。
 値切り方や交渉術ですか?
 そういえば、貴方あの子にまんまとしてやられたらしいですわね。ご愁傷様でした。
 ええ、教師は私とルナです。
 え?父親ですか?
 あの人はリナを猫可愛がりしてましたから、教師としてはいまいちでしたわね。だから今でもまだぶつぶつ言ってますのよ。往生際が悪いんだから。
 後でしっかり釘を刺しておかなければまた余計な事をしでかしそうね。
 ……ああ、お気になさらないで下さいな。今のは私たち家族の事ですから。


 子供、ですか??
 ………そうですわねぇ。こればかりは何とも言えませんわね。子供は授かりものですもの。
 でも楽しみにはしてますわ。なんたって私たちにとっても初孫ですもの。
 男の子でも女の子でもどちらでも良いですわ。元気に生まれてこれればそれで十分ですもの。
 貴方たちにはお分かりにならないでしょうけれど、新しい命をこの世に送り出すのはとても大変な仕事なんですよ。
 まぁ……随分お預けにしてましたから、今夜からあの子は大変でしょうけど何とかするでしょう。
 ああ、こっちの話ですから気にしないで下さいな。


 母として望む事?
 …………幸せになってくれればそれでいいですわ。
 私が望むのはそれだけです。


 あら、もうそんな時間でしたの?
 いいえそんな。こんなものでよろしいんですか?
 あぁ、お待ち下さいな。


 貴方達もあの子やこれから生まれる子供にも関心がおありなのは分かっていますわ。
 けれど。
 あまりちょっかいばかりかけられますと、困りますの。さっきも言いましたが私達も初孫を楽しみにしてますし、大事な大事な家族ですから。
 で・す・か・ら。
 その際は十分覚悟してからにして下さいな?

 ねぇ。
 ゼロスさん?